2011年01月

2011年01月20日

職業訓練〜基本技術の訓練と修行〜

1月23日

ジャンプ子ども達の将来の自立を目指して始った職業訓練校も、もう直ぐ開校から2年が経とうとしている。いくつかの課題はあるものの、これまでのところ予想よりも順調に進んでいるように思う。これも大勢の人に支えられたお陰だ。心から感謝したい。

これまで職業訓練所で製作した品を日本国内でチャリティ販売をして頂いたり、またネパール国内でも職業訓練校で学ぶ生徒達自らが物販する機会にも恵まれ少しではあるが職業訓練校の品を世に出すことが出来た。また一部ではあるが職業訓練で学んだ生徒の中には、収入を得る者も出るようになった。こうした現状から見ても職業訓練校が少しずつだが確実に前進していることが分かる。

現在、職業訓練校の主力技術はサリの刺繍付け、フェルト、ビーズを使ったアクセサリー作り等だ。これらの技術は、実際には他の職業訓練所でも行われ競争が激しいため、なかなかチャリティ販売なしでは利益を生むことが難しい現状だ。そうした現状を踏まえ、”何か独自の新しい職業技術を取り入れるべきだ”という意見を数多く頂いた。もちろん将来的にはヒマラヤ小学校の職業訓練校でしか学べない、あるいはここなら学べる、といった職業技術を作っていきたいというのが、僕達のささやかな夢である。しかし、そうした新しい技術を始める前に、まずは長い期間にわたる基本技術の訓練と修行が大事ではないだろうか。なにか新しさを発揮できるとしたら、きっと長期間の訓練と修行をつんだ後なんだろうと思う。

ということで、今年もサリの刺繍付け、フェルト、ビーズを主力に頑張っていきたい。卒業生が自立し、職業訓練校や学校の運営を支援に頼らず自力で出来るようになるまでには、まだまだ気が遠くなるほど厳しく長い道のりだ。それでもモノつくりの努力をコツコツと積み上げていけば、きっと未来を切り開くだけの大きな力となるだろう。僕はそう信じている。













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2011年01月18日

預金の大切さ、連携の大切さ

1月18日

校長往診治療の途中、ヤッギャ校長が理事を勤める地元の農業協同組合に立ち寄ると、ヤッギャ校長が面白いものを見せてくれた。

なんでも農協には「チャイルド・セービング」と名づけられた預金があり、毎月、子どものために1ルピー以上のお金を農協が配った貯金箱に入れ、農協へ預ける仕組みにになっているそうだ。貯金箱の鍵を開けられるのも、預けたお金を引き出せるのも、すべて子どもだけという点が特徴だ。

これまで村人の間では預金するという習慣が少なく、場当たり的な生き方をする人が多かったように思う。特に子どものためにお金を貯めるなんて、あまり聞いたことがなかった。ヒマラヤ小学校の父兄にも日雇い労働で100ルピー稼ぐと、その日のうちに100ルピー全部を使ってしまう人が多く、いざという時に困る人が大勢いた。

校長ヒマラヤ小学校では開校当初からヤッギャ校長の案で「子ども福祉基金」を設け、児童から毎月5ルピーずつ徴収し、子どもが怪我をした時に活用したり、貧困家庭には子ヤギを渡している。(ヤギが成長して子を産んだとき、子ヤギを販売して返金する仕組み)また卒業時には利子を足した全額を児童に渡し、卒業後の旅立ちの一助としている。わずかな基金ではあるが、卒業後の旅立ちに自分で貯めたお金を使う事は自立の意識を高揚させる事につながり、また毎月、定期的にお金を預けることで、父兄と児童が一緒にお金の大切さを学びながら、預金の習慣を身に受ける事に役立っている。

農協の「チャイルド・セービング」、預金者の数が増え貯金箱の生産が間に合わない状態なのだという。村の人々の預金に対する理解が深まっているのは本当に嬉しいことだ。こうしてみるとヤッギャ校長がいつも言うとおり、学校単独ではなく農協をはじめ様々な組織と連携、協力することが本当に大事である事がよくわかる。これからも皆でしっかりとスクラムを組んで、一歩ずつ進めていきたいと思う。明日への希望が見える嬉しい日となった。







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2011年01月17日

新しい学校つくり

1月17日

ジャンプあと2ヶ月もすると3学期の期末試験が始まる。1、2学期の成績が芳しくなかった児童にとっては進級を決めるために、どうしても落とせない大事な試験だ。義務教育のないネパールでは年3度の学期末試験の成績によって進級が決まり、及第点に達しない場合は留年となる。実際にヒマラヤ小学校でも毎年、残念ながら数人の児童が留年している。小さいうちから試験に追われる事には首を傾げたくもなるが、とにかく全員進級を目指して頑張って欲しい。

3学期の期末試験が終わり成績発表が行われると、5年生がヒマラヤ学校から巣立っていく。卒業生を送り出すのも、もう3度目だ。今年、卒業する児童は2004年のヒマラヤ小学校の開校と同時に入学した最後の児童ということもあって感慨深い。考えてみれば、来年度からは開校当初の様子を知る児童が一人もいなくなることになる。不安もあるが、新世代の子ども達との学校づくりは楽しみでもある。

これから、7年間で見えてきた問題点を一つずつしっかり改善させ、浅い川も深く渡りながら、新世代の子ども達と一緒に新しい学校づくりを進めていきたい。



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2011年01月15日

足るを知る

1月15日

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学校で活動をしていると、子ども達から学ぶことが本当に多い。先日、東京-銀座ロータアクトクラブから若者6名がヒマラヤ小学校を訪れ、子供達と一緒に果樹園の井戸堀に汗をながしてくれた。作業が終わり、一生懸命お手伝いをしたご褒美にロータアクトの皆さんからケーキをプレゼントして貰った時のこと。幼稚園クラスで学ぶ6才の女の子がケーキを一口食べた後、突然「家にもって帰ってもいいですか?」と、訊いてきた。なんでも初めて食べたケーキがあまりに美味しいので、お母さんにも食べさせてあげたいのだという。本当は甘いものに飢えているはずなのに。。。。。

「足るを知る」、児童の温かい優しさからそんな言葉が浮かんできた。足るを知ることは幸せに通じるという。子ども達が貧しくても、底抜けに明るく幸せな笑顔を持っているのは、きっと「足るを知る」という心を持っているからだろう。またひとつ、子ども達から大事な事を学んだ気がする。

hsf at 00:02|Permalink