子供達の成長ネパールでの仕事

2005年07月27日

ムヌ先生の活躍

7月27日(水)

朝からクリニックで治療。馴染みの患者さんの治療を終えた後、昼過ぎからヤッギャ校長の紹介で新しい患者さんがクリニックを訪れた。72歳の女性で3ヶ月前に椅子から転倒して以来、腰と足に激しい疼痛があるとのことだった。どのクリニックや病院へ行っても『歳だから。。』と相手にされず、痛みを我慢していたこところ、ヤッギャ校長から癌協会クリニックのことを聞いて来たそうだ。

年齢や体型また尿中のカルシウム濃度が高いこともあり、脊椎骨粗鬆症ではないかと疑った。骨粗鬆症に対して鍼治療がどの程度有効なのかはっきり言って分らない。まずは痛みを取る等の対症療法が中心になると思うが、少しでも患者さんを励ますことが出来ればと思う。患者さんには一応、毎日チーズを摂る様に勧めてみた。

治療を終えた後、ヒマラヤ小学校を訪ねた。何時ものようにカメラを片手に授業の様子を覗いて見た。最近、ナーサーリークラス担任のムヌさんがめきめきと実力をつけている様に思う。何と言ってもクラスの雰囲気がいい。子供達が底抜けに明るくクラスに一体感がある。

ムヌさんは幼い頃に両親と死別し孤児院で育った孤児だ。孤児院を出た後は施設で育った仲間4名と共にヒマラヤ青少年育英会の研修施設で暮しながら、様々な女性自立支援プログラムを受けてきた。ムヌさんは元々、歌や踊りが上手いことで有名だった事もあり、少しでもムヌさんの自立支援に繋がればと、昨年、ヒマラヤ小学校で歌と踊りの指導をお願いした。

その後、ムヌさんの真面目な性格と直向に努力する姿勢が周囲から大きな評価を受け、今年から教師としてヒマラヤ小学校で教鞭を取ることとなった。ムヌさんには教師としての経験がなかったため当初は不安が多かったようで、僕もムヌさんから相談を受けたことが何度かあった。

ムヌさんの授業を見ていると、今まで受けた様々なアドバイスや指導を忠実に守り実践していることがよく分かる。元々の素直で真面目な性格が良い形で教師の仕事に作用しているようだ。

down今日は園児1人がムヌさんに叱られ、教室の隅で悲しそうに座り込んでいた。いかにも構って欲しいと言いたげな表情でムヌさんを見つめる児童を、まったく相手にせず粛々と授業を進めるムヌさん。暫くの間、ムヌさんと園児の駆け引きが続いた。

放課後、悲しそうな表情で校舎の隅に立っている園児を、ムヌさんが優しい笑顔で『花を摘みにいこう』と誘った。その瞬間、園児の表情が笑顔に変わり、嬉しそうにムヌさんの手を握りながら花を摘みに出かけた。その後、園児は一生懸命集めた花をムヌさんにプレゼントした。

教育には心理的な駆け引きがとても重要だと思う。拗ねた子どもをただ可愛がるだけでは、子供達はきっと成長できない。優しさと厳しさのケジメをはっきりしているムヌさんのような態度が、とても大事だと思う。

帰り際、ムヌさんに上記の一件について尋ねると、『泣きながら訴えてくる子どもを無視するのは本当に辛かったけど、今日は何とか上手くいきました。』と笑顔で答えていた。




hsf at 23:06│
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