ネパールらしい滑り台が完成

2012年07月27日

生の現実

7月27日

resize2262

国内の物価高騰が止まらず、人々の暮らしは厳しくなる一方だ。報告によるとこの10ヶ月で10%以上物価が上がったそうだ。物価の高騰による生活苦から故郷の村へ引き上げる人が増え、ヒマラヤ小学校でもこの数年、退学者が後を絶たない状況である事は、このブログでも何度かお伝えしていると思う。

窮状を抱え故郷へ引き上げようとする家族を引き止めるのは容易な事ではないが、先生達が地道な努力を続けた結果、今年に入って何とか5人の児童の退学を阻止することが出来た。もちろん今後、どうなるのか全く予断を許さない状況である事に変わりはないが、引き止める事ができた事は先生達にとって大きな自信となったと思う。

ただし、引止めに成功したからといって万事良かったというわけではない。実は先日、村に残る決心をした家庭の内、2人の保護者が学校にやって来て、「あなたたち(学校)が引き止めたのだから、そちら(学校)が払うべきだ」と言って、制服代や児童福祉基金などの支払いを全て免除にするよう求めてきた。引き止めた家族の中には職業訓練を受けながら必死に頑張っている人達もいるので、保護者がこうした要求をしてきた事は少し残念な思いもしたが、「引き止め→努力して困難を乗り越える」というのは、自分たちが勝手に描いた理想像ということだろう。時々、こうした生の現実に突き当たると、自分たちが身勝手に理想像に当てはめ、見返りを求めていた事に気づかされる。

今回の保護者の要求を受け、先生たちの中にはガッカリしたり、目くじらを立てたりする人もいたが、支援活動は正に生の現実。決して効率では図れないものだという事をもう一度、皆で認識しなくてはと思う。ただ先生たちが引き止める意欲を失う事がないよう、その意義についてはしっかり伝えなければと思う。引き止めた成果は直ぐにではなく、何年後、何十年後にようやく出るものだと思う。もちろん出ないこともあるだろうけど。




hsf at 00:00│
ネパールらしい滑り台が完成