明けましておめでとう御座います。パルプ作り

2006年01月02日

実態調査

1月2日(月)

1月1日からヒマラヤ小学校は約3週間の冬休みに入った。2週間以上の休みは今回が初めての試み。長い冬休みの間、子ども達には健康で充実した楽しい時間を過ごして欲しい。冬休み中、ぜひ家庭訪問も実施したいと考えている。

今日は次期医療キャンプ地の選定と来年度の新入生受け入れに関する実態調査を兼ね、ブンガマティ村周辺の村々を訪ねた。ヤッギャ校長、モンゴル先生、シャムさん、ヤッギャ校長の愛娘サンギャちゃん、ネパール・ケナフ開発のサダナと弟のサントシュ、そしてモンゴル先生の長男ビベック君も加わり、賑やかな山歩きとなった。今回の旅にサダナが加わった事で農村部での環境問題やケナフの実態調査も同時に実施することが出来た。朝、冷え込んだこともあり、道中の畑に広がるアブラナや芽を出したばかりの麦に霜が降り、そこに朝日が反射して一面が光り輝いていた。

村の子供1まず子ども達の実態調査のため、幾つかの煉瓦工場を訪ねた。煉瓦工場はカトマンズ盆地の環境汚染の元凶といわれている。もくもくと黒煙を上げる煙突を見ていると、人間の業の深さを垣間見た気がした。煉瓦工場には早朝にもかかわらず、沢山の子ども達が働いていた。泥まみれになりながら型枠に泥を流す子ども。幼い弟を背に負いながら、せっせと日干し煉瓦を並べる子ども。どの子ども達も生きるために必死で働いていた。


子ども2子ども達に将来の夢を尋ねると、どの子も人懐っこい笑顔を浮かべながら、『学校へ行きたい』『お医者さんになりたい』と、子ども達らしい夢のある答えが返ってきた。この子ども達の描く夢を実現させるためには、一体、どうすれば良いのだろう?貧困から抜け出すことは決して容易なことではない。この子ども達を待ち受ける過酷な将来に胸が詰まる思いだ。



石割煉瓦工場を後にして貧困の村々を尋ねた。首都カトマンズから僅か十数キロの距離にありながら、交通事情により開発が遅れ、貧しい生活を強いられている。ここでも多くの子ども達が採石場で石割や石運びなどの過酷な労働に従事していた。




石運び未だに義務教育が整備されていないネパールでは、今でも多くの子ども達にとって学校で勉強することは夢のような話だ。子ども達の多くは幼い内から教育を受けることなく労働活動に従事しているため、生きていくための基本的な知識さえ身につける事ができない。



子ども達目を覆いたくなるような現状に溜息をついていると、ヤッギャ校長が『ヒマラヤ小学校が開校して、85人もの貧しい子ども達が教育を受けられた。これは本当に素晴らしい事です。たとえ時間が掛かっても、ここにいる全ての子ども達が教育を受けられるように頑張ろう』と、声を掛けてくれた。ヤッギャ校長の前向きな提案に救われる思いだった。たとえ一歩ずつでも頑張っていきたい。

ブンガマティ村から歩くこと3時間、カトマンズ盆地の川が合流して流れ込む『コトゥワール・ダハ』という場所についた。川の水さえ綺麗ならば『勝景地』として人々を楽しませてくれる場所だが、近年の都市化や人口の増加などに伴い、水は汚染され川にはヘドロが溜まり、とても長時間、立っていられない状況だった。同行のモンゴル先生によると、20年前はこの地で泳いでいたという。流れてくるサンダルやプラスティク容器、そして生活排水、この川が生き返るには、一体どのくらいの時間と努力が必要なのだろう。今回、環境活動に取り組んでいるサダナにとって、環境問題の現実を目の当たりにしたことは、かえって良かったのかもしれない。『何とかしたい』というサダナの言葉に、彼女の強い決意を感じた。

約5時間の山歩きだったが、ネパールの抱えている貧困、教育、医療、環境の各問題について改めて考える貴重な機会となった。1人で出来ることは小さく無力でも、皆で力を合わせれば、きっと何かをする事が出来ると思う。今回の経験を必ず後に活かしていきたいと思う。



hsf at 04:50│
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