おめでとう!ソンマヤビーズ教室

2008年03月30日

新入生選考会

3月30日

今日から新入生の最終選考会が始まった100名を超える子ども達の中から、たった25名を選考するのは本当に難しく、とても辛い作業だ。出来ることなら全員入学させたいというのが僕等の正直な気持ちだが、資金面の事や児童一人ひとりをしっかり育てていきたいという学校の方針を考えると、どうしても25名程度の入学許可しか出せない現状だ。

毎年、入学選考は家庭訪問から始まる。申請のあった子どもの家を一軒ずつ訪ね、家庭の事情をしっかり調べる事で、新入生にどのようなケアや教育が必要かを把握する事が出来る。新年度の入学のため、昨年の12月頃から申請のあった子どもの家庭を一軒ずつ訪ねて回ったが、どの家庭も同じような窮状を抱えていた。毎年のことだが貧困家庭の厳しい現状を見聞きする度に胸が痛くなる。その度に、貧しくて学校へ行けない子ども達は、まだまだ沢山いることを実感する。

ロメス今回、入学申請をした子どもの中にロメスがいる。ロメスは3年程前、僕が往診先の村で知り合った少年で、初めて見る治療道具に好奇の目を輝かせ、いつも往診先までついて来ては治療の手伝いをしてくれた。当時、ロメスは隣村の学校に通っていたのだが、今から1年半ほど前に父親が死亡したため2年生の途中で学校を辞め、ブンガマティ村にある小さなパン工場で住み込みとして働くことになった。

明るく働き者のロメスは直ぐにパン工場の人たちとも打ち解け、村の篤志家でもあるパン工場のオーナーからも大事にされた。楽しそうに仕事を頑張っているロメスを見た時は、僕達も嬉しかったのだが、ある日、工場の裏で一人、寂しそうな表情をしたロメスを見かけた事もあった。家族と離れて暮らす寂しさが、11歳のロメスの心に募っていたのかもしれない。

そんなロメスが「ヒマラヤ小学校で勉強したい」と言いだしたのは去年の夏頃だった。理由を尋ねると、「字を覚えてお母さんに教えてあげたい」という答えが返ってきた。パン工場のオーナーの理解もあり、昨年末、ロメスはヒマラヤ小学校の入学申請を行なった。

パン工場のオーナーの長男に引き連れられ、緊張した面持ちで今日の最終選考会に挑んだロメス。面接が始まると、顔を赤めながら必死にヤッギャ校長の質問に答えていた。彼は所謂、被差別カースト出身であるため「特別優先枠」として、今日のうちにヒマラヤ小学校への入学が決まった。

ロメス入学許可書を受け取ると、手を挙げて大喜びしたロメス。帰り際、ロメスに「毎日、学校に来るんだよ」と、声をかけると、「うん」と頷き、無邪気な笑顔を浮かべながら「サッカーを教えて欲しい」と言ってきた。ロメスはヒマラヤ小学校でどのような学校生活を送り、成長していくのだろう。僕たちとして、しっかりロメスの成長を見守って行きたい。





hsf at 07:13│
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