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2006年10月12日

貧しくても夢のある社会

10月12日(木)

籾干しダサインが終わり、各地で稲の収穫が盛んに行われている。ブンガマティ村でもバス停の前に敷かれた筵の上で、籾を干す作業が行われている。日本ではほとんど目にする事がなくなった光景を興味深く見ていると、作業を手伝う子ども達の中にヒマラヤ小学校の児童や里親教育基金の奨学生、寺子屋の子ども達がいた。みんな小さな体を一生懸命動かして働いている。慣れた作業とはいえ子供たちにとっては重労働だ。作業に汗を流す子ども達を見ていると、9月下旬に訪ねた西ネパールの僻地・ディリチョール村の事を思い出した。


ディリ子供西ネパール(極西・中西部)の多くは90年の民主化以降、政府からあらゆる面で見放され、今でも多くの人々が貧困に喘いでいる地域だ。今回、農業指導を行うための現地調査を目的にディリチョ―ル村を訪ねたが、そこで僕たちが目にしたのは『絶対的貧困』だった。貧困の現状は東ネパールやカトマンズ周辺の村々でも目にした事はあるが、西ネパールの現状は特に厳しく、果たしてこの現状を変える手立ては本当にあるのだろうかと、懐疑的になってしまった。

稲ディリチョール村は標高約2700メートルにある小さな山間の村だ。通常の稲の生産限界(2000メートル)を超えている場所だが、村では稲作が行われていた。しかし稲は貧弱で実る籾の量もカトマンズ周辺の稲に比べ遥かに少なかった。これでは村の人々が米を口にする機会がほとんどないのも頷ける。稲の他にヒエ、アワ、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、ヒヨコマメなどが生産されているようだが、一部を除いて売るほどの収穫量はなく、ほとんどの農家では家族数人が食べるだけの量すら生産できないという。*稲の写真は門谷優さん撮影

厳しい現状を抱える村だが、しかし大きな希望を見つけることもできた。村には14年前に日本のNGOの支援で建てられた学校があり、予想以上に教育が根付いているのだ。今ではディリチョ―ル村だけでなく、周辺の村からも大勢の子供たちが学びに来ている。14年間という年月を経て、着実に教育が根付いている様子を目の当たりに出来たことは、僕にとって大きな学びの収穫だった。

ディリチョール風景今回、現地をご案内いただいたカルナリ協会の清沢さんは、ディリチョール村をエコ・ツーリズムの拠点として発展させたいという大きな構想をお持ちだ。それも資本主義的なものではなく、すべてを村営にして、村の人たちが参加したエコ・ツーリズムを構築したいと話されていた。そのためにも、先ずは腹を空かせた村人たちが腹いっぱい食べられるよう農業開発を行いたいそうだ。本当に素晴らしい構想だと思う。僕たちとしても出来ることでお役に立てればと考えている。

村には湧き水が流れる美しい川、目前に迫る雄大な山々、そしてそこに暮らす純朴な人々の営みがある。他にもガンジローバという美しいヒマラヤ、少し歩けば温泉まである魅力的な村だ。世界中どこでも見かけるような看板すら立っていない、ひなびた村の景色だって一見の価値はあるだろう。

ジュムラ絶対貧困の中に見た『希望』。貧しくても夢や希望のある社会こそ、僕たちの目指すべきゴールではないかと思う。




hsf at 17:37│
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