唯一の励まし至福の表情

2012年04月19日

それぞれの道

4月19日

ヒマラヤ小学校を今月卒業した第4期卒業生達が、それぞれの道へと歩き始めた。

在校時から木工細工の職業訓練を受け、既に職人として彫刻の仕事をしているビシュヌは、これまでコツコツ貯めたお金で地元の公立中学校へ進学。今後も仕事をしながら勉強を続けるそうだ。お転婆娘のサムジャナとビマラもやはり地元の公立中学校へ進学。ニキタはUPSBEN加盟の私立中学校を諦め、隣村の公立学校へ進学した。ミンバードル(ラジュ)は進学への思いを諦めきれず、2週間、建設現場で働いて自力で入学資金を準備し、無事、公立中学校へ進学することになった。入学試験では2番になったそうだ。今後は朝夕、ヤッギャ先生の家で行われているトルコ石を使った装飾品つくりを行い、働きながら勉強を続けることになった。以上が現時点で進学が決まった卒業生達の状況。数名、進学か職業訓練かで悩んでいる卒業生がいるが、来週には卒業生の進路がすべて判明すると思う。それぞれの新しい道へと歩き始めた卒業生達に心からの弥栄を贈りたい。

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ただ一人、進学を希望せず働くことになったのはロジナ(14)。ロジナはヒマラヤ小学校開校と同時に入学した児童で、目を覆いたくなるような貧困の中で生活をしてきた子だ。蒸発した母親の代わりに病気の父親と幼い妹の世話をしながらの勉強と仕事の両立は想像以上に大変だったと思う。途中、仕事のため長期間、学校へ来られなくなった時期もあったが、なんとかロジナを卒業させたいという思いで籍を抹消せず、来られる時だけ学校へ来ればいいという特別措置を採ったことで、何とか卒業することが出来た。

ロジナは現在、幹線道路沿いにある食堂で働いている。いわゆる下女のような仕事だが、店のオーナーと話をしたところ、今後の努力次第では料理人として雇うことも考えているとの事だった。ただ酒が出る店なので多少の不安は残る。今後、ロジナが下手な問題に巻き込まれないよう、時々、先生達と店を訪ねロジナの様子を見に行く予定だ。ロジナに明るい未来が訪れ、ささやかでも幸せで恙無い人生を送ってほしい。それだけが僕らの願いだ。

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ロジナに入れて貰ったコーヒーは、薄かったが美味しかった

hsf at 05:47│

この記事へのコメント

1. Posted by ココア   2012年04月19日 20:37
5 こんばんは。
ブログを読んで胸がしめつけられる思いがしました。
勉強と仕事に加え、お父さんや妹のお世話まで・・・頭が下がります。仕事だけで疲れを訴える自分が情けない。


ロジナちゃんに明るい未来が訪れることを心から願います。ロジナちゃんに幸せになってほしいです。
2. Posted by たま   2012年04月19日 20:48
それぞれの旅立ちですね。
自分の道を切り開くたくましさ!
がんばれ!
3. Posted by 吉岡大祐   2012年04月20日 01:45
ココア様

こんばんは。コメントありがとうございます。
小さなロジナに降りかかった様々な苦難を思うと、自分がいかにぬるま湯の中で生きているのか気づかされます。ロジナがいつか幸せに包まれ、穏やかな毎日を過ごせる日が来ることを願っています。
4. Posted by 吉岡大祐   2012年04月20日 01:46
たま様
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
自力で道を切り開く強さを身につけてくれた子供たちを頼もしく、誇りに思います。
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