制服失敗から学ぶ

2010年09月07日

スラムで単独医療キャンプ

スラムカトマンズにあるスラムで単独医療キャンプを行った。無我夢中で治療を施しながら、自分なりに大いに考えさせられる時間となった。

カトマンズ周辺には5〜6年前から次々とスラムが出来はじめ、その数や規模はかなり大きくなっている。僕がスラムに関心を持ったのは今から2年ほど前、カトマンズ郊外の幹線道路の傍に出来た小さなスラムを訪ねた事がきっかけだった。何度か通う内にスラムで暮らす人々の実情を具に知ることが出来たのだが、結局、自分に何が出来るのか問い続けながらも、何も出来ず逡巡したままだった。

現在、そのスラムはなくなり、跡地には小さな工場が建てられている。当時、暮らしていた人々は恐らく別のスラムへ移住したのだと思うが、スラムで出会った人々が見せる笑顔や涙を思い出す度に、何か大きな宿題を忘れているようで、心にモヤモヤしたものがずっと残っていた。

今年に入ってから思うところがあり、治療を目的にカトマンズにある幾つかのスラムを訪ねて見ることにした。想像していた通り、スラムの人々は社会からの疎外感からか、外の人間に対して不信感を持っているようで、なかなか話しを聞いてくれず、ある時など興奮した住民から“帰れコール”を受けたこともあった。知人にスラム訪問の事を話すと、「彼らは政府から土地を貰うためにあそこに住んでいるだけだ」という否定的な声が多く聞こえて来た。何か一般市民とスラムの人々の間には、見えない大きな壁が立ちふさがっているようにも感じた。

何度も断られながらも足しげくスラムに通う内に、一人、二人と話をしてくれるようになり、少しずつ奥の方にも入っていけるようになった。4月の中旬頃だったと思うが、膝の痛みを訴える女性を治療した事が切欠で、周りから治療を求める声が出始め、今回、ようやく小規模ではあるが1日のキャンプで、23名に治療を施すことが出来た。

まだスラムの人々が完全に心を開いてくれた訳ではないが、少しずつ信頼関係を築きながら、スラムの人々の実情に学んでいけたらと思う。スラムで暮らす人々の生活から、変わり行くネパール社会をしっかり見つめていきたい。


hsf at 13:16│
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