2007年07月

2007年07月30日

教師の日

7月30日(月)

ヤッギャ校長今日はグル・プジャ(教師の日)だった。ヒマラヤ小学校でも子供達が教師の日を祝い、思い思いに先生達へ日頃の感謝の気持ちを伝えた


今年のグル・プジャは子ども達の希望で4年生が中心となって企画したが、思っていたよりもしっかした内容になっていて少し驚いた。教室の飾りつけ一つからも子ども達の一生懸命さが伝わってきた。グル・プジャでは子ども達は花やカードを先生にプレゼントする習慣があるが、貰った花やカードの数で先生達の人気が一目で分かる。詳細は伏せておくが、各クラスから幅広くカードや花を貰ったのはヤッギャ校長だった。叱られた経験のある児童ほど大きな花をプレゼントしていたのは、見ていてとても気持ちがよかった。叱る時でも気持ちが入っていれば、子ども達に自然と伝わるのだろう。

先生達がお返しに子ども達へティカをつけて回ったが、一人ひとりの児童にしっかり声を掛けながらティカをつけているのが印象的だった。先生達のこうした優しさが、児童との信頼関係を築いているのだろう。

グルプジャ今日は授業もなく、子ども達は勉強の事を忘れて楽しい時間を過ごした。子ども達にとっては試験前の良い息抜きになったようだ。

ホームページ内ヒマラヤ小学校通信を更新しました。







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2007年07月29日

村での往診

7月29日(日)

早朝、友人と共にラム・ダンダ村を目指して歩き始めた。ラム・ダンダ村はブンガマティ村から山道を歩いて4〜5時間のところにある小さな村。過去に何度か医療キャンプで訪ねた事がある村だが、先日、治療をしたことのあるラム・ダンダ村のお年寄りと別の村で再会した事が切欠で、久しぶりにラム・ダンダ村を訪ね治療をすることにした。

田園風景生憎、朝から強い雨が降り続く天候で足元は非常に悪かったが、途中の高台から眺めた一望千里の棚田は何ともいえず綺麗だった。カトマンズ校外の農村部では既に田植えが終わり、今は田にはびこる雑草を抜く作業で農家の人々は忙しい。この季節、雨に濡れた稲はとても美しい。


村に着く手前の峠で休んでいると、里親教育基金の奨学生が急病で入院したという連絡が入った。電話では詳細は分からなかったが、元々持病がありヒマラヤこども医療基金からも継続的な医療支援を受けている奨学生だったので、結局、ラム・ダンダ村での治療を諦め雨の降りつける畦道を引き返えすことにした。

休まず歩き続け、何とか午後4時半頃にカトマンズ市内の病院に着くことが出来た。暫くして検査の結果と共に担当の医師が病室を訪ねてきたが、奨学生は虫垂炎を罹っているとの事だった。手術が必要かどうかは未だわからないが、数日、入院する必要があるとのことだった。担当医から話を聞くまでは心配だったが、幸い大きな病気でなく安心した。

今日は他の奨学生達がずっと付き添いで手伝ってくれたため、文盲の母親はとても助かった様子だった。

それにしても村から病院までの距離は想像以上に遠く感じた。雨が降っていたせいもあると思うが、もし村で病気になればこの距離を苦しみながら歩かなければならない事を考えると、恐ろしくなってしまう。例え籠(ドコ)で担がれても、本当に大変だろうなぁと思う。首都近郊でもこんな感じだから、ネパール国内にはまだまだ医療サービスに十分アクセス出来ない人たちが大勢いることを今更のように痛感した。



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2007年07月26日

ヤンチャ小僧・アニス

7月26日(木)

アニスヒマラヤ小学校で1番ヤンチャな児童は?と訊かれたら、先生達は口を揃えて“クマール”と答えるだろう。少なくとも去年までの答えは間違いなくクマールだった。そのクマールが4年生になってから少し落ち着きが出てきた様で、先生達を驚かしている。もちろんクマールがまだまだヤンチャでヒマラヤ小学校のガキ大将である事に変わりはないが、僕もクマールを見ていて、彼が前よりも一歩成長したなぁという感じを受ける。以前のヤンチャぶりを知っているだけに、少し寂しい気持ちもあるが、クマールの成長を喜びたい。

クマールが落ち着いたからといって、決してヒマラヤ小学校が静まりかえるわけではない。後から後からヤンチャな児童が入ってくるので先生達は本当に大変だ。今、ヒマラヤ小学校で一番元気なヤンチャ小僧は、おそらく1年生のアニスだろう。アニスのヤンチャぶりで、若い先生達が手に追えなくなる事も珍しくない。

バサヒマラヤ小学校では時々、支援者から頂いたチョコレートを配ることがあるが、1人につき1個ずつ配る時でも、なぜかアニスは2つ、時には3つも持っている事がある。先生達が職員室に引き上げると、ポケットの中のチョコレートこっそり見せながら、『凄いだろう』 といわんばかりに満面の笑みを浮かべる。アニスはなかなか賢い男だ。


時々、子ども達を連れて学校の周辺へ散歩に出かけるがあるが、アニスはいつの間にか木に登って木の実を取ってきたり、野に咲く花の蜜を吸ったりなど、兎に角、何時もすばしっこい。成長の盛りで食欲旺盛なアニスの頭の中には、どこに食べられる物があるのか叩き込まれているのかもしれない。時には、学校周辺の事を知り尽くしている筈のモンゴル先生でさえ知らない、小さな洞穴の事を知っていたりもする。そんなアニスの生きる知恵や力を見ると、もの凄く逞しい生命力を感じる。


ミネス先日、お菓子をねだるアニスに、飴玉の包み紙に石を入れた物を渡したが、アニスは全く気付かず喜んでポケットに仕舞い込んだ。面白いので3個ほど上げたが、翌日、“やったな〜”と、笑いながらも少し悔しそうな顔をして訴えてきた。その後、同じクラスのお人好しミネスが、持っていた本物の飴玉1つとアニスの飴玉3つを交換したら、3つとも中に石が入っていたと泣いていた。アニスのヤンチャは暫く続きそうだ。写真はアニス(上、中)ミネス(下)




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2007年07月25日

期末試験前の学校

7月25日(水)

暗記さじゃんヒマラヤ小学校では8月5日から期末試験が予定されている。試験前ということで学校内は緊張感が漂っている普段、騒がしい子までが教科書にへばり付いている様子を見ると、子ども達にとって試験がいかに大きい事なのか分かる。毎年、試験に合格しなければ進級できないわけだから、必死になるのも無理はない。


子ども達の勉強の仕方も千差万別だが、成績の良い子は多くの場合、落ち着いてじっくり教科書を読んでいる。逆に勉強の苦手な子は教室内をウロウロしたり、暗記のために大声を出したりと、落ち着かない。まるで子供の頃の自分を見ているようだ。


暗記ロシャナあるクラスで目を瞑りながら、呪文を唱えるようにして要点を暗記する児童がいたが、何度も何度も暗記に失敗しながらも、ようやく覚えられた時の笑顔を見ると、こちらまで嬉しくなる。何とかこの直向な努力が試験の成果として現れて欲しいなぁと思う。試験まで後1週間あまり。みんな頑張れ!!

前回の帰国中、師事する鍼灸師の先生から直接ご指導をいただく機会があった。これまで見た事もないような物凄い治療を見て、技術的な事はもちろん施術者として治療に挑む姿勢など、兎に角、毎日が驚きと学びの連続だった。同時に、これまで自分が行なって来た治療が、単なる治療の真似事であった事を痛感した。患者の病気に立ち向かう闘志を掻き立てるため、叱咤激励する先生の姿からは”本気の治療”が感じられた。今の僕には大いに欠けている点かもしれない。

ネパールに着いてから先生に教わった治療法を基に、ネパールの現状に合った自分なりの治療法を模索している。まだまだ手応えはまったく感じていないが、鍼灸師として少しでもネパール社会に貢献できる治療を構築したいと考えている。



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2007年07月24日

小学校図書館ニュースにケナフ活動が紹介されました。

7月24日(火)

少年新聞少年写真新聞小学校図書館ニュース(No 788 2007年7月18日号)で、ネパールでのケナフ活動が紹介されました。去る6月2日に広尾のJICAプラザで開催されたネパールNGOネットワークセミナーでの講演を取材頂いたものです。新聞にはケナフ活動に取り組むヒマラヤ小学校の子ども達の様子が大きく掲載されています。また付属の冊子にはこれまでのケナフ活動の様子が分かりやすく説明されています。ぜひご覧ください。








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2007年07月21日

若い先生達の成長。

7月21日(土)

スニタ最近、ヒマラヤ小学校のスニタ先生とムヌ先生が良く頑張っている。ムヌ先生は教師になって2年が過ぎ、これまでの経験を上手く活かす事が出来ているようだ。スニタ先生は昨年から幼稚園年少組の担任としてヒマラヤ小学校の教員になったが、これまでの努力が認められ今年からは年長クラスの担任と共に、年長〜4年生まで各クラスで授業を受け持つ事になった。*写真はスニタ先生

若さ溢れる2人の先生が頑張っている姿は見ていてとても清清しく、子ども達をはじめ学校全体に良い影響を与えているように思う。僕自身、過去に2度ほどムヌ先生を叱った事があるだけに、ムヌ先生が一生懸命頑張っている事は特に嬉しい。

ヒマラヤ小学校は運営上の問題から経験豊富な教員を雇用する事が難しいため、基本的には経験のない若者を雇用し、育てていくスタンスでやっている。未経験者ということで、これまで周囲だけでなく、本人も不安になることが度々あったようだが、ヤッギャ校長、モンゴル先生、同じ女性教員で経験豊富なビディヤ先生の熱心な指導、そして何よりも子ども達の様々な変化を感じることで、若い先生達は一歩ずつ成長しているようだ。

ともすれば弱点にもなりがちな”経験の低さ”を“長所”と捉え、若い力を積極的に生かしていけば、もっともっと面白い学校が出来るのではないだろうか。今後も若い先生たちの活躍に期待したい。




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2007年07月19日

新入生の様子

8月19日(木)

新入生が入学してから早くも3ヶ月が過ぎた。毎日、新入生の様子をチェックするのが日課となっているが、特に新入生が一番多く入った幼稚園年少クラスの様子を見るのは、楽しみの一つだ。

園児2今日も何時ものように年少クラスを覗いてみると、みんな元気よく、1〜10までの数字を指を折りながら読み上げていた。3ヶ月前は泣いてばかりで殆ど授業になっていなかったのが、今では授業らしくなっているのだから教育の力というのは凄いなぁと思う。『1〜10まで言える人?』という呼びかけには全員が手を挙げ、皆で競うように1〜10までの数字を読み上げていた。子供達が喜んで勉強している様子を見ると、本当に嬉しくなる。

園児幼稚園年少クラスにはお昼寝の時間もあるのだが、他の園児達がスヤスヤ眠っている中、一人だけ黙々とノートに覚えたての数字を書いて勉強を続けている子がいた。担任の先生に尋ねると、この園児は毎日、昼寝を殆どせずに復習をしているという。毎日、新しい事をいろいろ教わるのだから、きっと勉強が楽しいのだろう。なかなか頼もしい。

今日はノートの作成について話し合った。児童数の増加と共にノートの消費が増えつづけ、運営面での悩みとなっている。特に各学年2科目ずつある英語ノートは消費が多く、何度作成しても直ぐになくなってしまう状態だ。幸いにも昨年度には個人支援の他、グループによる大きな支援を頂き、1年分の英語ノートを作成することが出来たので今年度は問題ないと思うが、英語の次に消費が多い数学と国語のノートを何とかしなくてはいけない。大量に発注すれば1冊ずつの費用も安く済むので、発注のタイミングはとても大事だ。集まった支援金と料金表を何度も見ながら、先生達と暫く話し合いが続いた。

ヒマラヤ小学校は貧しい子供達が安心して学べるよう、学用品も含め全てを無償で提供している。その分、管理も徹底していて、たとえばノートなら使い終わった物と引き換えに新しいノートを配布するようにしている。そうでもしないと子供達が何冊でもノートを欲しがってしまい、とても全てを無償で学校を運営する事など出来ない。こうした管理は几帳面なヤッギャ校長だからこそ出来るのだとつくづく思う。

来週までにはノートを発注しなければならないが、運営面の事を考えるとなかなか簡単に決断する事はできない。暫く悩みは続きそうだ。


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2007年07月18日

未来のミス・ネパール

7月18日(水)

ネパールでは毎年、『ミス・ネパール』を選ぶ美人コンテストが開催されている。こうしたコンテストはミス・ネパールの他、ミス・キャンパスやミス・ティーン等があり、近年の近代化と共にイベントは活気付いている。特にミス・ネパールに選ばれるとテレビCMやドラマ、その他、社会活動等で活躍する機会が多く、若い人達たちにとっては憧れでもある。毎年、コンテストの前になると、新聞に掲載された出場者の写真や履歴を見ながら、あれこれ話し合っている学生達の姿を目にするのも恒例となった。

ミスネパール候補先日、何時ものようにヒマラヤ小学校で写真を撮っていると2人の児童が寄って来て、写真を撮って欲しいと言ってきた。カメラを向けると2人とも揃ってモデルの様なポーズを取りはじめた。顔つきもなかなか真剣で、一瞬、唖然としてしまったが、2人とも将来はミス・ネパールになりたいらしい。ミス・ネパールの情報は村にも入ってくるわけだから、子ども達が大きな憧れを抱くのは当然だろう。

近年こうした美人コンテストに対してネパール国内でも賛否両論が起こっている。両方の意見ともに一理あるので、僕にはどちらが正しいのか分からないが、現時点ではコンテストを支持する人の方が多いような感じを受ける。今後、この問題は人々の価値観の変化と共に活発に議論されるのではないだろうか。

でも、ヒマラヤ小学校の可愛らしい未来のミス・ネパール候補にはそんな問題なんて、どうでも良いことなのかもしれない。







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2007年07月13日

つづり字コンテスト

7月13日(金)

スペリングコンテスト今日は私立学校主催のつづり字コンテストが開催され、ヒマラヤ小学校から1年生のビンドゥとビシュヌの2名が参加した


早朝からサーノガウン村で往診治療をしていたのだが、今日は何時も以上に治療に力が入ってしまい、村を発つのがすっかり遅れてしまった。バイクを飛ばして大急ぎでコンテスト会場へ向かったが、結局、会場に着いた時には既にコンテスト終了5分前になっていた。ビンドゥの様子は少しだけ見る事が出来たが、気になっていたビシュヌの様子は全く見ることが出来なかった。

5、6歳の他校の小さな児童に混じり、14歳のビシュヌが頑張る姿をしっかりこの目で見て、HP上でもお伝えしたかったのが、、、、、、、、治療やその他の活動を掛け持ちしている現状では仕方がない。??

本来なら広報部を作って専門のスタッフを置き、子ども達の様子をもっと確実にお伝えるべきだと思うが、専門スタッフを雇うだけの経費があるのなら、やはり子ども達のために役立てたいというのが僕達の偽らざる思いだ。不十分な広報活動によって支援者の皆さんにはご不満もあると思うが、出来る限り子ども達の様子をお伝え出来るよう、工夫によって現状を変えて行きたいと思う。

結局、ビンドゥは惜しくも4位、ビシュヌは7位という結果に終わったが、2人とも大健闘したと思う。ビンドゥは入賞しても決しておかしくない内容だったし、初めての参加で7位という結果を残したビシュヌは立派だと思う。今後も積極的にコンテストに参加することで子供達が少しずつ自信をつけてくれたらと思う。

コンテストの後、ヤッギャ校長、ムヌ先生と話をしたが、みんな入賞への欲が出てきているようだ。先生たちに力が入っているので、もしかすると入賞は近いかもしれない。



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2007年07月12日

試験に向けた練習、ダンス三昧

7月12日(木)

ミネスヒマラヤ小学校の短い夏休みが明け、今日から子供達が元気に登校してきた。久しぶりに子ども達の元気な姿を見ると、こちらも自然と元気を貰っているような気持ちになる。それにしても子供達が息を切らしながら一生懸命、夏休み中の出来事について伝えて来ようとする姿はとても愛くるしい。思わず笑ってしまう事もあるが、子ども達の話をしっかり聞くことは僕たち教職員の大切な役割だと思う。

ヒマラヤ小学校では8月初旬から第一学期期末試験が始まるが、今日は新入生が初めての試験で混乱しないよう、新入生を対象にした試験の予行練習を兼ねたクイズを行った。3問正解すれば飴が貰えるという事もあり、どの子もかなり本気の様子だった。模擬試験風の書き取りクイズも行なわれ、入学して初めての期末試験に向けた準備は整いつつある。

新入生毎年、夏になると中学生や高校生、教師を目指す大学生など大勢の人たちが日本から交流活動に参加して賑やかだが、今年はネパールの政情不安により交流活動は中止することになった。ネパールでは11月に王政の存続に関わる制憲議会選挙を控えているため、今後、更なる混乱が予想されている。

関係機関の協力の下、安全対策には万全を尽くしている事や、外国人を狙った事件も殆どないため、参加者の安全に関しては特に心配する必要はないと思うが、政情の悪化でゼネストなどが頻発し、学校の強制閉鎖や交通機関の麻痺が起これば、活動が思い通りに実施できない可能性がある。そうなると、せっかく高い費用をかけてまでネパールへ来て貰った意味がなくなってしまう。結局、ネパールの現状を踏まえ、今年は交流活動を見送った方が良いとの考えで纏まった。残念だが来年に期待したい。

寺子屋リシャ
ブンガマティ村の外れにある集落で往診治療を終えた後、夕方から隻手薬師(かたでやくし)寺子屋を訪ねた。久しぶりの訪問だったが、寺子屋は相変わらず子ども達の学びの熱気で満たされていた。熱心に鉛筆を走らせている子ども達を暫くカメラに収めていると、後ろの方で何か騒がしくなって来た。振り向くと一部の子供達がダンスの準備を始めていた。この寺子屋の子ども達は、兎に角、踊りが大好きなのだ。誰かに見て貰う事が一番嬉しいようで、僕が訪ねると勉強は二の次に、必ずダンスが始まってしまう。


寺子屋ダンス3人組“今日は少しだけ様子を見るつもりで来たので、ダンスは次回ゆっくり見るね“と言っても、子ども達に通じる筈はなく、予定通り特等席に座らされ、子ども達の大好きなダンスを拝見することになった。外から見られるのは恥ずかしいと、窓は全て閉め切られ、おまけに子ども達の物凄い熱気で教室は蒸風呂のような状態だった。それでも汗だくになりながら無邪気に踊り続ける子ども達を見ていると、とても微笑ましかった。


寺子屋ダンス2後半からは卒業生まで加わり、結局2時間近くも子ども達は様々な踊りを踊り続けた。見ているだけでも流石にくたくたになったが、ダンスのお礼に近所のお店からアイスクリームを買って来て、子ども達と一緒に食べながらダンス三昧の楽しい時間は過ぎていった。





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2007年07月08日

マチェンドラナート祭り

7月8日(日)

山車今日はマチェンドラナート祭り(雨乞い祭り)の最終日。パタン市内のジャワケルまで引かれた山車からボト(宝飾神衣)を披露する祭りの最終行事が行なわれた。国王云々、いろいろ小さな出来事はあったものの、今年も大勢の人が集まり賑やかに執り行われた様子。この行事の後、山車の中に遷座した神像は籠に乗せられ、ジャワラケルからブンガマティ村のお寺まで約2時間の道のりを護衛隊や市民に守られながら運ばれ、再び遷座する。

今日は雑用を早めに切り上げ、ヤッギャ校長の家から神像が運ばれる様子を見ることにした。毎年、“来年こそは”と思いながら見る機会に恵まれていなかったので、今年は早い時期から祭りの日付に印をつけて、必ず見ることに決めていた。

午後8時半頃、松明を掲げた行列の先頭が見えて来た。祭り囃子と共に人々の雄叫び声がこだまし、なかなか幻想的な雰囲気。2000人以上はいたと思われる人々の熱気は想像以上のものだった。神像の到着が分かると村の家々では軒先の藁に火が灯され、神像の帰省を歓迎していた。

人々の熱気に逆上せそうになったが、今日は祭りを通してカトマンズ盆地の人々の営みが信仰と共にある事を改めて実感した。明後日は神像がちゃんと到着したかどうか確認するお祭り(ビチャリ・プジャ)の日。一年の日数よりも祭りが多いと言われる理由がよく分かる。



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2007年07月07日

”自らモノを考える”習慣

7月7日(土)。

昨日、SLC(10学年終了時に受ける全国統一卒業認定試験)の結果が発表された。ヒマラヤ青少年育英会の里親教育基金から受験した7名の内、6名が合格を果たし、残念ながら合格できなかった一人も1教科のみ不合格だったため再試のチャンスが残っている。子ども達それぞれに思いはあるだろうが、まずまずの結果だったように思う。

SLC試験は別名“鉄の門”とも呼ばれ、毎年、自殺者が出るほど厳しい試験だった。合格率は3割程度、合格者の9割近くは私立学校の学生が占め、公立校の学生にとっては“鉄の門”以上の難関試験だった。

しかし近年、SLC試験は大きく変化しつつある。毎年、合格率が上がり続け、今年は合格率が58%にまで上がっている。試験の出題も10学年の教科書の中からだけとなるなど、過去のSLCではとても考えられないような状況だ。

僕がネパールで暮らしている10年近くの間、特にこの5年間、ネパール社会は著しく変動している。世の中の変化とともに人々の価値観も急速な勢いで変化しているのが分かる。特に教育分野では、これまでのSLC試験に向けた暗記中心の教育システムから、“自分で考える教育”の入口に来ているように強く実感している。おそらくこうした社会変化に伴い、SLC試験も大きく変化しているのだろう。

これまで諸外国からの援助の多くは、残念ながら大きな成果を残すことが出来ていない現状がある。過去の援助の多くは援助する側の一方的な価値観の下、上から下へと流れていく形で行われる事が殆どだったように思う。(もちろん、このシステムが社会を上手く動かしていたことは事実だ。)結果として一部ではあるが、残念ながら現地の人々の中には、遣って貰えるだろう、やって貰って当たり前という、援助する側に“任せっきり”の価値観、つまり”自分達でモノを考えない習慣”が出来てしまったのも事実であり、過去に援助が十分な成果を出せなかった理由の一つだと思う。

卒業生の経済的な自立を目標に掲げているヒマラヤ小学校では、学校教育を通して子ども達に“自らモノを考える習慣”を身につけて欲しいと考えている。考える習慣を持つことが、結局は自立意識の高揚、如いては経済的な自立に繋がるものと信じている。

幸いにもヒマラヤ小学校で開校当初から続けているケナフ活動は、子ども達が“自らモノを考える習慣”を身につけるために非常に有効な教材となっている。種まき〜栽培〜観察〜収穫〜モノ作りという一連の活動を通して、子ども達が着実にモノを考える習慣を身につけている事を実感する。これから自立に向けた具体的な活動が始まる前に、子ども達にしっかりとモノを考える習慣を身につけさせたいと思う。


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2007年07月06日

コカナ村の寺子屋

7月6日(金)

ヒマラヤマリア14月下旬に新しく開校したコカナ村の寺子屋で給食会を開催した。開校から3ヶ月余りが経過し、すっかり環境にも慣れた子ども達。毎日、楽しそうに勉強している姿からも、彼らが一歩ずつ成長している様子がよく分かる。どの寺子屋でもそうだが、まず一番先に子ども達に教えることは挨拶と手洗いだ。コカナ村の寺子屋でも授業の前と後に必ず手洗いを行っているが、今では手を洗わず教室へ入った僕を子ども達が注意するまでになった。

給食会では子供達が大好きなパンやサモサ、ジュースなどが用意され、お腹を空かした子供達は元気よく嬉しそうな顔で食べていた。食事の後はダンスや歌で盛り上がり、楽しいひと時となった。

ヒマラヤコカナ手洗い今回の給食は支援者の方から“頑張っているご褒美に”と、特別にご支援いただいたものだが、勉強だけでなく、子ども達がこうして一緒に楽しい時間を共有することはとても大事だと思う。今後も機会を見つけて、楽しい企画を作っていきたい。




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2007年07月04日

自立への道

7月4日(水)

ヒマラヤ小学校では卒業生の経済的な自立を大きな目標の一つに掲げている。自助努力の意識を高めながら、さまざまな職業訓練を行なうことで、子ども達の将来の自立を実現したいと考えている。今は日本の皆さんの善意で支えられているヒマラヤ小学校も、卒業生が経済的な自立を果たす事が出来れば、将来は卒業生がヒマラヤ小学校を支える事も決して夢ではないと考えている。

子ども達の自立を目指して開校以来、天然資源ケナフを使った活動を進めている。これまで活動に参加する学校も2004年の3校から2005年には9校、2006年には23校と増え続け、2006年夏には700名の子供達が集まって第2回こども環境ケナフ会議を開催することが出来た。会議を通して少なからずともネパールにおける天然資源ケナフを使った活動の盛り上がりを、国内外の関係機関へ示すことが出来たのではないかと自負している。

今後もケナフを使った活動を通して子ども達の自立を目指したいと考えているが、ケナフ技術センターの建設やケナフから無薬品でパルプを作るための機械などを整備するためには、多額の費用と時間が掛かる事が予想される。恐らく個人レベルの支援では難しい面があるため、外務省、JICAまたはその他の助成団体に対し助成金の申請を行なう必要がある。大きなプロジェクトだけに、この夢を実現できるまでには今暫く時間が掛かりそうだ。

編み物1再来年にはヒマラヤ小学校から第一期卒業生を送り出す予定になっている。既に2年を切っている現状なのでケナフだけで考えていると、職業訓練の実施は少し難しくなってくる。もちろん焦ってはいけないが、なんとかケナフと並行して他の職業訓練の道筋をつけることが現在の急務となっている。

丁度、そんな話をしていたとき、ヤッギャ校長の奥さんから『子ども達に編み物を教えてあげますよ』と声を掛けていただいた。ヤッギャ校長の奥さんは昨年から某会社の依頼を受け、内職として毛編みの帽子を作っている。完成品は外国へ出荷されるようで、人気が高く生産が追いつかない状態のようだ。ヤッギャ校長の奥さん以外にも、村の女性達数名が手編みの帽子つくりを行なっているそうだ。

編み物2指導まずはやってみよう”という事で、3、4年生の女子を対象に夏休みを利用した手編み教室を開催することになり、8名の女子が参加することになった。20歳を超えている3年生のリナをはじめ、ジュンケリ、ラクシミなどが参加を強く希望したことは、将来の職業訓練開催に向け、大きな手応えを感じる事が出来た。彼女達が心配しているのも、やはり卒業後の事なのだ。

開催から2日が経過したが、ヤッギャ校長の奥さんの熱心な指導の下、全員が真面目に一生懸命、編み物の習得に取り組んでいる。特にリナは覚えが早いようで、“順調にいけば1ヶ月足らずで帽子を編む事も可能になりそうだ”と、奥さんが嬉しそうに話していた。この編み物教室、子ども達からの評判も良いので、夏休みが終わった後も放課後を利用して継続したいと考えている。今後も様々な職業訓練を実施しながら、何とか子ども達の将来の自立を実現したい。


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2007年07月02日

予防接種

7月2日(月)

B昨日に引き続きB型肝炎とポリオの予防接種を実施した。開校以来、学校として子ども達への保健衛生教育に力を注いできたが、やはり感染症から子ども達の身を守るためには、こうした基本的な保健衛生知識と共に予防接種が必要となってくる。

今回、接種したポリオは実際には生後2歳くらいまでに摂取が薦められているが、無料にもかかわらずヒマラヤ小学校の児童は1人として予防接種を受けていなかった。児童の生活環境を考えれば、彼らの多くはポリオの危険と隣り合わせの不衛生な生活を送っているので、どうしても接種は不可欠だと思う。

B型肝炎は主として血液を介して感染する。村では様々な人生儀礼頭の際に頭を丸める習慣があるが、そのとき他人と同じ剃刀を使う事が多い。その他にも傷口等から流れる血を平気で触っている様子も良く見かける。ネパールの農村村でB型肝炎の罹患者が比較的多いと報告されている事には、上記以外にも理由があると思うが、子供達が危険に晒されていることに変わりない。

今日は生まれて初めての予防接種ということで、子ども達はかなり興奮気味だった。注射が好きな子なんていないと思うが、こんな時、普段やんちゃな児童ほど怖がっているのは、なかなか面白い。

2日間で全児童への予防接種を終える事が出来た。ポリオやB型肝炎以外にも、腸チフスやA型肝炎等の予防接種も実施したいのだが、有効期間や費用を考えると実施は当面、難しい現状だ。

今後、学校として更に子ども達への保健・衛生教育に力を入れながら、他の予防接種の実現を目指していきたい。



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2007年07月01日

ビナの成長、栄養摂取プログラム

7月1日(日)

早朝に村の往診を済ませ、今日は朝礼からヒマラヤ小学校を訪ねた。朝礼が終わり職員室で資料つくりをしていると4年生のビナがやって来て、金曜日の作文コンテストについて話しかけてきた。

ビナビナは大人しい性格で普段は口数も少ない。そんなビナが僕に向かって、「あの時、もう少し書けば良かった〜」とか「次は絶対、入賞したい!それに『コンテストのとき友達が出来たから、次のプログラムには参加させて欲しい」などなど、コンテストの感想や次回の意気込みをとても嬉しそうな表情で話して来た。

金曜日のコンテストで、他校の大勢の子ども達との交流、初めて入った私立学校の雰囲気、入賞こそ逃したものの、審査員や引率のヤッギャ校長から誉められたこと、他校の友達が出来たこと、その他、帰り際に頑張ったご褒美として食べたコーン付きのアイスクリームも含め、金曜日の全てがビナにとって新鮮な感動であり、新しい世界に足を踏み入れたことがビナを一歩成長させたのかもしれない。今日のビナの笑顔はとても爽やかで素晴らしいものだった。

さて今日は子供達が楽しみにしている栄養摂取プログラムの開催日だった。子ども達は皆、朝からソワソワして落ち着かない様子だった。中には幼い弟達を連れてくる、なかなか賢い児童までいた。

栄養栄養摂取プログラムを始めて2年、これまで様々なメニューを試みてきたが、最近ではお腹を空かせた子ども達にお腹一杯食べさせる事が、栄養以上に大事ではないかと考えるようになった。特に育ち盛りの男の子達は毎回、何度もお代わりを求めてくるがメニューにこだわるあまり量を確保できず“腹いっぱい食べたい”という彼らの要求を満たすことが出来ていなかった。

この時期、子ども達の多くは田植えの手伝いで忙しい。土地を持たない貧しい農家にとって、田植えの手伝いは貴重な現金収入の機会でもあるため、子ども達も農作業に借り出されお腹を空かせている。

今回は先生たちの提案で、質よりも量を優先させる事が決まり、ジャムつきの食パン、ゆで卵、牛乳、マンゴーなど、美味しくて食べやすいメニューを用意した。また原則としてお代わりを全て自由とした事が今回の大きな試みだった。

案の定、子ども達は物凄い勢いで食べ続け、中には5回もお代わりをする男の子もいて、先生達を驚かしていた。みんな腹いっぱい食べられたようで、凄く嬉しそうな顔をしていた。育ち盛りの子ども達の食欲には何時も驚かされる。今後もいろいろな試みを繰り返しながら、意義ある栄養摂取プログラムを開催したいと思う。


ロジ、アジャイ今日はコカナ村からロジちゃんとアジャイ君も学校へ遊びに来て、お手伝いをしてくれた。ヒマラヤ小学校の子ども達ともすっかり打ち解け、仲良しになったようだ。良い交流が実現できた。

ヒマラヤ小学校通信7月号






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