2008年03月

2008年03月30日

新入生選考会

3月30日

今日から新入生の最終選考会が始まった100名を超える子ども達の中から、たった25名を選考するのは本当に難しく、とても辛い作業だ。出来ることなら全員入学させたいというのが僕等の正直な気持ちだが、資金面の事や児童一人ひとりをしっかり育てていきたいという学校の方針を考えると、どうしても25名程度の入学許可しか出せない現状だ。

毎年、入学選考は家庭訪問から始まる。申請のあった子どもの家を一軒ずつ訪ね、家庭の事情をしっかり調べる事で、新入生にどのようなケアや教育が必要かを把握する事が出来る。新年度の入学のため、昨年の12月頃から申請のあった子どもの家庭を一軒ずつ訪ねて回ったが、どの家庭も同じような窮状を抱えていた。毎年のことだが貧困家庭の厳しい現状を見聞きする度に胸が痛くなる。その度に、貧しくて学校へ行けない子ども達は、まだまだ沢山いることを実感する。

ロメス今回、入学申請をした子どもの中にロメスがいる。ロメスは3年程前、僕が往診先の村で知り合った少年で、初めて見る治療道具に好奇の目を輝かせ、いつも往診先までついて来ては治療の手伝いをしてくれた。当時、ロメスは隣村の学校に通っていたのだが、今から1年半ほど前に父親が死亡したため2年生の途中で学校を辞め、ブンガマティ村にある小さなパン工場で住み込みとして働くことになった。

明るく働き者のロメスは直ぐにパン工場の人たちとも打ち解け、村の篤志家でもあるパン工場のオーナーからも大事にされた。楽しそうに仕事を頑張っているロメスを見た時は、僕達も嬉しかったのだが、ある日、工場の裏で一人、寂しそうな表情をしたロメスを見かけた事もあった。家族と離れて暮らす寂しさが、11歳のロメスの心に募っていたのかもしれない。

そんなロメスが「ヒマラヤ小学校で勉強したい」と言いだしたのは去年の夏頃だった。理由を尋ねると、「字を覚えてお母さんに教えてあげたい」という答えが返ってきた。パン工場のオーナーの理解もあり、昨年末、ロメスはヒマラヤ小学校の入学申請を行なった。

パン工場のオーナーの長男に引き連れられ、緊張した面持ちで今日の最終選考会に挑んだロメス。面接が始まると、顔を赤めながら必死にヤッギャ校長の質問に答えていた。彼は所謂、被差別カースト出身であるため「特別優先枠」として、今日のうちにヒマラヤ小学校への入学が決まった。

ロメス入学許可書を受け取ると、手を挙げて大喜びしたロメス。帰り際、ロメスに「毎日、学校に来るんだよ」と、声をかけると、「うん」と頷き、無邪気な笑顔を浮かべながら「サッカーを教えて欲しい」と言ってきた。ロメスはヒマラヤ小学校でどのような学校生活を送り、成長していくのだろう。僕たちとして、しっかりロメスの成長を見守って行きたい。





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2008年03月28日

おめでとう!ソンマヤ

3月29日

ヒマラヤ小学校が春休みに入ったので、久しぶりに時間を忘れて治療に没頭出来ている。治療方法では未だ大きな壁に突き当たっているものの、今はあれこれ悩むよりも、兎に角、精いっぱいやる事が大事だと気持ちを入れ替え、治療に取り組んでいる。たとえ技術に自信がなくても、昂然と胸を張って治療に取り組めば患者も安心でき、治療効果にもよい影響が出るのではないだろうか。普段よりも治療に集中できる休みの間、少しでも良い治療効果が得られるよう頑張りたい。

ソンマヤ今日は往診を終えた後、里親教育基金の奨学生ソンマヤを訪ねた。ソンマヤは現在24歳。先日、小学校(5年)を卒業したばかりの学生だ。

19歳の時、“学校で勉強したい”という長年の夢を実現して小学校へ入学したソンマヤだが、その後は様々な困難に直面し、中退しても仕方ない状況に陥ったこともあった。それでも”卒業”という目標を決して見失う事無く、一生懸命努力を続け、終に小学校を卒業を果たしたのだ。

ソンマヤにささやかな小学校卒業祝いを届けると、とても嬉しそうな表情を浮かべていた。ソンマヤの表情には一つの目標を達成した自信と、新しい希望がみなぎっている。傍にいた8歳と7歳の妹たちがソンマヤの小学校卒業証明書を自慢気に見せびらかす姿がなんとも印象的だった。

ソンマヤの夢は看護師になること。ぜひ、他の子ども達の見本となるよう、自らをどんどん高めながら夢に向かって一歩ずつ頑張って欲しいと思う。24歳の新しい出発に弥栄!!



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全日程終了

3月28日

サビ期末試験を無事終える事が出来た。まずはヤッギャ校長はじめ先生たちの努力に感謝したい。来月上旬に成績発表が残っているものの、今年度も無事、全日程を終えることが出来た。今はその喜びと、1年間の緊張感が一時的に解れた解放感とが混ざり合って、なんとなく不思議な気分だ。

ヒマラヤ小学校が開校して4年目の今年(今年度)は、子ども達の成長がこれまでよりもはっきりと見られた年だったように思う。各コンテストでの入賞は、そのことを一番物語っているのではないだろうか。子ども達が少しずつ自信を持ち始めた、そんな年だといっていいと思う。

運営面では2006年から始めた「スポンサーシップ」が定着したことで学校運営の骨は以前に比べ、しっかりしてきたように思う。また大勢の方のご協力の元、各地で募金活動やフリマーケットが行なわれる等、ヒマラヤ小学校の支援の輪は着実に広がっている事を実感する。千言万語を費やしても足りないほど、感謝の気持ちでいっぱいだ。

兎に角、支援者一人ひとりの気持ちにしっかり添えるよう、ヒマラヤ小学校の教職員一丸となって子ども達のために頑張りたい。ぜひ、支援者と受益者である子ども達が共に喜びを分かち合える、そんな心の通った支援活動を展開できればと思う。



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2008年03月27日

期末試験が終了!!

3月27日(木)

涙今日で長かった期末試験が終了した。みんな一生懸命がんばったので、日頃の努力の成果を発揮できたのではないだろうか。試験中は問題が解けず悔し涙を流す子や、鉛筆を口にくわえたまま身動きもせず考え込んでいる子など、子ども達のいろんな表情が見られた。それだけ一生懸命なのだろう。

試験中は先生達が児童一人ひとりの様子を見ながら、出来るだけ助け舟を出すようにしている。子ども達の中には試験を早く終わらせたいと焦り、問題をしっかり理解しないまま解いている子が多いようだ。助け舟を出す事によって問題の意味をしっかり理解すれば、きちんとした解答を書ける子も多い。

試験2僕も試験の監視中、困った表情を浮かべていた、2年生のある児童に助け舟を出したら、きちんとした解答を書く事が出来た。問題をしっかり理解し、自信をもって解答できれば誰だって嬉しいものだ。その児童、問題を解けた事がよほど嬉しかったのか、帰り際に「サンキュー」と言いながら、数粒のトウモロコシをくれた。

ヒマラヤ小学校は明日から春休み。試験の結果は4月6日に発表となる予定だ。今年こそ全員合格となるだろうか、、、、、


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2008年03月25日

お詫びとお知らせ

障害が発生していましたヒマラヤ青少年育英会ホームページが復旧いたしました。ご迷惑をお掛けいたしました事、お詫び申し上げます。

ホームページ管理人 吉岡

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2008年03月24日

ナニタの成長

3月24日(月)

ナニタラクシミ昨日、試験の監視を終えて往診に向かうとしていると、4年生のラクシミとナニタが近寄ってきて、話があるから学校の裏まで来て欲しいと言われた。言われるまま2人について行くと、ラクシミが恥ずかしそうに、何時も歌を書き溜めているノートを見せてきた。ノートには新曲と思われる歌詞が書かれてあったが、よく話を聞いてみると新曲は4年生のナニタが書いた歌詞にラクシミが手を加えた、2人の共作だという。

ナニタは真面目で優しい女の子だが、普段はとても物静で大人しい性格の児童だ。そんな大人しい性格のナニタが詩を書いたというのだから驚いてしまったが、その歌詞が「ラブソング」だったので尚更、驚いた。

余談になるが、ナニタが属している「ネワール族」の女性は、恥ずかしがり屋で引っ込み思案が多いと言われている。もちろん、それ自体は長所でもあるのだが、例えば病気に罹った時など、その長所が仇となってしまう事があるようだ。特にネパール女性に多い「子宮下垂」の例では、人に相談できないまま放置してしまい、感染症を起こしてしまうケースが多いようだ。それほどネワール族の女性は外に向かって声を発する事や、気持ちを表現することが苦手なのだ。

そんな典型的なネワール族のナニタが、突然、「ラブソング」を書いたのだから、僕だけでなく、先生達もナニタの変化に驚いたようだ。学校の職員会議では毎回、各児童の長所や興味を持っている事を元に、どうすれば児童が自信を持つことが出来るか、そのためにはどのような機会を作るべきか、という事が話し合われているが、ナニタについては、正直、どのような事に興味や関心を持っているのか分からず、方向性を見つける事が出来ていなかった。その分、今回のナニタの変化は僕達にとって、とても嬉しい出来事だ。スポンサーとの交流や学校生活の中での様々な経験、特に親友であるラクシミの活躍が大きな刺激となって、ナニタを一気に成長させたのかもしれない。

今日は早速、2人に新曲「突然」を歌ってもらったが、アップテンポのなかなか良い曲だった。ぜひ新曲を録音することで、ナニタを更に勇気付けられたらと思う。

ナニタそれにしても歌を歌った後、顔を真っ赤にしながら恥ずかしがる様子など、やはりナニタはネワール族の女の子だと思う。その後、2人の歌を影から聴いていた男の子達に「ラブソング」を冷やかされると更に顔を赤らめていたが、子ども達は少しずつ多感な思春期を迎えているようだ。





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2008年03月23日

念願のブランが完成!!

3月23日(日)

ブランコ今日、子ども達の念願であったブランコが校庭に完成した。天真爛漫な笑みを浮かべながらブランコに揺れる子ども達の姿は、見ていて本当に心が和む。

今回のブランコは、東京・上野「めぐり」の募金活動で集められた浄財を元に作られた何度かブログでもお伝えしている通り、「めぐり」の募金箱には小さな小学生から97歳の女性まで、実に様々な人たちの温かい気持ちが込められている。

今回、皆さんの温かい気持ちがいっぱい詰った浄財が一つの形となり、“ブランコで思いっきり遊びたい”という子ども達の夢が実現した事は本当に嬉しく、改めて感謝の気持ちでいっぱいだ。僕自身も、ほんの僅かではあるが「めぐり」の募金箱に善意を入れた事があるので、僕のささやかな気持ちがペンキの一部にでもなったのかと思うと、嬉しさも一入だ。

「めぐり」の募金活動を通して大勢の人にヒマラヤ小学校の事を知って頂き、様々な形で暖かいご協力を頂いている。協力してくださる方が増えるという事は、それだけ子ども達の成長や学校の発展を喜んでくださる方が増えているということでもある。喜びを共有してくださる方がいる事は僕達の励みであり、また活動の大きな原動力にもなっている。

それにしても子ども達は、ブランコ遊びを通して様々な事を学び、成長しているようだ。ブランコが完成したばかりの時は、“私が先、私が先”と順番を争っていた子ども達だったが、いつの間にか「一人20回」というルールが決まり、きちんと順番を待つ列が出来た。そして全員が大きな声で回数を数えたり、上手く椅子(踏み台)を振れない子を後ろから押してあげるなど、ブランコ遊びから子ども達が成長している姿を見られた事は大きな収穫だ。

「遊び」は、子ども達の体力づくりはもちろん、助け合い、譲り合い等の徳性を涵養したり、友情といった大切な人間関係を築くことにも大いに役立つのではないかと思う。その他にも集中力を高めたり、更には「あれをしたい、これをしたい」という夢まで、いろいろなものが培われるのではないだろうか。

電柱難しい事は抜きにして、子ども達には“みんなのきもち”が込められたブランコで、時間を忘れるほど、思いっきり遊んで欲しいと思う。*下の写真はブランコが出来るまでの遊びの中心だった、電柱をすべり降りる遊び。よく先生に叱られていた。



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2008年03月19日

翻訳

3月19日(水)

留守中に溜まっていた手紙の翻訳作業が終わった。今回の(ヒマラヤ小学校の子ども達の)手紙は、昨日から始まった3学期期末試験の事や、来週、校庭に設置が予定されているブランコの事が中心だった。試験については、心配している子もいれば、自信満々の子、また既に進級後の事を書いている子までいて、なかなか面白かった。手紙を翻訳していると、子ども達の心の中が良く見える。

試験スポンサーシップの支援を受けて間もない子は、手紙を書くことに未だ慣れていないため文章が短かったり、友達に教えて貰いながら書いている子も多いので、同じような内容になる事も良くある。伝えたい事は沢山あっても、上手く気持ちを文章にして伝えられないのだから、歯痒さを感じている子もいるかもしれない。

今月から、今年度入学した児童や園児も(入学から1年が経過したので)スポンサーシップが受けられるようなり、既にスポンサーシップを受けた子も数名いる。まだまだ、たどたどしい文章だが、これから交流が進むにつれ少しずつ自分の気持ちを表現できるようになるのだと思う。今後も手紙の翻訳を通して、子ども達の成長をしっかり見つめていきたいと思う。


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2008年03月18日

3学期期末試験

3月18日(火)

試験勉強今日からいよいよ3学期の期末(進級)試験が始まった。当初、3月30日から試験を予定していたのだが、4月10日に予定されている議会選挙の関係で、4月初めから教育機関が全て休校になることが決まり、やむを得ず試験日程を1週間、切り上げることになった。

毎年、3学期の期末試験前になると心配になるのが、子ども達の進級についてだ。昨年も残念ながら数名の児童が進級を果たせなかったが、そうした子ども達の事は特に気になっている。学校としては2度の留年までは認めているものの、もし2度も留年してしまえば、保護者の教育に対する関心や希望も失せ、子ども達は学校へ来る事が難しくなってしまう。

実は、留年した児童の中にはスポンサーシップ支援を受けた事で大きく変化した子も多い。保護者の多くが文盲であるため子ども達の成績表を見ても理解することが難しく、子供達がどんなに頑張って良い成績を収めても、家庭で褒められる事は少ないようだ。張り合いがなければ頑張る気力も出てこないだろう。その分、交流を通して頑張った事を褒めて貰ったり、認めて貰らえるスポンサーの存在は子供たちにとってとても大きいようだ。

多くの子ども達がスポンサーシップ支援を受けるようなった今年は、もしかすると全員合格も夢ではないかもしれない。子ども達にはぜひとも頑張って欲しい。

ヒマラヤ小学校通信を更新しています






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2008年03月17日

ホーリー

3月17日(月)

ネパールで一般に使われているヴィクラム暦の第十一月にあたるファールグン月の明けの8日、西暦の3月頃、「ホーリー」と呼ばれる水や色粉を掛け合う賑やかなお祭りが行なわれる。子ども達が毎年、楽しみにしているお祭りのひとつだ。

今年は西暦の3月21日に「ホーリー」が予定されているが、子ども達の中では既に「ホーリー」が始まっているようだ。学校では水風船やペットボトルで作った水鉄砲を手に、水を掛け合っている姿をよく見かけるようになった。少しでもよそ見をしていると、突然、水を掛けられるので僕たち教職員も用心しなければならない。

ホーリー1こうした遊びになると大いに実力を発揮するのがクマール達、ヤンチャな男子児童だ。今日も水鉄砲で上手に女子児童を狙い撃ちにして大喜びしていた。その後、2階にいた女子児童からバケツたっぷりの水を掛けられ、しっかりお返しされたことは言うまでもない。ネパールは暑い夏を迎えようとしている。(画像をクリックしてください)


校内、ホーリーの様子。

ホーリー2女子の足に水を掛ける男子児童




ホーリー4逃げる男子児童。この後、女子のグループに捕まり、たっぷり水を掛けられた。

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2008年03月16日

本物に触れる

3月16日(日)

絵めぐりギャラリーで現在、画家・田中拓馬さんの素敵な絵画展が開催されている。この度、「めぐり」の募金活動を通してヒマラヤ小学校の事を知った田中さんが、ギャラリー内で即席に描いた水彩画をチャリティー販売し、売り上げをヒマラヤ小学校に募金してくださることになった。本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいだ。

また先日3月9日まで、同じく「めぐりギャラリー」で展覧会を開催していた人形作家のイシヤマキヌコさんからは、「ヒマラヤ小学校の子ども達のために」と、素敵な作品を御寄贈いただいた。お二人の温かい気持ちを、子ども達にしっかり伝えたいと思う。

人形田中さんやイシヤマさんの作品のような“本物”に触れる事は、感動や感激といった子ども達の感性を磨く事に繋がると思う。感性を磨く中で、“自分達も作ってみたい”“描いてみたい”という夢が広がれば、将来の自立の大きな基盤になるのではないだろうか。今後も積極的に“本物”に触れる機会を作っていければと思う。

ヒマラヤ小学校通信を更新しました




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2008年03月15日

子どもらしく

3月15日(土)

ヤッギャ校長先月末、1年生のある女子児童が腸チフスを患い学校を長期間休んでいた。ちょうど出張の前で十分な対応が出来なかったため、出張中も児童の様子が気になっていたのだが、先生たちはじめ周りの関係者が一丸となって対応したお蔭で、児童は順調に回復することができたようだ。昨日、ヤッギャ校長と一緒に児童を訪ねると、熱も下がり落ち着いている様子だった。お見舞いの果物も食べられるまで回復し、笑顔も見られたので安心した。

この児童は未だ7歳という幼い年齢にも関わらず、母親がいないため食事から小さな弟や妹の世話まで家事の一切を一人でやっている。ある真冬の早朝、背中に幼い妹を背負い、体よりも大きそうな壷を抱えながら、健気に水を運んでいるこの児童の姿を見て感心した事があったが、傍に寄って話をしていると、児童の手がアカギレになり、とても7歳の子どもの手とは思えないほどボロボロになっている事に気がついた。幼い子どもにも容赦なく振りかかる貧しさの現状が本当に痛々しかった。

あの時も、自分達に出来る事は何か、あれこれ考えたことを覚えているが、結局、これまで何も出来ていないような気がする。貧しさの中で子どもが子どもらしくある事は、もしかすると不可能なのではないかと、時々、懐疑的にもなってしまう。


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2008年03月14日

子ども達の成長

3月14日(金)

UPSBEN3月4日に私立学校教育向上協力会(UPSBEN)主催の「クイズコンテスト」が開催され、4年生のジャナック、ソニー、プジャの3人が参加した。残念ながら僕は出張中だったためコンテストに参加する事は出来なかったのだが、引率したヤッギャ校長によると、入賞こそ逃したものの3人ともそれぞれ良く頑張り、何問か正解を答える事も出来たそうだ。

ソニー今回、ダンス大会や工作コンテストに参加した経験があるプジャやジャナックの他、普段とても大人しいソニーが自ら手を挙げてコンテストに参加したことは、とても新鮮な驚きだった。何が切欠でソニーがコンテストに参加しようと競い立ったのか分からないが、こうした児童の変化や成長を見ると嬉しくなってくる。

コンテストの参加児童の選考については、誰でも気軽に参加できるよう、希望者が手を挙げて決める事にしている。仮に希望者が定員を超えた場合は、子ども達が話し合い参加者を決めている。

後で聞いた話だが、今回のコンテストでは当初、3人の定員に対し、クマールを含む4人が手を挙げていたようだが、ソニーが初めてコンテスト参加を希望している事を知ったクマールが、ソニーに譲る形で参加を辞退したそうだ。目立ちたがり屋のクマールが自ら参加を辞退するなど信じられない事だが、、、、クマールは少し大人になったのかもしれない。今回、入賞こそ逃したものの、ソニーやクマールの成長を知ることが出来た事は、僕達にとって大きな成果だったように思う。


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2008年03月13日

青春の苦い思い出

3月13日(木)

今日はヤッギャ校長から僕の不在中に起こった出来事について報告を受けた。その中で一つ面白い出来事があった。

ある4年生の男子児童のグループが、学校を休んでいる友達を(試験前の大事な時期だから)どうしても学校へ連れて来るように先生に言いつけられたので、友達を探し行くと保護者に嘘をつき、学校をサボって隣村のお祭りを見に行ったそうだ。

学校では連絡もないまま数名の児童が同時に学校を休んだ事を不思議に思い、ヤッギャ校長らが児童の家を訪ねて回ったそうだ。保護者と話をしている内に事のすべてが発覚。ちょうど隣村から戻ってきた村人の話から、児童が隣村にいることもわかり、お祭りではしゃいでいるところを全員、あえなく御用となったそうだ。

ヤッギャ校長は細かい事を一切言わず、『明日から学校へ来なくていい。学校で勉強したい子は他にも沢山いるから』とだけ言って児童を家に帰宅させたそうだが、おそらく家に戻った子ども達は保護者に酷く叱られたことだろう。

その夜、児童らは全員揃ってヤッギャ校長の家を訪ね、今回の一件について謝り、もう二度としないから学校へ行かせてほしい、と頼み込んだそうだ。その後、ヤッギャ校長は子ども達にご飯を食べさせながらいろんな話をしたようで、“普段よりもじっくり話が出来てよかった”とヤッギャ校長は笑いながら話していた。

子ども達はお祭りを観たかったのではなく、おそらく“学校をサボって何かする”という内諸事に冒険心がかき立てられたのではないだろうか。「大丈夫か?」、「絶対、大丈夫だ。」「心配するな。」云々と、計画を練っている時の子ども達の会話が手に取るように分かる。せっかく考えた計画もあっけなくずっこけてしまったところが、実にほほ笑ましい。

この日の事は青春の苦い思い出の一つとして、子ども達の心の中で何時までも残るのかもしれない。捕まった時の子ども達の間抜けた顔を想像すると、また笑ってしまいそうだ。


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2008年03月12日

成果

3月12日(水)

一時帰国の日程を終えて、無事ネパールに着いた。今回は短い滞在期間にも関わらず、予想以上に実が多く、とても有意義な時間を過ごす事が出来た。大勢の方のご協力とご理解を頂き、都内の複数の会場でヒマラヤ小学校の写真展を開催することが決まった。また今後、様々な公益団体でヒマラヤ小学校についてお話しをする機会も頂く事になった。ぜひこの機会に一人でも多くの方にネパールの実情や子ども達の頑張っている様子をお伝え出来ればと願っている。写真展については詳細が決まり次第、HPやブログの中でお伝えしたいと思う。

その他、3階校舎内の開設予定の卒業生を対象にした職業訓練所についても沢山の貴重なアイデアを頂き、自分として少し自信を持つことが出来た。3階校舎が完成に近づくにつれ職業訓練所の開設が現実味を帯びてきた事は嬉しい反面、果たして本当に子ども達の自立を実現できるのかという一抹の不安もあった。そんな時に数々の貴重なアイデアを頂けた事は、本当にありがたく、正に目の前の視界が開けたような感じだ。

結局、自分自身が強い信念を持って取り組まなければ、どんな活動も決してうまくいくはずはない。ぜひ子ども達の自立を達成できるよう、しっかり勉強を重ねていきたいと思う。

嬉しいお知らせ。
「ヒマラヤ小学校絵画展」に参加した子供たちの絵が(一部)ポストカードとなり、今後、3枚1組でチャリティー販売を行う事が決まりました。東京・上野の『美味一服めぐり』で販売しています。どうぞよろしくお願いいたします。*現時点では通信販売は行っておりません。


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2008年03月11日

嬉しいお知らせ

3月11日(火)

黒板昨年11月、東京・上野の「めぐりギャラリー」と目黒区立向原小学校で開催した「ヒマラヤ小学校絵画展」。この絵画展を通して大勢の方に子ども達の頑張っている様子をお伝えすることが出来き、望外の評価をいただくことも出来た。また絵画展の開催は、子ども達の絵を対する興味や感心を高め、今では休み時間中に黒板に向かって絵を描く子ども達の姿を頻繁に見かけるようになった。

大勢の方の温かいご協力を頂いて開催できた絵画展だが、子ども達の絵の描き方を指導したモンゴル先生の長男、ビベック君(9年生14)の貢献もとても大きかった。ビベック君は子供の頃から絵が大好きで、よくヒマラヤ小学校を訪ねたゲストの方に村の風景画や似顔絵を描いてプレゼントしたり、また新しい絵が完成する必ず見せにくるなど、絵に対する熱意は相当なものだ。

クマール神奈川2006年11月、ビベック君は、ヒマラヤ小学校のクマール(当時3年生)と共に、「神奈川ビエンナーレ国際児童画ネパール予選に参加したが、そのとき、他の学校から参加した子ども達の絵があまりにも上手なことにショックを受け、悔し涙を流した事があった。予選に参加した子ども達の多くは有名私立校で学び、普段から美術教育を受けている子ども達だった。いくら絵を描くことが大好きとはいえ基礎を学んでいないビベック君と、基礎を学んでいる彼らとの力の差は大きく、特に色塗りではその差が歴然と出ていた。(写真:神奈川国際児童画展の予選に参加した時のクマール)

他校作品肩を落としたビベック君を見て、何とか皆で協力してビベック君に美術教育を与えようということになり、学んだ事をヒマラヤ小学校の子ども達に指導する事を条件に、1年間、絵画教室に送ることにした。絵画教室に通いはじめてからというもの。ビベック君は周囲を驚かす程、めきめきと実力をつけ、今では絵画教室でも一目を置かれているようだ。

昨年、絵画展の開催が決まった時、約束通りビベック君が絵を指導することになった。放課後、ビベック君が子ども達にやさしく丁寧に教えてくれたことで、子ども達の絵は予想以上に素晴らしい出来となった。特に遠近法や影のつけ方など、ビベック君が自ら学んだ知識をしっかり子供たちに伝えてくれた事は本当に嬉しかった。

ビベック先日、ビベック君はLoo Vina children Concern GroupというNGO団体主催の絵画コンテストに参加して、見事、1番に選ばれた。ビベック君が1年間、一生懸命頑張った努力が結果として実を結び、本当に嬉しい限りだ。子ども達にとっても、絵を教えてくれたお兄さんの活躍は大きな励みになるのではないだろうか。ビベック君の今後の更なる活躍を大いに期待したいと思う。




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