継続の大切さ貧困の中にある心の豊かさ。

2007年03月17日

言葉

3月17日(土)

サッカーボール先日、大学で心理学の教鞭をとっている方から、子どもとの話し方、叱り方、誉め方など、大変有意義なお話を伺った。学んだからと言って、直ぐに実行出来るものではないと思うが、ヒマラヤ小学校の中にも“先生の一言”で大きく変化した児童が大勢いる事を思うと、やはり言葉の持つ力は大きい。それだけに子ども達に掛ける一言一句を大切にしたいと思う。

ネパールで治療活動をしようと思った時、学校を作ろうと思った時、何かをしようとした時は常に反対意見が襲い掛かり、潰されそうになった。特に学校を作ろうとした時は耳を傾けてくれる人も少なく、『日本にも困っている人はいる。学校はネパール政府がつくればいい』という厳しい意見もあり、社会は常に懐疑的だった。理解してくれるだろう、という僕の勝手な思い込みで訪ねた教育支援NGOでは、素人が余計な事をする必要はない、と言われた事もあった。艱苦に堪えられず、一時は本当に学校建設を諦めようと考えた事もあったが、そんな時、僕を勇気付けてくれたのは、支援者の方の暖かい一言や、学校を心待ちにしていた子ども達の一言だった。

時々、ネパールで活動していて一番嬉しかった事は何か?という質問を受けることがある。僕は迷わず、ある出来事について答えている。

数年前、支援をしていた母子家庭の女子学生(当時14歳)に『学校で勉強できて一番嬉しかった事は?』と尋ねた時、学生から『お母さんを病院へ案内できた事』という答えが返ってきた。

蝋燭詳しく話を聞いて見ると、病気がちの母親は文盲のため、病院へ行っても何処で入場切符を取れば良いか分からず、(他人の助けを借りて)切符を取っても、案内を読む事が出来ないため何処の診察室へ行けば良いのかも分からず、病院へ行くのを恐れていたそうだ。教育を受けた事で、病気で苦しむ母親を病院へ案内し、助けられた事がその学生にとって一番嬉しかった事だという。同じ質問を他の奨学生にも尋ねたが、ほとんどの母子家庭の子ども達からは同様の答えが返ってきた。僕にとっては決して忘れる事の出来ない一言だ。

教育支援は本当に息の長い活動が必要だ。時々、果たして何時まで続ければ良いのか?本当に成果は出るのか?と、溜息が洩れる事もある。そんな時、その言葉を思い出すと、自然とやる気が沸いてくる。それは教育活動の成果が、目に見えないところでしっかり芽を出していることを、その言葉が証明してくれるからだ。





hsf at 02:17│

この記事へのコメント

1. Posted by AJP   2007年03月27日 13:08
私も一度心理学の方に話を聞いたとき
子どもがいかにその言葉を素直に受け止めるかを知りました。
また、言葉次第で人は変われるんだと、まだまだ可能性を秘めているんだと知りました。

吉岡さんの苦労や積み重ねてきた努力、勇気と行動力に感謝します。

大変とは、大きく変わること。

大変な時期を乗り越え
輝かしい未来が待っていることを願って☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2. Posted by 吉岡大祐   2007年04月01日 05:11
AJP様
この度は心温まるコメントを頂き、心よりお礼申し上げます。一歩ずつの積み重ねを大切に、一生懸命頑張ります。どうか今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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