2007年04月

2007年04月16日

新入生

4月16日(月)

新入学期末試験の成績発表も無事終わり、ヒマラヤ小学校は春休みに入った。現在、学校は新入生の受け入れ準備で大忙しだ。今年は例年にも増して入学希望者が多く選考は困難を極めそうだ。本心では希望者全員を受け入れたいところが、今年も例年通り20名から25名の入学を予定している。


毎年、入学希望者が増えているのは、村の人々の教育への関心が高まっている証拠ではないかと思う。最近、ヒマラヤ小学校への評価の声も少しずつ聞こえてくるようになったが、学校の評価を上げることが、結局は村の人々の教育への関心を高める結果に繋がってくるのだと思う。入学希望者が増えている現状は、先生や子ども達の努力の産物ではないだろうか。

新入学2村の人々の理解を得るためには、やはり時間を掛け、煉瓦を一つずつ積みあげるような地道な努力が必要だ。村の人々の期待に応える事で、教育への関心を更に高めていきたい。


ヒマラヤ小学校には毎年、約25名の子供達が入学しているが、同時に毎年数名の子供達が中途退学している。中途退学が多いのはヒマラヤ小学校だけでなく、ネパール全体でも、その割合は非常に高い。子供達が学校を辞める理由は様々だが、ヒマラヤ小学校の場合、身内による人身売買や幼児結婚を除けば、保護者が仕事を求めて他の地域へ移住することが原因のほとんどだ。

ブンガマティ村には小さなカーペット工場が数件あるが、ヒマラヤ小学校の母子家庭の保護者の多くはカーペット工場で働いている。仮に他の地域で現状よりも良い賃金や環境で働けることが分かると、後先を考えず移住してしまうようだ。窮状を抱えていれば仕方のないことかもしれない。移住先で子供達が学校へ通えるなら良いのだが、その後、学校へ通うことなく、カーペット工場等で母親と一緒に働いているケースが多いようだ。

退学者を減らす事はヒマラヤ小学校の責務でもある。経済的な問題が関わるため、なかなか簡単ではないが親との信頼関係をしっかり築く事で、何とか道が開けてくるのではないかと思う。今年こそ、1人の退学者も出さずに1年間を乗り越えたい。



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2007年04月11日

成績発表

4月11日(水)

ラムとガンガ今日、ヒマラヤ小学校で期末試験の成績発表が行なわれた毎年、この(3学期期末試験)成績発表の日は気が重い。1年間、がんばった子供達が評価される事は嬉しいのだが、毎年、数名程度、落第する児童が出てしまう。今回こそは一人の落第者も出ない事を願いつつも、過去2回の成績発表の事を思い出すと、気が重くなってしまう。

午前10時から試験発表が行なわれた。合格が分かり大喜びする子、保護者と熱心に成績表を見つめる子、成績発表の場には子ども達の様々な表情があった。子ども達の1年間の努力が報われた事は本当に嬉しい。先日のブログの中でも紹介したラムとガンガの2人も見事合格し、念願だった幼稚園年長クラスへの進学を果たした。2年間、諦めずに頑張った2人の努力に敬意を表したい。

悔し涙嬉しい事も沢山あった反面、残念ながら今回の試験では、幼稚園年長クラスを除く全クラス(幼稚園年少、1〜3年)から、数名の落第者が出てしまった。担任の先生から結果を告げられ、悔し涙を流す子もいた。いろんな思いが胸の中を巡ったのだろう。傍で見ていて胸が痛くなったが、落第した子ども達をしっかり受け止め、彼らにやる気を与えること、そして彼らが新たな気持ちで頑張れる環境を作ることが僕達、教職員の大きな役目だと思う。残念な結果に終わった子供たちには、今回の悔しさを強いバネに超克してほしい!

今回の試験では、スポンサーシップ制度を受けている児童全員が合格を果たした。これには様々な理由があると思うが、支援者との交流が子供たちの学習意欲を強く掻き立てた事は間違いない。スポンサーシップ制度を始めて1年、着実に良い成果が上がっているようだ。




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2007年04月07日

ケナフ・みどりの少年団

4月7日(土)

ケナフ質疑応答今日は、昨年の“第2回こども環境ケナフ会議”で設立された“ケナフみどりの少年団”の代表が集まり、釜野先生を交え、今後のケナフ活動について夢のある意見交換が行なわれた。これまで学校単位での活動は積極的に行なわれてきたものの、こうして各校の“みどりの少年団”が集まって一緒に活動を行なうのは、会議を除いて今回が初めてだった。



緑の少年団当初、お互いに緊張気味の子ども達だったが、時間が経つにつれ打ち解けあい、途中からはとても活発な意見が交わされた。子供らしい豊かなアイデアも沢山飛び出し、聞いている僕らの方が大いに学ばされた。今日は釜野先生に直接、ケナフについて質問できる機会でもあったため、子ども達からは様々な質問が飛び出したが、釜野先生は優しい言葉で、子ども達一人ひとりの素朴な質問に丁寧に答えてくださった。釜野先生のお話に瞳を輝かせながら。夢中になって聞き入る子ども達の姿から、彼らの大きな熱意が伝わってきた。


サークル午後からは場所をカトマンズ郊外の植物園に移し、オリエンテーションが行なわれた。芝生の上で車座になって、名前を覚えるゲームをしたり、ジョークを飛ばしあったり、暖かい春の日差しの下で、楽しく充実した時間を過ごす事ができた。学校の異なる子ども達が今回の活動を通して、お互いに打ち解けあえた事が一番の収穫だと思う。これから“ケナフ・みどりの少年団”同士の横の繋がりをしっかり築き、地域に根ざした活動に発展させたい。


集合写真今日はケナフ活動の発展を刮目して待っている子供たちの生の声を聞いて、本当に大きな励みとなった。これからも子ども達一人ひとりの声をしっかり汲み上げ、全員一丸となってケナフ活動の発展を目指して頑張りたいと思う。





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2007年04月05日

試験終了

4月5日(木)

涙今日でヒマラヤ小学校の期末試験が終わった。無事、試験を終える事が出来、本当に安心した。関係者、そして応援して頂いた皆さんに心から感謝申し上げたい。今回の試験では、(問題が解けず)悔しくて突然、試験中に泣き出す幼稚園クラスの子がいたり、第1問目の問題に引っかかり、試験時間ぎりぎりまで考え込んでいた子がいたりと、微笑ましい出来事も何度かあったが、皆、最後まで本当に良く頑張ったと思う。

絵本幼稚園2クラス、小学校1年の3クラス、65名で開校したヒマラヤ小学校も、今では3年生まで5クラス約100名の子ども達が学ぶ学校に発展した。クラスが増える度に児童数も増えるため、試験は毎年、違った感じがして緊張する。ヒマラヤ小学校は今後も毎年1クラスずつ増え、2008年度には5年生まで7クラスが整備される予定だ。5年生7クラスでの試験を無事終えられるまで兎に角、毎回が訓練のつもりで一生懸命頑張りたい。

今日、日本ケナフ開発機構の釜野徳明先生がネパールに到着された。今回の訪問は将来、ネパールで建設を予定している天然資源ケナフを使った“物つくり技術指導センター”について協議を行なうため。ぜひ、今回の釜野先生のネパール訪問の機会に半歩でも計画を進めたいと思う。

ネパールでのケナフ活動も既に3年が過ぎようとしている。(栽培調査活動を含めば4年)これまで2回のこども環境ケナフ会議をはじめ、環境科学省、カトマンズ市との調印によるケナフをつかった環境・教育・産業支援活動など、目的に向かい活動は着実に進んでいる。特に昨年8月12、13日に開催した第2回こども環境ケナフ会議は大きな反響があり、ケナフを求める声が大きく高まっている。

将来、ヒマラヤ小学校で学んだ子ども達がケナフを使った職業訓練を経て、社会で自立する事が僕達の大きな願いだ。“経済的に自立した卒業生がヒマラヤ小学校を支える”そんな夢が実現する日も来るかもしれない。そんな夢に向かって、これからも釜野先生のご指導を頂きながら、一歩ずつ着実に活動を進めていきたいと思う。






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2007年04月01日

小さな争い

4月1日(日)

先日から他校の児童(悪ガキ連中)が学校の傍をうろつき、何となく校内が騒がしくなっていた。外に出て彼らに声を掛けると、“何でもない”という答えが返ってくる。何が起こっているのかさっぱり分からずにいると、ある児童が健児たち(悪ガキ連中)は、3年生のクマールに文句があるのだと教えてくれた。文句だけではない、殴りに来たとか、叩きのめしに来たとか、いろいろな声が聞こえてきた。更にクマールだけではない、クマールの親友ジャナックも狙われている事が分かった。子ども同士の喧嘩とはいえ相手は10名近い。これは少し問題があるということで、ヤッギャ校長の出番となった。

クマールヤッギャ校長は悪ガキ連中、当事者のクマール、ジャナックを職員室へ呼び集め、お互いの意見を聞きはじめた。お互いに言い分があるようでなかなか譲らないが、傍で聞いた話では、事の発端は、まずヒマラヤ小学校1年生のS君が下校途中に(貰ったばかりの新しい)鉛筆を落とし、それを同じ1年生のD君が拾った。翌日、D君が自分の鉛筆を拾った事を知ったS君は、D君に鉛筆を返して貰いに行った。するとD君は使いかけの短い鉛筆を渡し、新品は自分の物にしてしまった。納得のいかないS君、早速、近所のお兄さん(悪ガキ連中)にその事を報告。悪ガキ連中はS君の鉛筆を取り返しに、D君の家へ大人数で押しかけた。

悪ガキ連中はD君に向かって、“Sに鉛筆を返すか、鉛筆代を払え”と恫喝。怖くなって泣いたD君。その様子を見た近所に暮らすクマールが、悪ガキ連中に暴言を吐いて噛み付いた。部外者のクマールが吐いた暴言に怒った悪ガキ連中は、仲間を増やしてクマール退治に乗り出したとの事だった。下校途中、何度も悪ガキ連中に追いかけられたクマール。終に1人で帰れなくなって、親友のジャナックに助けを求めジャナックも参戦した。その結果、問題は更に大きくなり、悪ガキ連中は仲間を増やし、学校でクマールを待ち伏せする戦術に出たようだ。この問題、D君が既にS君へ鉛筆を返したことで決着済みの筈だが、悪ガキ連中VSクマール、ジャナックという争いに大きく発展してしまった。

裁きクマールは小心者だが、優しく正義感は人一倍強い奴だ。幼い弟をとても大事にする姿からも彼の優しさがよく分かる。クマールにとっては近所の可愛い弟分であるD君が、悪ガキ達に一方的に攻められている様子は我慢ならなかったようだ。悪ガキ連中も小さな子が取られた鉛筆を取り返しに来たのだから、その点は理解できる。でも1年生を相手に大人数で押しかけるのは、やはりおかしい。

結局、この問題、ヤッギャ校長が上手く喧嘩両成敗で裁いて解決した。悪ガキ連中に対して、クマールやヒマラヤ小学校の児童の行動は学校長が全て責任を取る。今回、クマールが暴言を吐いた事は自分に責任があると、悪ガキ連中に謝罪した。もしクマール達が悪い事をした場合は自分に文章で報告すること。その上でちゃんと処分をする事を約束した。しかしクマールや他の児童を大人数で詰め寄ったり、殴ったり、蹴ったりすることは許されない。その場合は、学校間の問題として取り上げる!と、一喝した。またクマールには、Dを守ろうとした態度は立派だが、いかなる事があっても人に暴言を吐いてはいけない。いつも紳士でいなさい。もし紳士として振舞うことが出来ないなら、学校に来る必要はない!と、こちらも一喝。

結局、ヤッギャ校長の話にお互い納得した様で、その後は一緒にサッカーをして遊び始めた。子ども達の人間関係は壊れるのも早いが、修復もとても早い。さっきまでの争いが嘘のように、お互いに笑顔でボールを追いかける様子は、見ていて清清しいものがあった。

ヤッギャ校長子供に喧嘩はつきものだ。こうして喧嘩をしたり、仲直りをしたりしながら、子ども達はいろんな事を学んでいくのだろう。それにしてもヤッギャ校長が悪ガキたちを叱っている時の、クマールの嬉しそうな顔には思わず笑ってしまった。自分が叱られる番が来ると、急に反省した顔をする。クマールはなかなか賢い男だ。帰り際、クマールの肩を叩くと、『喧嘩したら、僕が勝っていたのに。。。。』と虚勢を張る姿もいかにもクマールらしかった。




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