コカナ村の寺子屋マチェンドラナート祭り

2007年07月07日

”自らモノを考える”習慣

7月7日(土)。

昨日、SLC(10学年終了時に受ける全国統一卒業認定試験)の結果が発表された。ヒマラヤ青少年育英会の里親教育基金から受験した7名の内、6名が合格を果たし、残念ながら合格できなかった一人も1教科のみ不合格だったため再試のチャンスが残っている。子ども達それぞれに思いはあるだろうが、まずまずの結果だったように思う。

SLC試験は別名“鉄の門”とも呼ばれ、毎年、自殺者が出るほど厳しい試験だった。合格率は3割程度、合格者の9割近くは私立学校の学生が占め、公立校の学生にとっては“鉄の門”以上の難関試験だった。

しかし近年、SLC試験は大きく変化しつつある。毎年、合格率が上がり続け、今年は合格率が58%にまで上がっている。試験の出題も10学年の教科書の中からだけとなるなど、過去のSLCではとても考えられないような状況だ。

僕がネパールで暮らしている10年近くの間、特にこの5年間、ネパール社会は著しく変動している。世の中の変化とともに人々の価値観も急速な勢いで変化しているのが分かる。特に教育分野では、これまでのSLC試験に向けた暗記中心の教育システムから、“自分で考える教育”の入口に来ているように強く実感している。おそらくこうした社会変化に伴い、SLC試験も大きく変化しているのだろう。

これまで諸外国からの援助の多くは、残念ながら大きな成果を残すことが出来ていない現状がある。過去の援助の多くは援助する側の一方的な価値観の下、上から下へと流れていく形で行われる事が殆どだったように思う。(もちろん、このシステムが社会を上手く動かしていたことは事実だ。)結果として一部ではあるが、残念ながら現地の人々の中には、遣って貰えるだろう、やって貰って当たり前という、援助する側に“任せっきり”の価値観、つまり”自分達でモノを考えない習慣”が出来てしまったのも事実であり、過去に援助が十分な成果を出せなかった理由の一つだと思う。

卒業生の経済的な自立を目標に掲げているヒマラヤ小学校では、学校教育を通して子ども達に“自らモノを考える習慣”を身につけて欲しいと考えている。考える習慣を持つことが、結局は自立意識の高揚、如いては経済的な自立に繋がるものと信じている。

幸いにもヒマラヤ小学校で開校当初から続けているケナフ活動は、子ども達が“自らモノを考える習慣”を身につけるために非常に有効な教材となっている。種まき〜栽培〜観察〜収穫〜モノ作りという一連の活動を通して、子ども達が着実にモノを考える習慣を身につけている事を実感する。これから自立に向けた具体的な活動が始まる前に、子ども達にしっかりとモノを考える習慣を身につけさせたいと思う。


hsf at 16:54│

この記事へのコメント

1. Posted by ぶちこ   2007年07月15日 16:46
自分で物を考えること、
教育制度がととのった日本でも自分で物を考えることが苦手な子どもたち。またそうして大人になった私たちもなかなかできないです。
ネパールの子どもたちが自分たちで考え、国の未来をになってくれるといいですね。
2. Posted by 吉岡大祐   2007年07月18日 02:15
ぶちこ様
コメントをお寄せ頂き、ありがとうございます。日本の現状は豊かさの歪でしょうか。

日本もネパールも、至れり尽くせりの状況が甘えを生み、そして自分で物を考えられない人間を生むのかもしれません。

ネパールは支援に甘え過ぎて来たことが、過去の失敗の大きな原因だと感じます。私達もそうした状況を踏まえた上で、意義ある活動を展開していかなくてはならないと感じています。

今後とも宜しくお願いいたします。




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