2012年01月19日

2012年01月19日

ジェニシャの涙

1月19日

15日(日)はビクラム暦の第10月にあたるマーグ月の初日、『マーグサンクランティ』と呼ばれるお祭りの日だった。『マーグサンクランティ』はちょうど日本の『立春』にあたる日で、カトマンズ盆地に暮らすネワール族はギイ(バター油)、チャク(ゴマと黒蜜で作った飴玉)、タルール(山芋)を食べたり、体に油を塗って日光浴をしたりして、冬が明けた事を祝う。これからカトマンズ盆地は一気にバサンタ(春)へと向かう。

例年、マーグサンクランティの日は里親教育基金の第一期生、ジェニシャとジーナ姉妹の家でギィとチャクをご馳走になっている。今年も姉妹から「ギィ、チャクをどうぞ」、と嬉しい連絡を貰ったので、迷わず姉妹の家を訪ねる事にした。

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ジェニシャ、ジーナ姉妹については、このブログの中でも何度か紹介しているので、ご存知の方もいると思うが、2人は「里親教育基金」から就学支援を行った第一期生で、その後、姉妹が「自分たちも何かしたい」と、近所の子ども達を集めて字の読み書きを教えてくれた事が、その後の寺子屋、そしてヒマラヤ小学校の建設に繋がった事は周知の通りだ。支援を始めた頃、9歳だったジェニシャは22歳になり、今は小学校の教師として頑張っている。妹のジーナは20歳になり、現在はコンピューターを学びながら、――2ヶ月程前から――パタン市内のデパートで働いているそうだ。

家を訪ねると、姉妹が何時も通りの明るい笑顔で迎えてくれた。早速、ギィ・チャクをご馳走になったが、普段なら――甘党の僕でも――とても食べられないような甘すぎるギィ・チャクも、お祭りとあってか、この日ばかりは不思議と食が進んだ。この時期、やはり自然と身体が甘いものを欲しているのかもしれない。

ギィ・チャクを食べながら母親も交えて世間話をしていると、物価高騰の事が話題に上がった。母親はダサインの後に体調を崩し、収入源であった地酒のロキシー作りを止めているため、以前にもまして窮状を抱えているようだ。「何でもいいから仕事を見つけて欲しい」と、母親が必死に哀願してきたが、もちろん僕にそんな当てなどなく、ただ黙って頷く事しか出来なかった。

すると突然、傍にいたジェニシャが涙を零し始めた。なんでも母親に苦労ばかり掛けるのが辛く、この先、どうなってしまうのか不安なのだという。むせび泣くジェニシャに掛ける言葉が見つからなかった。

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追い討ちをかけるように、昨日からガソリン、灯油、ガス等の生活必需品が再び値上がりした。この狂気的な経済は一体、何処へ向かっていくのだろうか。。。。。。。貧困は弱い立場の人々に容赦なく襲い掛かり、明日への希望を根こそぎ奪い去る、、、、世の中で一番、恐ろしいものはきっと貧しさに違いない。大きなため息をつきながら、ふと、そんな事を思った。

お知らせ

生花で楽しむ“ロマンティック ボヘミアンズ”

Where is Alice?の宮城春菜さんのご協力をいただき、1月18日から31日までの日程で伊勢丹新宿本店5階で開催される「生花で楽しむ“ロマンティック ボヘミアンズ」において、ヒマラヤ小学校の卒業生らが将来の自立を目指して職業訓練所で制作したフェルトが販売されます。ぜひ、ご協力を宜しくお願いいたします。

■1月18日(水)〜31日(火)
■新宿店本館5階=ザ・ステージ#5

自由と平和を願うチベットの夕べ@めぐり

2012年1月21日土曜日
16時30分 開場
17時〜   映画「ヒマラヤを越える子どもたち」20分
17時30分〜ソナム・ギャルモの歌 タブラ;アブドゥル・ラーマン 40分
16時15分〜チベット料理の会(料理指導;リンジン・ギャリ)

会場  めぐり
参加費 3,500円(映画・歌・食事。バター茶以外の飲み物は別です)

ヒマラヤの青い空の下、透明な声と心で歌うチベット民謡は聴く人の心に響きます。今回は厳寒のヒマラヤ山脈を越え、チベット亡命政府のあるインド/ダラムサラへと向う子供たちの姿を追った「ヒマラヤを越える子供たち」という短編ドキュメントを上映いたします。チベットの唄姫ソナム・ギャルモの歌と共に、手作りのチベット料理もお楽しみいただけたらと思います。 背景の壁にはチベットの子供たちが描いた素朴な絵の展示もいたします。チベットの仲間たちと共に、小さなチベットワールドへのお越しをお待ちしております。

hsf at 21:34|Permalink