2010年05月

2010年05月30日

学習発表会〜後半〜

5月30日

空手学習発表会後半は成績優秀者や各分野で活躍した児童を表彰する式典が行われた。式典の合間には空手部や児童が歌や踊りなど好きなことを自由に発表し、最後まで賑やかな時間となった。前半のプログラムは何もかも初めての事ばかりだったので、子ども達もそれなりに緊張していたのだろう。後半は良い意味で前半の緊張感がなくなり、子ども達の表情ものびのびとしていた。

ヒマラヤ小学校の表彰では各クラスの成績上位1~3番の児童を表彰する「成績優秀賞」の他、「皆勤賞」(男女1名ずつ)、年間を通して身奇麗にした児童を讃える「清潔賞」(1名)、みんなが驚くことや面白いことをしたり、積極的に何かに挑戦した児童へ贈る「ベストパフォーマンス賞」、学校の手伝いを良くしてくれた児童へ贈る「ベストヘルパー賞」などが用意されている。今年は特別に「メラニー特別表彰」を設け、メラニーさんの選考によって「ベストリーダーシップ賞」と「ベストインプールーヴメント賞」を授与することになった。

誉められる事は、子ども達の成長にとって一番の起爆剤だ。子ども達が期待に胸を躍らせながら各賞の発表を待つ様子はなんとも微笑ましかった。中には名前を呼ばれる前から自信満々の表情を浮かべてステージへ出てくる子もいて面白かったが、その子なりに何かを達成したという確信を持っている証拠だろう。なんとも頼もしい限りだ。また大方の予想を裏切る形でベストヘルパー賞に選ばれた3年生の児童など、自分の名前を呼ばれた瞬間、一体、何が起こったのか分からないような驚いた表情をしていたが、発表会の後の片づけを率先して行っていたところを見ると、受賞の喜びは相当大きかったのだろう。

卒業生各表彰の間には空手部をはじめ児童らが自由に参加して、それぞれ得意の演技を披露した。特に空手部は在校生と卒業生が壷割りや瓦割り、分解と呼ばれる演技を披露して学習発表会を大いに盛り上げてくれた。卒業生の活躍を憧れの眼差しで見ていた在校生の姿が印象深かった。今回、卒業生が学校行事に参加してくれたことで、遅れている同窓会の設立にも弾みがつきそうだ。

頭突き今回の学習発表会は筆舌にはとても尽くせないほど成果がたくさんあった事を実感している。メラニーさんからたくさんの愛情を注いでもらい、“愛されている“という確信を持てたからこそ、子ども達は能力以上の成果を出せたのではないだろうか。また皆が一丸となって学習発表会に向けて取ん組んだことは、僕達、教職員にとっても大きな自信に繋がった気がする。学校が大きくなった事で、とかく乱れがちのチームワークだが、今回の発表会を通して皆それぞれに“一つになる事”の大切さを学んだのではないだろうか。開校から6年、ヒマラヤ小学校は大きな、大きな一歩を踏み出せた気がする。

学習発表会の様子をビデオに纏めてみました。ぜひ、ご覧ください。






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2010年05月29日

学習発表会

5月29日

児童いよいよ学習発表会の当日を迎えた。制憲議会の期限の延長を巡って混乱していた政治も、なんとか前日の夜遅くになって主要政党が制憲議会の延長に合意したためゼネストが回避されることになった。こうして幸運も味方して、初めての学習発表会は始まった。

幼稚園年少クラスから順に担任が発表内容についての説明を行い、発表が行われた。トップバッターの幼稚園年少クラスは、メラニーさんから教わった「グッドモーニング」の歌を可愛らしい振り付けで歌い、大きな拍手をあびた。短時間でここまで出来るようになったのだから、子ども達の向上は無限だと思う。担任のギャ二先生も本当に良く頑張ってくれたと思う。

学習発表会続いては幼稚園年中クラスと2年生の混合チームによる劇「あたまのてっぺんからつまさきまで」。動物のお面を被った2年生が現れ、それぞれの動物を真似た動作をした後、園児に向かい「Can you do it?」と尋ね、園児達が「Yes, I can do it」と答えて、2年生達の真似をする可愛らしい劇だ。こちらも練習の時間が殆どなかったにも関わらず上出来だった。子ども達の吸収力には本当に驚かされる。

続いて1年生による英語版の「幸せなら手を叩こう」の披露が行われた。こちらは新1年生のプスパが全員をリードして、最後まで間違えずに歌い上げた。素晴らしい出来。プスパは向学心旺盛で今後の成長が本当に楽しみな女の子だ。プスパをはじめ子ども達の向学心に応えることは、僕達が果たすべき役割だと思う。

その後、3年生の女子が踊りを披露。「マイティガハール」という歌に合わせて踊ったが、この振り付けは卒業生の一人、ラクシミが在校中に創ったもの。ラクシミが卒業してからも、こうして後輩達に引き継がれていることが素晴らしい。その後は男女混合のダンスが行われ、こちらもこれまでで最高の出来栄えだった。普段は踊らない児童が踊っている姿を見ると、やはりとても新鮮だ。

続いて4年生の児童による「We shall over come」の歌が披露された。4年生が自ら歌詞に沿って振り付けを行い、文句なしに素晴らしい出来だった。

児童さて、メインイベントとも言える4,5年生合同の演劇「ヒマラヤ小学校の種」が行われた。「ヒマラヤ小学校の種」は、元々、エリック=カールの「小さな種」という本を元に、子ども達が創作したストーリーだが、小さな種がヒマラヤ小学校に飛んできて、いろんな物に化けるという内容。種からマンゴーの実がなり、皆で一緒に食べたいと言った子、種が学校になり沢山の友達が勉強できるようになるといった子、他にも種が米に化けお腹いっぱいご飯を食べたいと言った子など、それぞれ夢や優しさ溢れた素晴らしい内容だった。本番では台詞を間違えることもなく、みな上手に演じる事が出来た。最後に4,5年生が合唱した「Let`s be friends」もこれまでで一番の出来だったと思う。子ども達の底力を思い知った学習発表会前半の内容だった。

つづく


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2010年05月25日

帰ってきたクマール

5月26日 

クマ第一期卒業生の進路についてブログの中でお伝えしたが実は何もしていない2人の卒業生(男子)の内、一人はクマールだった。クマールはこのブログでも度々登場しているので、ご存知の方も多いかもしれない。ある時など、あまりにもクマールの事をブログで書きすぎて読者の方から注意された事もあったくらいだ。それくらいクマールはヒマラヤ小学校になくてはならない存在だった。

クマールはヒマラヤ小学校卒業後、公立学校へ進学を果たしたのだが新しい環境に上手く慣れなかったようで、僅か1ヶ月あまりで退学してしまった。ヒマラヤ小学校在校中、こちらが呆れるほど数々の問題を起こしてきたクマールだが、逆に言えば、それだけ自分に注目して欲し、愛情を注いで欲しいという気持ちの表れとも言える。一クラス60名を越える生徒が学んでいるマンモス校へ進学し、大勢の中の一人となってしまった事で、クマールは愛されているという確信を持つことが出来なくなったのかもしれない。

退学後、一度はオープンスクールにも入学したが、こちらも続かず1ヶ月あまりで退学してしまった。その後は時々パタン市内の食堂などで働いているという話を耳にしたこともあったが、特に何もせずにふらふらして落ち着かない日々を過ごしていたようだ。クマールを見かける度に声を掛けてきたが、15歳というとても多感な時期も重なり、クマールはなかなか僕達の話に耳を傾けてくれず、長らく我慢比べの日々が続いた。

春休みが始まる前のある日、空手師範のビジャヤさんから「クマールは将来、黒帯を取って師範になればいい」という提案があり、ビジャヤさん自らクマールを説得してくれるとの話だった。 確かにヒマラヤ小学校で空手部を始めたのはクマールの熱意が切欠だし、クマールが誰よりも空手を頑張ってきた事を知っているので可能性を感じつつも、なかなか確信を持つことは出来なかった。

クマ横暫くして新学期が始まり、初めての稽古の日。突然、ビジャヤさんから「今日はきっとクマールが来ますよ」と言われ、半信半疑、ほとんど期待せずに待っていると、なんとクマールが照れ笑いを浮かべながら学校に現れた。暫く見ないうちにクマールは筋骨隆々、逞しい青年に成長していて、在校中に着ていた胴衣はすっかり体に合わなくなっていた。

何がクマールの気持ちを変えたのか詳細は分からないが、ビジャヤさんの提案通り、これからクマールは黒帯を取得して師範を目指すのだという。黒帯を取得すれば学校で指導者として活躍することが出来る。正にクマールにとっては願ったり叶ったりの話だ。もし空手を通してクマールが自信を持つことができれば、今後、オープンスクールへの復学だって不可能ではないと思う。稽古に精いっぱい打ち込むことで、クマールはきっと迷いの中から抜け出すことも出来るだろう。僕はそう信じている。クマールが見つけた新しい夢をみんなで応援したい。がんばれ、初代・ガキ大将クマール!! 






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2010年05月23日

天才 さちんくん

5月23日

天才ヒマラヤ小学校には才能に溢れる子ども達が大勢いるが、最近、急激に頭角を表して来たのは何といってもサチンではないだろうか。勉強こそイマイチだが、遊びに関してはほぼ敵知らず。時には上級生を従える事も。サチンの凄さは遊びだけではなく、歌が歌えて、踊りが踊れ、空手も強い。簡単に言えば勉強以外はほぼ何でも上手にこなす事だと思う。どこで覚えたのかマイケルジャクソン顔負けのブレークダンスを踊り、 歌はラブソングを、感情を込めて歌い上げる。その姿は既にプロ顔負けだ。

先日、サチンのクラスが自習となっていたので、久し振りに衛生教育をしようと思い教室に入ると、サチンが急に立ち上がり歌を歌いたいと言い出した。急遽、教室にステージを作り、サチンのワンマンショーを開く事にした。よほど嬉しかったのか、サチンは休みなしに歌い続け、最後にはお願いしてもいないアンコールにまで応えてくれた。45分のワンマンステージはサチンにとって、きっと至福の時間となったにちがいない。観客の反応は。。。。。ご想像にお任せしたいと思う。


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2010年05月20日

Let`s be friends

5月20日(木)

児童学習発表会で4、5年生の子ども達が取り組むのは、絵本作家エリック・カール作の「小さな種」を元に子ども達自身が創作した「ヒマラヤ小学校の種」という演劇だ。小さな種が学校に化けたり、友達に化けたり、美味しい果物に化けたりと、子ども達の柔軟な発想が作り上げたなかなかの傑作だ。実った果物を友達と皆で一緒に食べたいと言う子ども達の優しさが胸を打つ。

演劇の後、子ども達は「Let`s be friend」という歌を合唱することになっているが、この歌、子ども達が歌うとなんとも素敵で何度聴いても心地がよい。学校生活の醍醐味は、何といっても友達を作ることにあるからだろう。

Let’s be friends with one another
Let’s be friends with one another
Let’s be friends with one another
Let’s be friend s today

You can smile at a friend
You can wave at a friend
You can wink at a friend
Let’s be friends today



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2010年05月18日

教育の質について

5月18日

児童ブログで教育の質の向上について書いたところ、支援者をはじめ読者の皆さんから多くの問い合せがあった。反応が多いと言う事は、それだけヒマラヤ小学校への関心が高まっている事でもある。こうして大勢の方と学校について意見を交わしたり、問題を共有して貰える事は本当にありがたい事だ。ぜひ、学校づくりを進めていけたらと思う。

さて本題の教育の質についてだが、決して勉強ばかりさせるような学校を目指しているのではなく、現状よりも分かり易く合理的な指導法を導入する事による“たのしく、分かりやすい授業”という意味での教育の質の向上を目指している。これまでネパールの多くの学校で行われて来た教育は単に暗記を目的にしたものが多く、必ずしも効率的ではないように思う。ヒマラヤ小学校で行われている授業も大半は、先生達が学生の頃に経験した授業形式に基づいた暗記中心の授業が行われているようだ。勉強の良く出来る子にとっては問題ないのだろうが、やはり勉強の遅れている子ども達へのケアという意味でも、暗記ばかりでなく、学習意欲が沸くような楽しく、わかりやすい授業が必要だと思う。これまでのやり方が、少しずつ社会に合わなくなってきている事を実感している。

これまでの6年間、ヒマラヤ小学校では勉強よりも“楽しく夢のある学校つくり”に重点を置いて来た。それによって貧しい子ども達が夢や希望を抱いたり、自信を身に付けるなど大きな成果が上がったものの、教室の外では飛びっきり元気な子どもが、授業が始まった途端に憂鬱な表情を浮かべている姿を見かける事も多い。

先日から米国の小学校や日米の聾学校、モンテソリなどで教師として活躍したフランス人教師のメラニーさんによる授業が始まったが、歌や踊りを効果的に使った指導が行われ、授業中に俯き加減だった子が積極的に授業に参加するなど、子ども達の反応を見てもその効果は歴然としている。教え方一つで子ども達の学習意欲を十分掻き立てる事が出来るのだ。

子ども達の学習意欲が高まる事によって、きっと先生達の指導意欲も向上するのではないだろうか。教育の質向上への道はまだ始まったばかりだが、一歩ずつ着実に進めて行くきたいと思う。



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2010年05月14日

メラニーさんによる勉強会

5月14日

ワークショップ長かったゼネストが明け、ようやく9日(日曜)から学校が再開した。ゼネスト中は学校だけでなく商店や事務所なども閉まっていて、こんなに休んでも大丈夫なのかと心配になったりもするが、そこは流石ネパール。誰一人として慌てていない。これこそ僕たち日本人が一番学ばなければいけない点のような気がする。

今日から火曜と金曜の週2回の予定で、フランス人教師のメラニーさんによるワークショップが始まった。メラニーさんには子ども達への指導だけでなく、ぜひ先生達への指導もして欲しいとお願いしたところ、指導ではなく共有と言う形でなら、という事でお引き受け頂く事になった。先生達の中には未だ十分な研修を受けていないため、“指導に自信がない”という不安の声もある。ぜひメラニーさんとの交流やこうしたワークショップを通して、先生達に自信を持って貰えたらと思う。

校長初日の今日は「子ども」をテーマにワークショップが行われ、参加した先生達も活発に意見を交わすなど有意義な学びの時間となった。振り返ってみると、僕自身、これまで子ども達と関わりながら、じっくり「子ども」について考えた事はなかった。今日のワークショップでは、いろんな角度から「子ども」いつて考えることができ、新たな“気付き”も幾つかあった。より良い支援活動を展開するためには、まず何よりも「子ども」について知ることが大事だと改めて感じたひと時だった。

次のワークショップでは「幼児教育」について学ぶ予定。来週も本当に楽しみだ。





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2010年05月13日

学習発表会の準備進む!

5月13日(木)

鼻今月29日、開校以来、初めてとなる学習発表会を開催する予定だ。教育指導のため来校中のメラニーさんの指導の下、発表会に向けた準備は着々と進んでいて、どのクラスの子ども達も本番に向け目をキラキラと輝かせている。こうして一つの目標に向かって、みんなで一丸となって向かっていく事で子ども達の成長はもちろん、教職員の士気の向上も期待できるのではないだろうか。ほとんど恣意的に提案した学習発表会だが、今は提案できて本当に良かったと感じている。ぜひ発表会を今後の活動の大きな手がかり、足がかりに出来ればと思う。

今回の学習発表会では絵本作家エリック・カールの絵本を元に子ども達が劇を創作したり、現在、各クラスで行われているアートプロジェクトを発表したりと、主としてメラニーさんから教わった事を元に子ども達が発表するという賑やかな内容だ。もちろん子ども達の大好きなダンスも披露する予定だ。

4年生の子ども達は5年生と共同で演劇に挑戦する他、ピーター・ポール・アンド・マリーの名曲「We shall over come」を歌うことになった。この曲、言い出しっぺの僕が指導することになり、当初はそれなりに不安もあったのだが、子ども達が勝手に振り付けまで考えてくれたお陰で、初回の練習から不安は完全に払拭された。何事も子ども達に任せておけば上手くいくという好例ではないだろうか。

発表会まで残り約2週間。子ども達の成長をこの目でしっかり確かめたいと思う。頑張れ子ども達!



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2010年05月10日

山の上の村の変貌

5月10日

工事久しぶりに山の上の村へ往診治療に出かけた。このところ忙しさに感けてしまい十分な治療活動が出来ていない状況が続いている。加えヒマラヤ小学校が大きな変革期を迎えていることもあり、なんとなく気持ちが落ち着かない事も治療活動を怠ける屁理屈になっている。十分な治療活動を再開するためにも、学校をしっかり安定させる事が急務だ。

山の上の村へ向かう途中、普段は静かな山里になにやら物騒な音が聞こえてきた。コースを変えて近づいてみると、なんと大きなブルドーザーが轟音を轟かせながら山肌を削り道路建設しているところだった。しかも、道路建設はかなり進んでいる様子。突然、突きつけられた現実に驚いたが、これも社会の変化として受け入れるしかないのだろうか。

レンガ道が出来ると村の生活は大きく変わる。便利になる反面、失うものも多いことは周知の事実だ。決して変わらないで欲しい等と、おこがましい事は言わないが、やはり急激な変化には一抹の不安を覚えてしまう。これから山の上の村々の生活はどのように変わっていくのだろうか。不安と期待を抱きながら僕なりに村の暮らしを見つめていけたらと思う。




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2010年05月08日

お母さん、泣かないで

5月8日

保護者会先日の保護者会での事。ある児童の母親が涙に咽びながら「私達、家族がブンガマティ村にいるのは、この村にヒマラヤ小学校があるからです」と、学校に対する感謝の気持ちを伝えてきた。涙を流す母親の傍で「お母さん、泣かないで」と、母親の涙を拭う娘の姿に胸が熱くなった。こうして学校を信じてくれる人がいる限り、どんな事があってもヒマラヤ小学校を継続させなければならない、そんな思いを新たにした瞬間だった。

児童の家族は今から4年ほど前、ネパール東部の村から仕事を求めてカトマンズ盆地へ移り住み、知人の紹介を受けブンガマティ村で暮らすことになったそうだ。母親は2人の娘を養うために建設現場やカーペット工場、レンガ工場などで日雇い労働者として働いている。母親の夢は、2人の娘が教育を受けること。おそらく教育を受けられなかった自身の悲惨な経験に基づいたものだろう。

ヒマラヤ小学校で学ぶ児童の家庭の内、約4割はカトマンズ盆地外の地域から仕事を求めて移り住んできた人たちだ。子どもをヒマラヤ小学校へ入学させたものの、より条件の良い仕事が見つかると、子ども達の教育の事などお構いなしに村を去っていく人たちが多い。もちろん窮状を抱えている身、生きていくためには仕方の無い事だが、移り住んだ場所で果たして子ども達が教育を受けられるのかというと、恐らく難しい現状だろう。

保護者には常々、将来の事を考え、どんなに苦しくても出来るだけ踏ん張って欲しいと伝えている。それだけに「ヒマラヤ小学校があるから村に暮らし続けている」という母親の力強い言葉は、僕たちだけでなく、他の保護者にも勇気を与えたのではないかと思う。苦しい現状に変わりはないが、保護者にはなんとか頑張って欲しいと思う。僕たちもしっかり保護者の気持ちに応えていきたい。

ヒマラヤ小学校通信5月のニュース




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2010年05月05日

第一期卒業生の進路

5月5日

新入生ヒマラヤ小学校から第一期卒業生を送り出してから1年が過ぎようとしている期待と不安を胸に18名の卒業生を見送ったのだが、果たして現状はどうなのだろうか。1年あまりが過ぎた今、卒業生達の現状について纏めてみたい。

2009年の5月、ヒマラヤ小学校から18名の卒業生が巣立った。卒業生の卒業当時の進路は次の通り。一応、全員が進学を果たした形だったが、、、、

*地元の公立中学校へ進学:9名
*別の地域の公立学校へ進学:2名
*私立学校へ進学:2名
*オープンスクールへ入学:5名

公立学校へ進学
公立学校へ進学した11名の卒業生の内、男子1名が新しい環境に馴染めず1ヶ月あまりで退学した。残りの10名の内、5名が一部支援(教科書やノート、期末試験代など)を必要とし、残りの5名はなんとか自力で就学を続けているようだ。

私立学校へ進学
私立学校へ進学した2人名の内、1名は継続的に勉強を続けているが、1名は1ヶ月あまりで中途退学する結果となった。退学したのは金銭的な理由ではなく、こちらも新しい教育環境に馴染めなかった事が理由だった。たまたまかもしれないが、私立、公立校ともに中途退学した2名の卒業生が、所謂、低カーストに属している事はとても気になる点だ。

私立学校を中途退学した卒業生(女子)は最近になって、ようやく新たな目標を見つけだしたようで、現在、卒業生の新たな出発に期待しているところだ。

オープンスクールへ進学
オープンスクールに進学した5名(男子1、女子4)の卒業生の内、現在も勉強を続けているのは3名。女子1名は結婚して別の村へ移ったため退学。男子1名は1ヶ月も満たない内に退学してしまった。公立学校を退学した上記の男子も途中からオープンスクールへ入学したが、やはり長続きしなかった。

職業訓練
その他、職業訓練についてはオープンスクールで学ぶ3名以外に、4〜5名の卒業生が休みなどを利用して職業訓練を受けている。こちらは受け入れ態勢も順調に進み、新年度からは卒業生達がもっと学びやすい環境を構築できる予定だ。

結局、卒業生の内、1名が結婚、14名が公私立中学校で勉強を続け、1名が私立学校を退学したものの新しい道に向かって準備を開始、オープンスクールを退学した男子2名が何もしていない状態だ。2人を見かける度に先生達と一緒に声を掛けるなどしているが、なかなか落ち着かないようだ。2人とも思春期を迎えたばかりの10代の少年。苦しんでいるのは本人達だろう。こちらまで諦めてしまったら、その時点で全てが終わってしまう。これからもじっくりと時間をかけ、卒業生の気持ちが固まるのを待ちたいと思う。

ヒマラヤ小学校通信5月のニュース




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2010年05月03日

特別授業で盛り上がる

5月3日

授業教育ストが明けたと思ったら、今度は最大野党の呼びかけによる無期限ゼネストが5月2日から始まり、ヒマラヤ小学校は再度、閉校することになった。ネパールの人々にとってすっかり慣れっ子となったゼネストだが、休みが長くなると親が子どもを学校へ送らなくなってしまう可能性が高くなるので、正直、ゼネストは困りものだ。

日本は丁度、ゴールデンウィークの最中ということで、先日からクラーク記念国際高校の先生がネパールを訪問中だ。残念ながら丁度、ネパール訪問がゼネストと重なってしまい、学校の活動を見ていただく事が出来ないのだが、せめて外見だけでも見て頂こうという事で、今日はヒマラヤ青少年育英会の奨学生で、現在、小学校の教師として活躍しているアシュミタ、先日からヒマラヤ小学校で指導しているメラニーさん、クラーク記念国際高校の先生と一緒に、一望千里の麦畑を眺めながら、歩いてのんびりとブンガマティ村を訪ねることにした。

屋上カトマンズの一部地域ではデモ隊と治安部隊との衝突などが報告されていたが、ブンガマティ村はカトマンズの騒ぎが嘘のように静かで、穏やかな日常が営まれていた。麦の収穫も始まっているようだ。村を歩いていると数名の子ども達がいたので、一緒に学校へ行くことにした。

今日、一緒に学校を訪ねた皆さんは3人とも教師ということで、せっかくだから集まった子ども達に授業をしようという事になった。歌や踊り、ゲームなど3人の先生達が代わる代わる授業を行い、子ども達の笑顔が絶えない楽しい時間となった。途中、噂を聞いた子ども達も続々と集まり、思いがけずゼネストで静まりかっていた校舎に活気が戻った。

特別授業帰り際、子ども達から「いつから学校は再開するの?」と訊かれて胸が痛かった。ゼネストが一日も早く終わることを願っている。

ヒマラヤ小学校通信5月のニュース

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2010年05月01日

学習発表会を目指して

5月1日

メラニーさん長かった教育ストライキが終わり、4/30からようやく学校が再開。静まり返っていた校舎に子ども達の元気な笑い声が帰ってきた。やはり学校の主役は子ども達だとつくづく感じる。

今日からいよいよフランス人教師のメラニーさんによる本格的な活動がはじまったメラニーさんは米国の小学校をはじめ日米の聾学校、モンテソリなど複数の教育機関での経験をお持ちの方。学校が大きな変化を必要としている時期に、メラニーさんのような指導経験の豊かな方に協力してもらえるのは本当にありがたい事だ。これも頑張っている子ども達が運んできた幸運ではないだろうか。メラニーさんとの1ヶ月半の交流を通して、子ども達の夢が育つことを確信している。

児童メラニーさんには学校の実情をお話し、滞在中に子ども達が学んだ事を保護者や村の人々の前で発表して欲しいとお願いをしたところ、快くお引き受けいただく事になった。学習発表会を通して子ども達に自信を持って貰う事はもちろんだが、保護者や村の人々に子ども達の持つ大きな可能性について知ってもらい、更には学校と教育に対して希望を持って貰えたらと考えている。ぜひ子ども達と教職員が一丸となって発表会を成功させたい。





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