2011年04月

2011年04月18日

感受性の萌芽

4月18日

サパナある日の放課後の出来事。3階にある講堂から陽気な歌声が聞こえて来たので覗いてみると、新4年生のサパナが一人で楽しそうに歌いながら踊りを踊っていた。サパナは恥ずかしがり屋な女の子で、普段は人前で一切踊ったりはしないのだが、実は僕はサパナが相当踊り好きであることに薄々気づいていたので、「やっぱりか」と納得しつつ、放課後にこっそり踊るサパナを微笑ましく思った。

しばらく窓の外からサパナの踊りを覗いていると、サパナは僕がいる事に気付き、「キャーッ」と声を上げ、恥ずかしそうに部屋の隅に隠れてしまった。踊りを見られた事がよほど恥ずかしかったのだろう。顔を赤らめたまま暫くの間、僕の顔を見ようともしなかった。

赤ら顔のサパナを諄々と諭しながら、駄目もとで踊りを見せて欲しいと頼んでみると、あっさり承諾してくれた。本当は観てほしかったのだろうか???女心と秋の空・・・・・

それから暫くの間、サパナのワンマンショーが続いた。スカートの袖を持ち、気持ち良さそうに踊るサパナ。 普段は決して人前で踊らないサパナが楽しそうに精いっぱい踊る姿を見て、小さな感動を覚えた。子どもはみんな生まれてきた時に心の畑に一粒ずつ違う種が撒かれていて、成長に従って感受性の種が伸びていくという話を聞いたことがある。サパナも4年生になり、感受性の種が萌芽して、ぐっとその芽を伸ばしているに違いない。

帰り際、「次の歓迎会でみんなの前で踊りを披露してみては?」と、勧めてみると、「まだ練習が足りないわ。」と、満更でもない答えが帰って来た。ヒマラヤ小学の次代のダンス女王はもしかするとサパナになるかもしれない。そんな事を思いつつ、今後のサパナに注目だ。


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2011年04月16日

先生達の変化

4月16日

目線ヒマラヤ小学校で3名の外国人教師による指導が始まり2ヶ月以上が過ぎた。これまでのところ予想以上に良い成果が上がっていて、先生達の小さな変化を見つけることも毎日の楽しみとなっている。これも3名の先生達の熱心な指導と、一つでも多くの事を学ぼうとするヒマラヤ小学校の先生達の熱意の賜物だろう。本当に嬉しいかぎりだ。

最近では子どもと接する姿勢からも、先生達が自信を持ち始めたことを実感出来るようになった。これまで経験の浅い若い先生達の中には、何とかクラスを纏めようと必死になってしまい、子ども達を押え付けるようとする傾向が見られたのだが、指導を受けてからはクラスに余分な緊張感がなくなってきたようだ。

“自信とは自分を信じる事”と、高校時代の恩師に教わった事があった。先生達は研修を通して、自分を信じられるようになったのだろう。先生達の目線を見てもその変化を見ることが出来る。

先生ごっこ最近、昼休みに「先生ごっこ」をする児童が増えたのは、気のせいではないようだ。


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2011年04月12日

”パンダで運営している学校”

4月12日

パンダインフレによる物価の高騰でヒマラヤ小学校の運営は依然として厳しい状況が続いている。運営費用の殆どを日本の皆さんの善意の支援に頼っているため、現在は円高によって何とか維持できているものの、今後の為替の動向によっては運営状況の悪化は免れない現状だ。もし円安になったら、と考えただけで胸が締め付けられるほど不安に駈られてしまう。

経費削減策も出し尽くした今、一部の運営委員からは支援金額を上げるしかない、という意見も度々出されるが、先のブログでも書いた通り、安易に支援者の負担を増やすのではなく、ここは何とか自助努力によって乗り切ることが重要ではないだろうか。今はきっと支援への依存心を断ち切るため試練の時、踏ん張り時なのだ。

そんな訳で今年はぜひとも職業訓練校の製品販売に力を入れたいと考えている。もちろんチャリティ販売なので支援者の皆さんに頼る事にかわりはないのだが、運営資金がないから支援金額を増やすといった安逸を貪るような姿勢ではなく、今、自分達に出来ることで新しい路を切り開いていく姿勢こそ大事だと思う。それに製品を世の中に出すことで学ぶことも多いはずだ。

先日のブログの中で職業訓練には長い期間にわたる基本技術の訓練と修行が大事だ、と書いたが、今後は基礎を学びつつ、同時に学校を支える柱となるプログラムを考えていかなくてはならない。実は来月下旬から上野のめぐりギャラリーでパンダの写真展が開かれ、そこにヒマラヤ小学校の職業訓練校で製作したパンダのフェルトが販売される予定になっている。

例えばフェルト作りでも、今後は「パンダ」に特化するのも一つの考えではないだろうか。特化することで質の向上にも繋がるだろうし、何より「パンダで運営している学校」というようなれば職業訓練校の生徒達も遣り甲斐が出てくるだろう。フェルト以外にも今後はカレー粉つくりを予定しているので、「カレーで運営している学校」というのも良いかもしれない。パンダという名前はネパール語が語源らしいので、パンダでもカレーでも兎に角、ネパールに関係するものに特化して頑張っていけば、関わる人たちが活動に誇りを持ち、いい方向に進んでいくはずだ。

荒れ狂う海原での難航海は続くが、遠くに見える小指の先ほどの小さな希望の光を目指し、みんなで一丸となって頑張って生きたい。ぜったいにヒマラヤ小学校丸を沈めない。

お知らせ

上野めぐりギャラリーのパンダ展(5/27(金)〜6/19(日))ではヒマラヤ小学校職業訓練校の生徒が製作した可愛いパンダのフェルト作品やブローチを販売予定です。ご協力お願いいたします。また美味一服めぐりでは期間中、下記の特別メニューがお楽しみいただけます。詳しくは美味一服めぐりHPをご覧ください。



★パンダカレー パンダの故郷、チベットの緑豆のカレー、黒米入り玄米と白米でパンダをかたどった可愛くて、笑えて、おいしいカレーです。サラダ付き1000円。

★パンダのパンケーキ。めぐりブレンドのおいしいパンケーキに黄金律ミルクのアイスクリームをつけました。コーヒーとセットで800円。

★パンダアイス リーリー、シンシンの二匹のパンダアイスです。違いがわかるかな? 600円



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2011年04月09日

教員指導

4月9日

110402 (5)aa昨年の5月から6月に掛け、フランス人教師のメラニー先生による交流活動と教員指導が行われ、学校に大きな変化をもたらした事はブログやホームページの中でお伝えしている通りだ。メラニー先生との交流が子ども達の夢を育んだ事はもちろん、生きた知識と技術を習得したことで先生達の意識の高揚にも繋がった。その後、先生達から研修を受けたい、という要望がたくさん出るようになった事からも、メラニーさんとの交流がいかに有意義であったのかが分かる。未経験のまま教員となり、何かと不安を抱えていた多くの若い先生達にとって強烈な栄養剤になったのではないだろうか。

先生達の強い要望を受け、今年2月から3名の外国人教師による教員指導がはじまった今回は三ヶ月という長期間の指導という事や2度目という事もあって、これまで以上に大きな成果が期待できるのではないかと思う。今回の指導から先生たちが何を学び、どう活かしてくれるのか、今後の先生達の活躍が本当に楽しみだ。先生達が遣り甲斐や自信を持ち、それぞれの能力を活かす事が出来れば自ずと学校は良くなっていくだろう。そう考えると、僕達の役目は一人ひとりの先生が活躍できる舞台を作る事に尽きるのかもしれない。


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2011年04月06日

里親教育基金の奨学生の旅立ち

4月6日

奨学生最近、ヒマラヤ小学校の卒業生の話題が続いているが、実は“卒業”を迎えるのはヒマラヤ小学校の児童だけでない。里親教育基金の奨学生達の中にも今春、卒業を迎える子がいるのだ。

ヒマラヤ小学校が開校する以前、「里親教育基金」という支援制度を設け、主に貧困母子家庭の女子の就学支援を行っていた。このブログでも里親教育基金の奨学生アシュミタジェニシャについて取り上げた事があったのでご存知の方も多いと思う。

ヒマラヤ小学校が開校した後は学校運営に注力するため「里親教育基金」の新規募集は中止する事になり、現在は一部の支援者の方から頂く継続支援と基金の残金から、17名の女子学生へ支援を続けている。里親教育基金は原則として10年生を終えると支援が終了となるため毎年、2〜3名ずつ奨学生が卒業している。今年はヒマラヤ小学校があるブンガマティ村の奨学生2名が10年生を終え卒業することになっている。

こうして毎年、奨学生達が一人ずつ卒業し、それぞれの新たな夢を目指して社会に出て行く。わずか10年という短い期間とはいえ、心身ともに最も成長する人生の大事な時期に彼らと関わり、ささやかながらもお世話できたことは本当に嬉しく、感慨を覚える毎日だ。奨学生たちの新たな旅立ちをしっかり見守りたい。


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2011年04月05日

卒業後の支援

4月5日

児童現在のところ児童の卒業後の進路は主として1)公、私立中学校への進学 2)職業訓練校で自立に向けた職業技術を学ぶ、という2つの選択肢がある。(昨年まではこの他にオープンスクールという進路もあったが残念ながら現在は諸事情により中止となっている。)今年、卒業する5年生の中には未だ進路について決めかねている子の方が多いようだ。ヒマラヤ小学校の中に、中、高等部が出来、そのまま皆で一緒に学ぶことが出来るのなら悩むこともないのだろうが・・・・・

卒業を控えた5年生のスポンサーシップ支援者の方から、卒業後も応援したい、という温かいお申し出を頂く事があるのだが、残念ながら現在のところ学校として卒業生を支援する制度を設けていないため、原則として支援のお申し出はすべて辞退している。卒業生の支援制度についてはこれまで何度も議論を交わしてきたが、資金面以外にクリアしなければならない問題が多く、学校として支援制度を設けることには消極的だ。

教育の大切さを認識し、親類や友人に頼りながらも自力で子どもを進学させようとする保護者が少しずつ増える中で、初めから支援ありきのやみ雲な応援はかえって支援への依存を高めてしまうという懸念があり、どこかで線を引かなくては、という気持ちを持っている事も支援制度に対して消極的な理由のひとつだ。卒業を一区切りとして、卒業生と適度な距離を保つことも自立を応援する上で大事な事ではないだろか。

学校としては、窮状を抱え自力での進学がどうしても難しい卒業生には政府や民間団体の奨学金制度への推薦を行っている。(昨年は3人の児童が政府関係の奨学金制度を利用して進学することが出来た。)その他、進学を希望する児童には初年度にかぎり教科書や学用品の援助なども行っている。また卒業生には児童福祉基金の満期支払いもあるので、自力での進学は決して不可能ではないし、進学以外に職業訓練校で職業技術を取得することという道もある。(無償)

卒業生達は少々厳しい現状かもしれないが、厳しい現状に向き合うことが人間を大きくするのではないだろうか。卒業生との適度な距離を保ちつつ、彼らの人生をしっかり見守っていきたい。



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2011年04月02日

児童福祉基金の支払い

4月2日

児童今年も卒業生に「子ども福祉基金」の満期支払いが行われる予定だ。子ども福祉基金はこのブログで何度もお伝えしている通り、児童の相互扶助と預金の習慣を身につけることを目的に毎月5ルピーずつ(現在は20ルピーずつ)徴収しているもので、卒業時には掛け金に利息をつけて支払っている。今年の卒業生のほとんどは2004年に幼稚園年少クラスに入学し在籍期間が7年間と長いため、一人当たり1000ルピーくらい支払われるのではないかと思う。

わずか1000ルピーかもしれないが、子ども達や保護者にとっては長年かけ初めて貯めたとても意義のある貴重なお金だ。子ども達には手にしたお金をしっかり胸で握り締め、それぞれの新たな道へと歩んで欲しい。


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