絵画教室コンテストを終えて

2008年09月16日

チャシコットへ行こうよ!

9月16日(火)

「チャシコットへ行こうよ」
放課後、村の中を歩いていると、子ども達が息を弾ませながら声を掛けてきた。

チャシコットはブンガマティ村を一望する丘。今日はチャシコットでネパール映画の撮影が行なわれているそうで、子ども達は憧れの俳優を一目見ようと無我夢中で、チャシコットを目指し走って行った。

ネパール(カトマンズ)では映画制作が結構、盛んにに行なわれていて、アメリカの「ハリウッド」やインド・ボンベイの「ボリウッド」を捩って、一部の人達からは「カリウッド」とも呼ばれている。僕もネパールで暮らし始めてから数年間は、ネパール語の勉強と称して、当時支援していた子ども達を連れて足繁く映画館へ通い、ネパール映画を楽しんでいた一人だ。

ネパール映画の内容はシンプルで、特に言葉を理解しなくても十分楽しめる内容だと思う。ただ個人的には映画そのものよりも ネパールの映画館が持つ独特の雰囲気が好きだ。ヒロインが悪者に捕まったり、悪役から酷い仕打ちを受けると、館内から大ブーイングが起こったり、ヒロインの苦しむ姿に耐えられず俯いてヒロインの無事を祈る少女達の姿も見られる。その後、丁度よい塩梅で主人公が登場すると(大体の場合、主人公が悪役に飛び蹴り喰らわせながら登場する)、館内からは、待ってました!と言わんばかりに指笛と拍手喝采が沸き起こり、泣いていた少女達もすっかり元気を取り戻して、主人公の無敵の強さに拍手を贈る。時には横に座ったオジサンから握手を求められたり、肩を組まれたりすることもある。喜怒哀楽を諸に表に出す観客によって映画と客席が一体化し、映画を何倍も楽しむことが出来ることが、ネパールの映画の良さではないだろうか。

チャシコットチャシコットでの撮影の様子を瞳を輝かせながら見入った子ども達。憧れの女優が去った後、チャシコットに立ち、ある児童が「私は将来、女優になろうと思う」と話すと、別の児童が「私が先になる」と言い返し、いつの間にか皆で女優の真似をして踊り始めた。

夕暮れの空はすっかり秋色に染まっていた。ダサイン大祭は直ぐそこまで近づいている。



hsf at 16:58│
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