2008年09月

2008年09月27日

Old is Gold

9月27日(土)

ダサイン大祭を目前に控えた今の時期は、毎年、何かと気忙しい。今日は朝から会議やプログラムで忙殺された。途中、苦手な会議を抜け出してビベック君の絵画教室を覗いたりして、結局、カトマンズとブンガマティ村を4往復する慌しい一日となった。

????????ようやく落ち着いた夕方からは、ヤッギャ校長、長女のサンギャさん、ビディヤ先生、ラクシミと一緒に、パタン市内のレストランで開催されたビナヤ・ラマ先生のコンサートに出かけた。


「Old is Gold」と名づけられたラマ先生のコンサートでは、冒頭、ラマ先生が「僕達は普段、新しいモノに目を奪われがちです。でも時々、立ち止まって古き良きモノを見つめ直す事も大切ではないでしょうか。今日は古き良きネパールとインドの歌を皆さんに捧げます」と挨拶。3時間に亘り、インド、ネパールの往年の名曲の数々がラマ先生の美しい声で歌われ、会場のファンを魅了していた。

ゴパールコンサートでは、会場の最前列に陣取った僕達のために、ゴパール・ヨンジャンが作詞・作曲を手がけ、ナラヤン・ゴパールが歌った名曲「幾千の過ち/Galti Hajar Huncha」、またナラヤン・ゴパールの名曲で、恋に酔う男の気持ちを歌った「僕を許して欲しい/Malai Maf Garidiu」(作詞/ハリバクタ・カトゥワール、作曲/ナラヤン・ゴパール)などを熱唱してくださり、みんなで感激した。やはり何時の時代になっても名曲はいいものだなぁと、つくづく思う。

コンサートの最後には突然、ラクシミがステージに呼ばれ、「僕の大切な弟子、ラクシミです。とても素敵な歌を歌いますので、ぜひ聴いてください。」と、ラマ先生からご紹介いただき、何とラクシミが「がんばれネパール人」を歌わせて頂く事になった。

??????突然の話にも全く動じることなく、生演奏をバックにしっかり歌い上げたラクシミ。その姿は本当に立派だった。それにしてもラマ先生の暖かい気遣い、心遣いには胸がいっぱいだ。今日の経験は、ラクシミにとって大きな収穫になったに違いない。

今日はネパールの往年の名曲とラマ先生の美しい歌声に酔いしれれながら、すっかり回想に耽り、“人生とは出会い”なんだと改めて感じる夕べとなった。



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2008年09月22日

散髪

9月22日(月)ロータリー

???今日はロータリークラブ・ヤラ・パタン婦人部の皆さんの協力で、子ども達の散髪が行なわれた

ロータリークラブ・ヤラ・パタン婦人部の皆さんは、数年前からカトマンズ郊外のサーノガウンで、貧困の未婚女性を対象にした様々な職業訓練を行なっていて、支援を受けた女性の中には、既に自立を果たした女性もいるそうだ。子ども達の将来の自立を目指す僕達にとっても、RCヤラ・パタン婦人部の皆さんの地域に根ざした活動はとても興味深い。

今日はヤラ・パタン婦人部の支援から、「美容・理容」の職業訓練を受けている4名の若い女性が参加して、子ども達の髪を切ってくれた。訓練生にとっては貴重な実践の機会であり、またヒマラヤ小学校にとっては、無償で子ども達の散髪をして貰える貴重な機会だ。お互いに利点のある良い連携なので、ぜひ、今後も続けていけたらと思う。

?????????それにしても真剣な表情で黙々と子ども達の髪を切る訓練生達の姿には、とても好感を持つことが出来た。ぜひ訓練生には一生懸命頑張って、それぞれの自立の夢を果たして欲しいと思う。



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2008年09月19日

食事会

9月19日(金)

??????支援者の方のご厚意を受け、先生達と一緒に市内のレストランで昼食を食べた。前回の帰国の報告も兼ね、出来れば8月中に食事会を実施したかったのだが、ヤッギャ校長が体調を崩したり、ゲストの方の学校訪問日程が重なったりして、なかなか実現できないままの状態が続いていた。今日はようやく学校も落ち着いたことから、大学の試験で参加できないアヌシャ先生を除き、全教職員が参加しての楽しい食事会となった。

?????今日のように外で食事をしながら話しをすると、普段の職員室での会話とは異なり、先生達とざっくばらんに意見交換をする事が出来る。もちろん普段から少しでも風通しの良い職場作りを心掛けているものの、それぞれの先生達が職務に追われる中では、なかなか十分な会話が出来ていないようにも感じている。素直に猛省したい。

学校は先生達とのチームワークで成り立っている。もし十分な会話がなければ、お互いに意志の疎通を図る事が難しく、チームワークなんて出来ないだろう。今回のように環境を変えてじっくり話をすることはとても有意義であり、先生達との結束を固める上でも欠かせない。

??遵ネ今日は先生達と一緒に、学校の事、子ども達の事、村のこと、家庭の事など、時間が経つのも忘れるほどいろんな話に花が咲いた。僕が考えているよりも、先生達が一人ひとりの子ども達をしっかり見ている事が会話から伝わって来て、とても嬉しかった。先生達がそれぞれの能力を発揮すれば、理想の学校を作る事は絶対に可能だと信じている。そのためにも、もっともっと風通しの良い環境を作っていけたらと思う。







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2008年09月17日

コンテストを終えて

9月17日(水)

????醇H?????硼14日に開催されたアプスベン主催の「タレントコンテスト」では、個人部門に5年生のナニタが出場し、ラクシミと共作した「ゆめのなかで」を熱唱した他、ヒマラヤ小学校の5年生が「ゲスト」として「ファッションショー」を披露し、アプスベン関係者から高い評価を受けた。

アプスベン主催に限らず、ネパールで行なわれる「タレントコンテスト」では、参加者の多くがダンスで出場するため、選曲が同じだったり、衣装や振り付けも等も殆ど同じになってしまうケースが多いようだ。そのため、どうしても内容の新鮮味に欠けてしまう。

そいう事もあって、今回、「ゲスト」での参加とはいえ、5年生が他校とは全く異なる出し物(ファッションショー)を披露した事は、関係者の人たちに新鮮に映ったようだ。後に行なわれたアプスベンのミーティングでも、今後のタレントコンテストの内容が議題に上げられたくらいだから、子ども達の行動が「タレントコンテスト」に一石を投じた形になった。

今回のファッションショーは、5年生が全員で一丸となって完成させた事が何よりも大きな成果だったと思う。練習中にはお互いにぶつかる事も多々あったがそれでも諦める事無く、目標に向かって一歩ずつ頑張ってくれた事は、僕達、教職員にとって本当に嬉しいことだった。きっと去年までの子ども達なら途中で投げ出していたと思う。いろんな意味で子ども達の成長を感じさせられた1ヶ月だった。

????ファッションショーの陰に隠れてしまい、あまり目立たなかったナニタだが、コンテストでは本当に良く頑張ったと思う。ファッションショーにも参加したナニタは、ファッションショーの練習の合間に歌を練習するというハードスケジュールだった。特に誰に教わることもなく、黙々と練習を続けたナニタ。練習中、マイク代わりに使った丸めたノートがボロボロになっている様子からもナニタの必死の努力を窺うことが出来た

ナニタは決して歌が上手なわけでもないが、自ら手を挙げてコンテストに参加したことが、僕はとっても立派だと思う。本番では歌詞を間違えたり、音程を外すこともあったが、全く動じる事無く、ナニタは最後まで一生懸命、歌い上げた。何事も決して上手である必要はないと思う。自分が好きな事や信じられる事を、精いっぱい頑張ってくれれば、それでいいのではないだろうか。精いっぱい頑張ったナニタには、心から拍手を贈りたい。

参加者が多かったためコンテストは長時間に亘った。帰り道、すっかりお腹を空かせた子ども達と一緒に、コンテストを振り返りながら笑って食べた焼ソバは本当に美味しかった。次のコンテストでは果たして誰が手を挙げるのか、今から楽しみだ。

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2008年09月16日

チャシコットへ行こうよ!

9月16日(火)

「チャシコットへ行こうよ」
放課後、村の中を歩いていると、子ども達が息を弾ませながら声を掛けてきた。

チャシコットはブンガマティ村を一望する丘。今日はチャシコットでネパール映画の撮影が行なわれているそうで、子ども達は憧れの俳優を一目見ようと無我夢中で、チャシコットを目指し走って行った。

ネパール(カトマンズ)では映画制作が結構、盛んにに行なわれていて、アメリカの「ハリウッド」やインド・ボンベイの「ボリウッド」を捩って、一部の人達からは「カリウッド」とも呼ばれている。僕もネパールで暮らし始めてから数年間は、ネパール語の勉強と称して、当時支援していた子ども達を連れて足繁く映画館へ通い、ネパール映画を楽しんでいた一人だ。

ネパール映画の内容はシンプルで、特に言葉を理解しなくても十分楽しめる内容だと思う。ただ個人的には映画そのものよりも ネパールの映画館が持つ独特の雰囲気が好きだ。ヒロインが悪者に捕まったり、悪役から酷い仕打ちを受けると、館内から大ブーイングが起こったり、ヒロインの苦しむ姿に耐えられず俯いてヒロインの無事を祈る少女達の姿も見られる。その後、丁度よい塩梅で主人公が登場すると(大体の場合、主人公が悪役に飛び蹴り喰らわせながら登場する)、館内からは、待ってました!と言わんばかりに指笛と拍手喝采が沸き起こり、泣いていた少女達もすっかり元気を取り戻して、主人公の無敵の強さに拍手を贈る。時には横に座ったオジサンから握手を求められたり、肩を組まれたりすることもある。喜怒哀楽を諸に表に出す観客によって映画と客席が一体化し、映画を何倍も楽しむことが出来ることが、ネパールの映画の良さではないだろうか。

チャシコットチャシコットでの撮影の様子を瞳を輝かせながら見入った子ども達。憧れの女優が去った後、チャシコットに立ち、ある児童が「私は将来、女優になろうと思う」と話すと、別の児童が「私が先になる」と言い返し、いつの間にか皆で女優の真似をして踊り始めた。

夕暮れの空はすっかり秋色に染まっていた。ダサイン大祭は直ぐそこまで近づいている。



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2008年09月13日

絵画教室

9月13日(土)

今日からモンゴル先生の長男、ビベック君による絵画教室が始まった

ビベック神奈川ビエンナーレ国際児童画展のネパール予選で悔しい思いをし、普段は物静かなビベック君が「絵を勉強したい」と口に出したのは、丁度2年くらい前だったと思う。その後、ビベック君の気持ちに応えようと有志らが協力し、“学んだ知識や技術をヒマラヤ小学校の子ども達に伝える“という条件で、1年間、ビベック君をパタン市内の絵画教室に送ることになった。

絵画教室では先生も驚くほどの実力を身につけたビベック君。昨年は絵画教室で学んだ知識を元に子ども達を熱心に指導してくれたお蔭で、ヒマラヤ小学校からたくさんの名画が生まれ、念願の絵画展を日本で開催することが出来た。ビベック君は今年、2度も絵画コンテストで優勝を果たすなど確実に腕を上げると共に、ヒマラヤ小学校の子ども達からは“絵のお兄さん”として親しまれている。

絵画教室2こうして超理想的な形で知識や技術の伝達が実現できたのは、何と言ってもビベック君の真面目な性格によるものが大きいと思う。正直、絵画教室に送る際に彼に出した条件は、単なる口実のつもりだったのだが、ビベック君が周りの気持ちに応えようと一生懸命絵を学び、約束を果たしてくれたことが僕達は何よりも嬉しい。ビベック君自身にとっても、子ども達に絵を教える事は大きな学びの収穫になるに違いない。


ビベック絵画教室
さて、今年はビベック君の指導の元、一体どんな名画が誕生するのだろうか。今からとても楽しみだ。






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2008年09月10日

予行練習

9月10日(水)

今日は正装をしてファッションショーの予行練習が行われたファッションショーに参加する子ども達が心待ちにしていた日だ。

予行練習2先日、カトマンズでサリの中に着るブラウス用の生地を買った後、ブンガマティ村の洋裁店で仕立てをお願いしていたので、クリニックを終えて学校へ向かう途中、洋裁店に立ち寄った。店の奥から出てきた主人が出来上がったブラウスを包みながら、「あなたの学校の児童(ラクシミ)、あの後、3度も店に来て、今日(水曜日)までに絶対に仕上げるように駄目押しをして来たよ」と笑っていた。一日も早くサリを着てみたいというラクシミの必死の思いが伝わり、思わず笑ってしまった。

さて予行練習を行った子ども達。はじめの内こそ正装に照れ笑いを浮かべていたものの、次第に表情も真剣になり、たった1ヶ月余りの練習とは思えないほど、足並みがぴったりと合っていた。本番に向けて準備万端の状態だ。

実は今回のタレントコンテストでは、個人部門への参加者が予想よりも多くなったため、団体部門が中止となってしまった。ファッションショーのコンテスト参加は見送られることとなったにだが、幸いヒマラヤ小学校の子ども達が一生懸命、練習に励んでいる事を知ったアプスベンの二タ会長から、「ぜひゲストとして参加してほしい」とのお申し出を頂き、何とかファッションショーを披露する事だけは出来ることになった。

予行練習1優勝を目指して頑張っていたので、皆がっかりするだろうなぁと思いつつ、ゆっくり事の経緯を説明すると、がっかりするどころか、「ゲスト」という響きに大喜びしていた。競争より何より、子ども達はファッションショーを披露できる事が嬉しいようだ。以前だったら、きっと拗ねて泣いていただろうに。子ども達の成長を垣間見た思いだった。

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2008年09月09日

男性優先社会

9月9日(火)

ヒンドゥ教徒の男子は、*「結婚し、祖霊を祭り、時代に祖霊を祭るべき男子をもうける、という三大義務を負わされている。」以前、読んだ本の一節だが、今もこの一節を鮮明に覚えているのは、普段の生活の中で「男性優先社会」について考えさせられる事が多いからかもしれない。

肥料往診先の村々では、貧困にも関わらず男子が生まれるまで10人以上も子どもを作り続けたという人や、生まれてきた子が女の子であったため、嫁ぎ先の家族から酷い仕打ちを受けたという話を何度も見聞きした事がある。男子が生まれると、男児の世話をする母親の代わりに畑仕事や家事を行うため、強制的に学校を中退させられた女子も多い。女子が教育を受けられないのは貧困だけでなく、こうした男子優先の社会風習が起因しているのは周知の事実だ。*写真:牛糞から作った肥料を運ぶ少女達。

ヒマラヤ小学校の児童の中に感染症に罹り、学校を長期間休んでいる姉妹がいるので、先日、姉妹の様子を見に家を訪ねた。まだ本調子でないようで、妹がだるい表情を浮かべていたため、再度、隣町の診療所に連れて行ったところ、担当の医師から腸結核の疑いがあるので、一度、病院で検査を受けるよう指導を受けた。

知人の医師の好意ある取り計らいで、検査を無料で受けられることになったので、両親に娘を病院へ連れて行くように伝えたのだが、1週間以上経っても一向に娘を病院へ連れて行った気配がない。姉妹の両親も2年前に息子が誕生してから息子を溺愛し、娘達をまるで下ひのように扱う姿が目に付くようになった。姉妹が学校を休みがちになったのも、丁度、息子の誕生と重なっている。

写真今日、改めて保護者を訪ね、娘を病院へ連れて行くように説得すると、「娘が病院へ行きたがらない」、「畑仕事で忙しい」といろいろな言い逃れを言ってきた。更には「息子の世話で忙しい」とも・・・・・・・・。
息子を膝の上に乗せ可愛がる傍で、娘達が寂しそうな表情を浮かべているのが、見ていてとても辛かった。娘達に対して親としての責任を全く果たそうとしない母親の態度には、苛立ちすら覚えた。

学校が開校してもう直ぐ5年。少しずつ良い成果が見られる今日この頃だが、まだまだ僕達の活動が道半ばである事を痛感している。

*(五島昭著 インドの大地で 中公新書)


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2008年09月08日

教育の日

9月8日(月)

大統領今日は「教育の日」。先日、ブログでもご紹介したパウデル先生の晴れ舞台を見に、大統領官邸「シタル二ワス」で行われた博士号取得者へのメダル授与式に参加した。

早朝、パウデル先生をお迎えに上がり、午前7時からの式典に参加。今年は2006年から2008年の前期まで、2年半の間に博士号を取得した人達110名にヤダブ大統領からメダルが贈られた。

パウデル博士ネパール国内は元より、日本をはじめ世界各国で学ぶネパール人学生の中、博士号を取得するのは1年間で40名あまりだという。先進国に比べれば極端に少ない数だが、(これは教育機会の少なさが深く関係しているのだと思う)それだけにパウデル先生を含めメダルを贈られたネパール屈指の知識人達の大きな活躍が期待されているのだと思う。

式典を終え、パウデル先生を自宅にお送りした後、ヒマラヤ小学校を訪ねた。『タレントコンテスト』開催まで1週間を切り、学校内は準備で大忙しだ。ビディヤ先生から借りる予定のサリに合わせ、中に着るブラウスを作らなければならないため、サリを着る予定のラクシミとシャルミラと一緒に村にある洋裁店を訪ねた。結局、サリの色にあった生地が見つからなかったため、学校に一度戻った後、ラクシミを連れてカトマンズのニューロードへと向かった。

少々、色が合わなくても良いように思うのは僕の勝手な考えで、生地選びの2人の真剣な表情を見ていると、僕が考えているほど簡単な事でないことが分かった。年頃の女の子達。服装に関して“妥協”なんて考えは全くないのだ。

ビディヤ先生に教えて貰った店で目的の生地を見つけた後、傍の茶屋で休んでいると、ラクシミが「来年、6年生は本当に出来ないの?」と訊いて来た。もう何十回、同じ質問を5年生から受けただろうか。来年、卒業を予定している子ども達にとって、これが今、一番の心配事なのだろう。3階校舎を作り始めた時には、8年生まで出来るという噂まで飛び出したくらいだから、その思いは相当のようだ。ラクシミの話では、先日、みんなで遊んでいる時、自然と“卒業”の話が出て来て、皆で泣いたのだという。

確かに社会の現状から言えば、5年を卒業しただけでは十分とはいえない。先日、訪ねた職業訓練校も7年生卒業を入学の基準としている事や、ネパール政府が教育改革を進める中で8年生までを初等教育とし、義務教育化を進めようとしている事も事実だ。仮に教育制度改革が素案の通りになった時には、ヒマラヤ小学校も8年生まで開校する必要性が出るかもしれない。

ただ、もし1クラス余分に開校すれば約20万円の資金が今よりも必要となる。お金が全てではないが、子ども達の願いを敵えるには、まだまだ沢山のハードルがあり、とても一筋縄ではいかない。本当は泣きたいのは、僕のほうなのだけれど・・・・・・子ども達には伝わらないだろうなぁ。いろいろと考えさせられた教育の日となった。




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2008年09月07日

アプスベン教育研修

9月7日(日)

blog12アプスベン、ニード、プラギャ出版社の共催による教育研修がパタン市内のエイムズアカデミーで開催され、ヒマラヤ小学校のギャニ先生とアヌシャ先生と一緒に参加した。

これまで僕自身がこうした教育研修に参加する事は殆どなかったのだが、最近になって先生達とより多くの事を共有すべきではないかとの考えを持つようになり、出来るだけ教員を対象にした研修にも参加するようにしている。実際に参加する事は、先生達が研修に対してどんな感想を持ち、得た知識や技術を授業の中でどう活かしているのかを、つぶさに理解するために大いに役立っている気がする。

アプスベン今日の研修ではラリットプール郡内の学校から、20代と思われる若い教師が大勢参加して 貪欲に新しい知識を吸収していた。会場内は物凄い熱気で満たされ、予定されていた休憩時間もキャンセルになるほど盛況だった。結局、4時間以上に渡り継続的に講義が行われたが、アヌシャ先生はじめ参加した教師達は皆、良い勉強になったと喜び、数学がちんぷんかんぷんな僕はへとへとになった。

今回の研修はアプスベンの呼びかけによって開催されたものだが、僕はアプスベンのこうした積極的な活動にとても関心を持っている。巧言を弄する人や団体が多いネパールにあって、何事もしっかり有言実行するアプスベンの姿勢は、高い評価を受けていいのではないだろうか。ネパールも少しずついい方向に変化しているようだ。

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2008年09月06日

押忍!!少年カラテカ スニール

9月6日(土)

空手が始まってから数か月。子ども達の空手熱は増すばかりだ。放課後の校庭にこだまする「押忍、押忍」という少年カラテカ達の大きな掛け声は、聞いていて本当に心地が良い。

スニール雄姿正直、子ども達がこれほどまで空手に熱中するとは思っていなかった。稽古は忍耐力を必要とするため、遊び半分の気持ちならきっと続かないだろうなぁと考えていたのだが、意外や意外、子ども達は厳しい練習に耐えながら、確実に力を付けている。サボったら即中止という約束も多少の効果があったのいかもしれないが、やはり師範のビジャヤさんがたいへん熱心に子ども達を指導してくれた事が大きい。空手教室も人に恵まれたなぁと思う。


スニール少年カラテカ達の中でひときわ空手に熱中しているのは、間違いなく4年生のスニールだろう。稽古に対する真剣さは群を抜いていて、額に汗を流しながら小さな体を一生懸命動かす姿は、少年カラテカそのもの。特に連続技が上手く出来ない時に悔しがる表情など、プロ顔負けの“本気度”だ。スニールが寝ても覚めても空手の事ばかり考えている事は、彼のノートに空手の絵が沢山描かれている事からもよく分かる。

今日はビジャヤさんが10月に予定されている空手大会の事でヤッギャ校長と打ち合わせがあったため、暫くの間、ビジャヤさんの代わりにスニールが稽古を仕切る事になった。憧れのビジャヤさんから思いがけない指名を受け、スニールは天にも昇るような気持ちだったに違いない。

稽古スニールの稽古はすこぶる厳しくて、通常20回のスクワットを50回、突きや蹴りなども全て通常の稽古の倍近くやらせ、カラテカ同志を困らせていた。『普段より多いぞ』という不満に対しては、口を尖らせながら「黙って続けろ!!」と声を高めた。冷やかすクマールには後ろから思いっきり蹴りをお見舞いしていた。ビジャヤさんの期待に応えようと、スニールなりに頑張ったのだろう。

スニールの夢は黒帯を取って空手の師範になること。これだけの熱意があれば、きっとスニールの夢はきっと叶うだろう。師範になったスニールがヒマラヤ小学校の子ども達に稽古をつけるなんて事も、将来、出来るかもしれない。

回し蹴りただしスニール、実践はすこぶる苦手のようで、スパーリングでは常に逃げ腰姿勢。カラテカ同志達から、稽古で絞られたお返しと言わんばかりにお尻に強烈な蹴りをお見舞いされていた。それでもスパーリング後の礼では、まるで勝者のように大きな声で「押忍」と叫ぶところなど、空手に対する熱意だけは間違いなくチャンピオンだろう。来週も少年カラテカ達の大きな掛け声を聴くのが楽しみだ。


回し蹴り1

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2008年09月05日

青春第一期

9月5日 

反乱「ファッションショーは出来ないかもしれない」
学校へ着くと5年生の女子が集まって、暗い表情を浮かべながら僕に伝えてきた。事情を尋ねると、ファッションショーの事で男子と女子が喧嘩をしたのだという。

喧嘩の理由は、ファッションショーの練習中にクマールとソロージュが騒いでいたところを、数名の女子が勘違いしてソロージュだけを注意した事が起因となったようだ。腹を立てたソロージュが練習をボイコットし、他の男子もソロージュについて練習をボイコットしたらしい。

普段から「男子が真面目に練習に参加しない」とか「すぐに怒って練習を止めてしまう」という苦情が女子から沢山出ていたので、「それなら女子だけでやれば?」と訊くと、みんな言葉に詰り、更に表情が暗くなった。暫くすると女子から「男子と一緒にやりたい」という返事が返ってきたので、僕なりにソロージュを宥める事にした。

実は先日も男子が練習をボイコットする“事件”が起こったのだが、その時はファッションショーの中で女子と手を繋いだり、肩に手を置いたりする演出を一部の男子が、“やりたくない”と言い出した事がきっかけだった。何事も積極的な女子に比べ、思春期を迎えている(迎えようとしている)男子は、女子と手を繋いだりする事が恥ずかしくて仕方ないのだろう。

ソロージュ(14歳)はクラスでも1位2位を争うお調子者で、底抜けに明るい性格だ。今回のファッションショーでは、恥ずかしがって参加をためらう男子の中で真っ先に手を挙げ、他の男子を纏めたのはスロージュだった。それだけに女子からの攻撃が気に入らなかったのだろう。些細なことでも傷ついてしまうのが、14歳という年頃なのかもしれない。

ラクシミヤッギャ校長の真似をしてソロージュを屋上に呼び出し、まずは女子に対する不満を吐かせる事にした。予想外に女子への不満は少なかったのだが、やはり自分だけ注意された事が気に食わなかったらしい。

その昔、僕自身が同じような状況の時、先生に言われた言葉を思い出しながら、そのまま引用してソロージュを宥め、「女子が男子と一緒にやりたいと言ってたよ」と伝えると、ソロージュも少し気が晴れたようで、最後には「練習に参加する」と言ってくれた。今更、昔の経験が生かされるなんて思ってもいなかったが、ヤッギャ校長の留守の時に上手く纏める事が出来て良かった。

練習を再開した子ども達。なんとなく、これまで以上に息が合うようになった感じがした。子ども達は今、「青春第一期」の真っただ中にいるようだ。時にぶつかり争いながらも、お互いを少しずつ理解し、一つの目標に向かって成長している。今はぶつかることが成長の起爆剤になっているのかもしれない。

地固まるファッションショー最後のキメのポーズも様になっていたソロージュ。今日はソロージュいつもより苦味走ったいい男に見えたのは、きっと僕だけではないはずだ。



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2008年09月04日

ハイタッチ

9月4日(木)

ハイタッチヒマラヤ小学校に着くと、子ども達とハイタッチをするのが僕の習慣となっている。何時から始めたのか良く覚えていないが、ずいぶん長い間、続いている習慣だ。子ども達は飛び上がって手の平を合わせる事が楽しいようで、“パチーン”と良い音が鳴るまで何度も繰り返しハイタッチをしてくる子も多い。時には授業を飛び出してまでハイタッチをしてくる子がいたり、バイクで走っている時までハイタッチをしようと手を出してくる子もいて、困ってしまう事もある程だ。

余談だが、一度、「恩師の日」に教職員の人気投票をした時、3年生の男子児童から光栄にも僕の名前を挙げて貰った事があった。男子児童に理由を尋ねると、「毎日、ハイタッチをしてくれるから」という答えが返って来て、目が点になったことがあった。

そういう事もあって、何時の間にか習慣化したハイタッチだが、実は一人ひとりの子ども達の心の状況を確認する事にも意外と役立っている。何時もは力いっぱいに叩いてくる子が、弱弱しく叩いてきた時など、大体、先生に叱られたり、友達と喧嘩をしたり、家庭内で何か問題を抱えている時などが多い。逆に何時もより強く叩いてくる時などは、大体、いい事があった時だ。

たかがハイタッチだが、僕にとっては子ども達の心の状況を知る上で大事な習慣であり、“手の平どうしの触れ合い”は、”心と心の触れ合い“に繋がっているようにも感じている。


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2008年09月03日

元気な子ども達

9月3日 

幼稚園年長ヒマラヤ小学校の2、3年生が落ち着いて、しっかりして来たなぁと感心していたら、今度は幼稚園年長クラスの子ども達が手におえない程の元気さで、若い先生達を困らせている。ワンパク盛りの子ども達。暴れん坊ぶりは止まる所を知らない。

幼稚園年長クラスでは、なぜか窓に登る事が流行っているようで、カメラを向けると必ず数名が窓に登ってポーズを決めている。もちろん先生に見つかったら叱られるので、先生が来るとすぐさま飛び降りて知らん顔。時々、逃げ遅れて叱られる子もいるが、叱られるなんて何のその。先生がいなくなると再び窓に登って、元気に雄叫び声を上げている。若い先生達にとっては大変な時期かもしれないが、来年、再来年になれば少しは落ち着くだろうと期待しつつ、若い先生を宥めている。

3年生幼稚園年長クラスを後にして成長著しい3年生のクラスを訪ねると・・・・・写真の通り。

元気な事は良いこと。これからも先生達を困らせるほど、元気に学校生活を楽しんで欲しい。



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2008年09月02日

ファッションショーから支援のあり方を考える

9月2日(火)

子ども達による「ファッションショー」について、一体どんなものなのか?と疑問を持たれている方も多いのではないだろうか。丁度、全体の流れが完成したところなので、簡単に説明をしたいと思う。

サリまず子ども達が身に纏う服について。女子は、サリ2名、クルタスルワール2名、洋服2名、レンガが1名、男子は全員が洋服。サリはビディヤ先生からお借りして、その他の服は全て近所のお兄さん、お姉さん達やヤッギャ校長の息子さんから借りる予定だそうだ。当初、服はどうするのか、と心配していたのだが、近所から借りてくるところが健気で可愛らしい。もちろん必要な物は購入する予定。

内容については、所謂「ファッションショー」のように次々と服を替えて登場するのではなく、服装はそのままで一つのストーリーを演じるような内容となっている。まず一人の女の子(プジャ)が舞台の中央に出てくる。そこに男の子が花を持って登場しプロポーズをするが、あえなく断られる。続いてもう一人、男の子が登場して、やはり花を差し出してプロポーズするも断られる。ちなみに断りは、とても分かりやすい平手打ち。最後にいかにも紳士風の格好をした男子が登場、同じように膝を折って、花を差し出してプロポーズ、女の子がOKする。その後、断られた2人の男子(ヒロインの傍に屈みこんでいる)に、それぞれ女の子が一人ずつ手を差し伸べ、3人のカップルが出来上がるという設定。

回転後はひたすら組を変えながら2人組み、3人組みで登場。ステップを変えたり、くるくる回ったりしながら、最後には一人ひとり“投げキッス”をして退場する。子供達が精いっぱい考えて作った素晴らしい演出だ。何時の間にか自分達の力でファッションショーまで演出出来るようになっていたのだから、本当に感慨深い。


それにしても、子ども達が夢中になって練習に取り組んでいる姿を見ていると、支援活動が決してお金や物だけで出来るものではない事を改めて実感する。お金や物は確かに大切だが、お金や物だけでは現状を変える事はきっと出来ないだろう。お金が幸せなのではなく、貧しさが決して不幸でもない。一番大切な事は、夢を追いかけるチャンスや自信を持つ切欠を与える事だと思う。


投げキッス今回のファッションショーを達成することで、子ども達はきっと大きな自信を持ち、もっと頑張ろうという向上意欲が養われるのではないだろうか。それは将来、子ども達が貧困から抜け出す大きな力になると信じている。



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2008年09月01日

ファッションショーに向けて

9月1日(月)

先日からアプスベン主催の「タレントコンテスト」で披露する予定の「ファッションショー」の練習が続いている 子ども達が力を合わせ一つの目標に向かって頑張る姿は、見ていてとても清々しい。僕など「ファッションショー」に向けた練習の様子がのべつ気になってしまい、治療や他の活動に全く身が入らない現状だ。

5人コンテストの話を子ども達に伝えた時には、てっきりダンスで参加するものとばかり思っていたのだが、後日、ラクシミをはじめ5年生の女の子達が照れくさそうに「ファッションショーをしたい」と言ってきた時には、呆気に取られてしまい、一体、どんなファッションショーをするつもりなのか、想像すら出来なかった。それにしても「ファッションショー」なんてアイデアが、どこから出て来たのだろうか。子ども達の好奇心の旺盛さは本当に驚くばかりだ。

子ども達が遣りたい事なら何でも応援するのが僕達の役目。兎に角、子ども達の希望に添う形で準備を進め、「タレントコンテスト」の「団体部門」には、「ファッションショー」で挑むことになった。

ファッションさて練習はというと、ラクシミがリーダーシップを遺憾なく発揮し、全員を上手く纏めながら全ての演出を行っている。ステップの合わない友達と一緒に歩いてステップを合わせたり、恥しがる男子児童に激を飛ばしたりと、汗だくになりながら夢中になって作業を進めるラクシミの姿を見ると、なにか新たな才能を見出したような気分になる。(写真/熟練演出家の如く指導するラクシミ。僕のお気に入りの一枚。)

本番まで2週間あまり、子ども達には悔いの残らぬよう精いっぱい頑張って欲しいと思う。

ヒマラヤ小学校通信を更新しています。ぜひ、お目通しください。





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