児童の父親の死学校運営

2010年10月02日

サニラの成長

10月2日(土)

サニラ3人クイズ大会で大活躍したヒマラヤ小学校チーム。3人の活躍は学校に大きな希望をもたらす結果となったが、僕自身はチームリーダーを務めた5年生のサニラの前向きな変化を実感できた事が何よりも嬉しかった。

サニラは2004年のヒマラヤ小学校開校と同時に(幼稚園年少クラスへ)入学した児童で、ヒマラヤ小学校開校時を知る最後の児童のひとりでもある。入学当初から明るく、おてんばぶりを発揮した元気な女の子だった。

そんなサニラに変化が起こったのは1、2年くらい前の事だったと思う。頻繁にお腹や頭が痛いと言い出したり、昼休みに教室の片隅で寂しそうな表情を浮かべる姿を見かけるようになったり、それまで積極的に参加していた活動にも消極的になるなど、奇矯が目立つようになった。

サニラの心の変化について調べて見ると、実は4年前の妹に続き、2年前、弟が生まれたことで、母親の愛情を独占できなくなったことが原因だと分かった。お腹が痛いとか、ワガママを言ったりしたのも、きっと“こっちを向いて欲しい”というサニラからの暗示だったのだろう。

これだけなら日本でもよくあるケースだと思うが、僕たちが最も心配したのは、「結婚し、祖霊を祭り、次代に祖霊を祭るべき男子をもうけるというヒンドゥ教の三大義務に基づき、サニラの保護者が念願の長男である弟を溺愛するあまり、サニラや妹に対する愛情が完全に薄れ、ビンドゥのような問題が起きるのではないかということだった。幸い両親共にサニラの事をとても大事にしていることを確認でき、安堵の胸をなでおろしたが、二度とビンドゥのような悲しい出来事を起こさないためにも、今後も学校として注意深く、見守っていく必要があるだろう。

今回、サニラが見せてくれた前向きな変化の理由については、正直、まだ分からないが、サニラが長年の苦しみから一歩抜け出し、しっかりと大人の坂道を上っている事を確認できたことは大きな収穫だった。これからも、しっかりとサニラの成長を見つめていきたいと思う。
サニラ(写真:決勝戦の前、一人黙々と予習に励むサニラ)



hsf at 12:09│
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