コーナー延長マチェンドラナート伝説

2005年05月20日

ドゥルガとラクシミ

朝、あすなろ食堂のスミトラさんから電話があり、昨夜、あすなろ食堂のキッチンで問題が起こったと怯えた声で連絡があった。往診をキャンセルし急いで『あすなろ食堂 』へ行って見ると、キッチンの天井と壁が真っ黒になっていた。

スミさんの話によれば、昨夜、直ぐに戻ってくるからと、ガスを消さないまま出来上がった料理を1階に運んだところ、1階にいた常連のお客さんとの会話が弾み、すっかりガスの事を忘れてしまったとの事だった。気がついてキッチンへ戻ると油を入れた鍋から黒煙が昇り、部屋中に充満していたらしい。閉店間際だったためキッチンの窓を閉めていた事も災いしたようだ。幸いにも濡らした布切れをガスパイプに巻いていたため引火せずに済んだが、下手をすれば大惨事にもなりかねない恐ろしい事故だ。

好事魔多し、開店から3ヶ月の気の緩みが事故の一番の原因だと思う。これまで多くの人に支えて頂き、少しずつ社会の一員としての自覚を持ち始めたスミさん達。今回の事故を猛省し、気を引き締め直して頑張って欲しいと思う。涙を流しながら何度も謝るスミさん。彼女の素直な心なら、きっと乗り越えられると確信している。

11時にヒマラヤ小学校を訪問。今日はクラス写真を撮る予定だったが、祭りの影響で欠席者がいたため、後日、日を改めて撮ることになった。その後、急いでカトマンズへ行き雑用を済ませた。何とか雑用を済ませた後、再びヒマラヤ小学校へ戻った。ヤッギャ校長とブンガマティ村周辺の学校を訪ね、ケナフの観察記録帳の配布を行った。どの学校もケナフに興味があるようで、これからの活動がとても楽しみだ。

夕方、寺子屋を訪ねた。寺子屋に通っている12歳の女の子ラクシミが、日本人の方の暖かいご支援で今年から学校へ通える事となった。ラクシミは貧困により3年生で学校を中退したが、どうしても就学の夢を諦めることが出来ず、昨年開校した寺子屋へ熱心に通っていた。

今年から4年生に復学したラクシミに学校生活について訪ねると、活き活きした表情で『とっても楽しい』との返事が返ってきた。同じクラスには、やはり今年から『里親教育基金』の支援を受けたラクシミの姉のドゥルガ(15)も学んでいる。

ネパールでは多くの女性が幼い内に幼児結婚を強いられる。ただでさえ教育を受ける機会の少ない女性が幼い内に結婚すると、教育を受ける機会を完全に失ってしまう。その結果、夫から自立出来なかったり、保健衛生の知識を得られなかったりする。ラクシミの母親も幼い内に結婚したため、教育を受けていない。夫は酒飲みで、家族の面倒を見ることが出来ず蒸発したそうだ。

ラクシミの母親は早朝から夜遅くまで絨毯工場で働いているが、5人の娘を学校へ送るだけの経済的な余裕はない。ドゥルガとラクシミの就学支援の話をした時、母親は涙を浮かべて喜んでいた。教育の大切さを理解している母親がいることはドゥルガとラクシミにとって、とても心強い。2人には母親の気持ちに沿うよう頑張って欲しいと思う。


hsf at 03:50│
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