2009年02月01日

「サヨナラ」

2月1日

ビンドゥ12年生のビンドゥが死んだ。
小さな体で必死に病と闘かったビンドゥの努力、そして回復を願う僕たちの思いは、「死」という運命によって脆くも踏みにじられてしまった。

ビンドゥはヒマラヤ小学校の開校と同時に入学した児童だ。人懐っこく、底抜けに明るい性格で誰からも愛された子だった。入学したころは、一つ上のクラスで学ぶ姉のインドゥから片時も離れようとしないビンドゥを引き離すのに苦労した。あの頃は姉のインドゥと引き離そうとして、毎日のようにビンドゥを叱って泣かせていた事を覚えている。それでも帰り際には必ず、日本語で「サヨナラ」と言って、笑顔で手を振っていたのがとても懐かしい。入学して数か月が過ぎ、ようやく姉のインドゥから離れる事ができるようになり、ビンドゥが楽しそうに授業を受けている姿を見た時は、本当に嬉しかった。

ビンドゥ2ビンドゥはチョコレートが大好きな子だった。ある日、支援者から頂いたチョコレートを子ども達に配った時、こっそり一つ余分にあげると、ビンドゥはとても喜び、翌日、お礼に小さな野花をプレゼントしてくれた。弁当箱にトウモロコシが沢山入っていると、嬉しそうに弁当箱を振って音を立てながら「こんなに入っているよ」と、よく自慢してきた。そんな時は必ず、弁当を持っていない友達に一握りにトウモロコシを分けしていた。ビンドゥはそんな優しい子だった。

ビンドゥの思い出は語りつくせないほど沢山あるが、今、こうしてビンドゥの事を考えると、やはり、あの愛くるしい笑顔の事を真っ先に思い浮かべる。ビンドゥの笑顔は、万人を幸せにする力があった。もちろん、さびしそうな表情を浮かべる事もあったが、そんな時も、目が合うと必ず二コリと笑顔を返してくれた。

ムナビンドゥの夢は先生になることだった。ムヌ先生に憧れ、「将来はムヌ先生のようにダンスの上手な先生になるんだ」と、よく言っていたビンドゥ。その夢はとうとう叶う事はなかった。でも、きっと今頃は天国で大好きなチョコレートをたくさん食べながら、憧れのムヌ先生を目指して頑張っているに違いない。いつかビンドゥが素敵な先生になって、ヒマラヤ小学校に帰って来てくれる事を僕たちは待っている。

笑顔と優しさを何時も僕たちに与えてくれたビンドゥ、本当に、本当にありがとう。そして「サヨナラ」。







hsf at 07:07│