2007年02月

2007年02月28日

雨水浄化装置

2月28日(水)

今日は民族グループによるゼネストが行なわれ、朝から全ての交通がストップし、商店や学校も閉まり日常生活に影響が出た。

この度、ヒマラヤ小学校の水不足を知った方から雨水を浄化する装置をご寄贈頂く事になり、装置設置の前に雨水を貯める樋を作る事になった。今日は技術者に来て貰い、樋の建設について打合せを行なう事になっていたため、どうしても学校へ行かなければならず、結局、歩いて学校へ向かった。

樋はカトマンズ盆地ではあまり馴染みがない。乾季の間、ほとんど雨が降らない事が理由だと思うが、雨季の間に降る大雨を有効利用できないのは勿体無いなぁと、何度か考えたことがあった。ヒマラヤ小学校の井戸水が枯れて1年近くになる。今のところ1日4回ほど、近所にあるモンゴル先生の家から水を汲んで持ってきている。今後の児童数の増加を考えると、水は大きな問題の一つだった。

昨年、同じように水不足の問題を知った支援団体から上水道設置のための支援金を頂いた。ただ上水道の設置には頂いた支援金だけでは足りず、まだ多くの費用が掛かり、完成までにはどうしても数年掛かってしまう。丁度そんな時、雨水浄化装置の寄贈のお話を頂いたのだ。

例え上水道が繋がっても水は毎日、供給されない。そんな事情を踏まえても雨水を上手く再利用することはとても意義があると思う。雨水を活用しながら上水道設置を目指し、将来的に両方を利用する事ができれば、水不足は解決できると考えている。

今日は樋建設のために細かい測量を行い、流水システムについても話し合った。建設作業はのんびりしたネパール人の性格もあり、時間通りに作業が進まない事が多い。それだけに気も疲れるが、完成した時の喜びはとても大きい。これから雨季に間に合うよう樋やタンクの設置を目指したい。

ヒマラヤ小学校を開校してからこれまで、本当に様々な問題に直面して来たが、その度にご理解いただく方が現れ、何とか乗り越える事が出来ている。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。学校の環境が整備されると共に、僕達も今まで以上に支援者の皆さんの気持ちに沿うよう、一生懸命頑張りたい。



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2007年02月27日

美容学校の生徒さんによる散髪。

2月27日(火)

散髪今日はヒマラヤ小学校で、美容学校の生徒さんによる女子児童の散髪が行なわれた。これまでシラミ退治の度に教職員が児童の散髪をしていたが、児童数が増え、なかなか全員の散髪をするのは難しい状況だった。以前から美容学校の生徒さんの実地教育を兼ねてヒマラヤ小学校の児童の髪を切れないか、ヤッギャ校長が模索していたが、丁度、ムヌ先生の友人の美容師の方の紹介で実地教育の話が纏まった。

8名の生徒さんと2名の指導教員が参加したが、やはり専門の勉強をしているだけあって動きが早い。僕達がやる時の何倍もの速さで次々と髪をカットしていく姿は見ていて爽快だった。何よりも僕達のように虎刈りにならないところが、やはり専門家の腕だなぁと実感した。

今日の活動、どの生徒さんも真剣な表情で散髪に取り組んでいる姿がとても印象的だった。お互いにとってメリットが多い活動なので、ぜひこれからも定期的に続けていきたいと思う。



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2007年02月26日

女子教育の充実

2月26日(月)

指紋ヒマラヤ小学校では開校以来、女子教育に力を入れている。女子教育に力を入れる一番の理由は、ネパールが抱える問題の多くが、女子教育の不備が起因となっているからだ。女子教育の充実は、ヤッギャ校長の長年の念願でもある。5年前に初めてヤッギャ校長と会った時、女子教育について熱烈に語っていた事を今も鮮明に覚えている。*写真は試験結果を受け取りに来たヒマラヤ小学校の保護者(母親)。文盲であるためサインが書けず指紋を押している。

僕自身、これまで癖地、癖村で行なってきた医療活動の中で、多くの子ども達が基本的な知識の不足から感染症に掛かり、亡くなる現状を見てきた。もし母親が基礎教育を身につけていれば、きっと子ども達を感染症から防ぐ事が出来ていたと思う。その事が教育支援活動を始める切欠になっただけに、僕自身も女子教育への思い入れは強い。

牛小屋先日、再び某村を訪ねたが、赤ん坊を牛小屋で寝かせている現状を目にした。母親と話をすると、出産すると夫が逃げ、一緒に暮らしていた夫の家族から家を追い出されてしまい、貧しくて住むところがないという。結局、窮状を見かねた親類から牛小屋を提供され、そのまま牛小屋で暮らしているそうだ。もし母親が教育を受けていれば、不衛生な牛小屋の中でも何らかの保健・衛生策が講じられる筈だ。結局、文盲の母親は何も出来ないまま、非常に不衛生な状況で赤ん坊と生活を続けている。

ヒマラヤ小学校はもう直ぐ、開校から3年間目を迎える。女子教育の充実は未だ道半ばではあるが、一歩ずつでも着実に芽が出始めている事を実感している。もちろん女子教育の普及と充実には長い年月が掛かり、ヒマラヤ小学校だけの活動では決して果たすことは出来ない。これまで女子教育の充実に力を入れれば入れるほど、様々な問題にも直面してきた。兎に角、一つずつ問題を解決しながら、一歩でも前進できるよう女子教育の普及に取り組んでいきたい。




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2007年02月22日

ラリタ先生の結婚式。

2月22日(木)

朝からクリニックで忙しかった。治療で使う通電機器の故障もあって、なかなか治療が進まず、患者さん達には迷惑を掛けてしまった。それでも、先日から治療を始めた喉頭がんの患者さんの痛みが軽減した事を知り、とても嬉しかった。少しでも効果が現れ、患者さんが喜ぶ姿を見ると、なんとも言えない遣り甲斐を感じる。これが鍼灸師という職業の良いところだと思う。

クリニックを終えた後、中央郵便局へ行き、支援者の皆さん宛にテレビ放映の報告とお礼のカードを送った。郵便局に勤める知人に手伝って貰い、一番早い便で送れる様にして貰った。何とか時間通りに届いて欲しい。

ラリタ夕方からプスパ学校のラリタ先生の結婚式に出席した。ラリタ先生はケナフ活動を担当している聡明な先生だ。プスパ学校が第2回こども環境ケナフ会議で最優秀発表賞を受賞できたのは、子ども達の努力と共に、ラリタ先生の素晴らしい指導によるものが大きかった。


ネパール式の結婚式が苦手で、普段は出席しない事の方が多いが、今日はラリタ先生の結婚式ということで、サダナ、優さんと共に出席した。少し緊張気味のラリタ先生だったが、家族や仲間に支えられ、とても幸せそうだった。結婚を機にプスパ学校を去るそうだが、これからも友人として、新しい家族と共にお付き合いしたいと願っている。



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2007年02月21日

蝋燭の灯火

2月21日(水)

夕方からブンガマティ村に暮らす里親教育基金の奨学生を集めて、学校や家庭生活の事について話をした。本来ならば各家庭を訪ね、保護者も交えてゆっくりと話をしたいところだが、雑用に追われている現状では各家庭を回る事は難しいが、どんな形であれ、会って話をすることが一番大切だと思う。

一緒にお菓子を食べながら、子ども達と他愛のない話で盛り上がった。先日のシヴァラットリー祭りの事、まもなく迎えるホーリー祭りの事、学校生活のこと、家族のこと、何もないごく普通の会話から、子ども達の成長や変化を垣間見ることが出来る。どの子も問題なく、元気に学校生活を送っている様子で安心した。

灯火その後、夕方からブンガマティ村の寺子屋を訪ねた。ネパールでは現在、一日6時間〜7時間の計画停電が行なわれている。寺子屋を訪ねた時は生憎、停電の最中だったが、子ども達は蝋燭の灯火の下で一生懸命、勉強を続けていた。外の寒さが嘘のように、教室内は子ども達の学びの熱気で満たされていた。子ども達をここまで夢中にさせるものは一体何なのだろう。覚えたばかりの字を必死になって書く子ども達を見ながら、いろいろなことを考えさせられた。


蝋燭

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2007年02月19日

特別治療

2月19日(月)

今日は糖尿病と癌の患者さんを数名集めて特別治療を行なった。毎回、クリニックは慌しいため、一人ひとりの患者さんへ時間を掛けて治療を行なう事が難しい。特に慢性病や癌などの難病には出来る限り時間を掛けてゆっくり治療を施す事が好ましいため、僕にとっては大きな課題の一つだった。

いろいろと考えた末、試験的に週に1回程度、少人数の慢性および難病疾患の患者さんに対し、時間を掛けて治療する日を設ける事にした。今日は『民主主義の日』で祭日だった事もあり、特別治療日には最適の日となった。1人に対し平均2時間、自分としても満足のいく治療が出来たように思う。今後も試行錯誤を繰り返しながら、より良い活動を目指していきたい。



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2007年02月18日

慌しい治療活動

2月18日(日)

インドラスターン朝からクリニックで治療。今日も大勢の患者さんで息をつく暇もないほど忙しかった。今日は先日1月27日(土)に参加したインドラスターンでの医療キャンプで治療した患者さんが、数名の村人を連れてクリニックを訪れた。クリニックは既に他の患者さんで混み合っていたため、結局、インドラスターンから来た人達を何時間も待たせてしまう事になった。*写真は1月27日にインドラスターンで開催された医療キャンプの様子。

無料という事もあって毎回、大勢の患者さんがクリニックへ来てくれるのだが、なかなかこちらの思い通りにならないのが現状だ。一応、予約時間を作り時間通りに来てくださいと、呼びかけてはいるものの、患者さんの多くはそれぞれの都合に合わせて来るため、必然と混み合ってしまい、午後に予約を入れていた患者さんに迷惑を掛けてしまう事が多い。今日、インドラスターンから来た患者さんの中にも苦情を申し出る人が何人かいた。何とか事情を説明して分かって貰う事が出来たが、こうした治療以外の事で苦労することが日常的に多い。いろんな患者さんの気持ちや思いを出来る限り受け入れることが治療を施す側の責務だと思うが、時間だけでも守って貰えれば、もう少し良い治療活動が出来ると思うと、なんともやりきれないものがある。でも、ネパールではそこが一番難しい事は周知の事実でもある。

今日は朝から晩まで治療に追われた一日だった。



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2007年02月17日

教訓を活かす。

2月17日(土)

午前中、運動会への参加と協力のお礼のため、チョラ・チョリの皆さんを訪ねた。チョラ・チョリの皆さんにはネパール出発前の慌しい時間にもかかわらず、突然の訪問を快くお迎えいただいた。何時もながらチョラ・チョリの皆さんとのお話は時間を忘れるほど楽しく有意義だった。特にこれまでの経験や知識を元に頂く貴重なアドバイスはヒマラヤ小学校の様々な活動にとって不可欠なものとなっている。僕も含め学校運営に係わる多くの人間が教育者ではない現状からも、チョラ・チョリの皆さんのご指導は本当にありがたく、僕自身、様々なお話を伺う度に“教育の奥深さと可能性”を実感している。今日も貴重なアドバイスを頂いたので、早速、来週からヒマラヤ小学校の活動の中で取り入れてみたいと思う。

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ネパールで活動していると、活動の中や日常生活の中で色々な事が起こる。これまで嬉しい事も沢山あったが、その反面、辛い事はその何倍もあったように思う。自分自身で解決できるもの、大勢の人の協力を受けて初めて解決出来る物など、大小、本当に様々な問題が降りかかってくる。文化、習慣の異なる国での活動だから仕方ないといえばそれまでだが、自分自身の甘さと責任感の不足によって、これまでの受けてきた様々な教訓が活かされず、同じような問題に繰り返し直面しているように思う。

今日は、昨日、突然起きた問題について自分なりに考えた。幸いにも問題自体は大事に至らなかったが、下手をすれば子ども達の夢を打ち砕く事態にもなりかねなかっただけに、僕を含め全員が猛省をしなければならない。今日の反省を、どう明日に繋げていくか、結局は自分自身の考え方ひとつだと思う。自然と溜息も漏れてしまうが、やはり明日に向かって頑張っていくしかない。


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2007年02月15日

運動会

2月15日(木)

今日は天候こそ回復したものの少数民族グループによるゼネストが行なわれ、交通機関が止まり、各地でデモ隊と警官隊との間で小競り合いが起こるなど、早朝から騒ぎが続いていた。そんな事もあってヒマラヤ小学校で予定していた運動会も開催が危ぶまれた。

前日予定していた運動会が今日に延期となったため、昨日に続いて今日もクリニックを休む事にした。クリニックの休みを患者さんに告げるため、早朝、裏道を選んでクリニックへ行った。ほとんどの患者さんの家には電話がないため、こんな時は実際にクリニックまで行って連絡をしなければならない。何時間も掛けて歩いて来た患者さんには迷惑を掛けてしまったが、皆さん、快く理解をしてくれた。

その後、大急ぎで学校へ向かった。途中、リングロード沿いでデモ隊と警官隊の小競り合いが続いていたが、何とか裏道を通って抜けることが出来、学校へ到着することが出来た。長年、ネパールで暮らしていると、こんな時の対処法が自然と身に付くのかもしれない。

綱引き開催が危ぶまれていた運動会だが、一部の児童が欠席していたものの、何とか開催することが出来た。騒ぎの中を“チョラ・チョリ”の皆さんにも主賓としてお越しいただき、運動会は予想以上に大きく盛り上がった。子ども達が溌剌とした表情で、チームメイトと協力しながら競技に挑む姿から、子ども達の小さな成長を見ることが出来た。


飴探し振り返ると、『いつか運動会を開催したい。』という開校当事からの願いが、大勢の方々の協力の下に実現し、ヒマラヤ小学校の歴史に大きな一歩を刻むことが出来たのだ。悪天候やゼネストといった諸問題を乗り越え、企画・立案者のTさんを中心に教職員が一丸となって開催できた事に大きな意義を感じる。ぜひ今後も恒例行事として運動会を盛り上げていきたいと思う。

今回の運動会開催にあたっては、企画・立案者のTさんの運動会にかける情熱が成功の大きな力になりました。またチョラ・チョリの皆様にもお忙しい中、適切で貴重なアドバイスを頂きました。その他にも大勢の方々のご協力を頂きました事、この場をお借りしてお礼申し上げます。






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2007年02月14日

運動会延期

2月14日(水)

朝から雨が降り続いたため、予定していた運動会は延期となってしまった。午後からは雪まで降る生憎の天候。運動会を楽しみにしていた子ども達にとっては残念な天候となってしまった。

カトマンズでの降雪は実に62年ぶりの記録とのこと。当初、某ラジオ局が『カトマンズの降雪は400年ぶり』と騒いでいたが、後になって62年ぶりに変更した。この辺り、いかにもネパール的で暢気だなぁと思う。遠くヒマラヤに雪を見ることはあっても、実際に触れることはほとんどないカトマンズ周辺の人々にとっては、本当に嬉しい“雪”だったようだ。とりわけ子ども達は大喜び。近所の子ども達は少しだけ積もった雪を求めて、寒い中を大はしゃぎしていた。ヒマラヤ小学校のモンゴル先生も雪がよっぽど嬉しかったようで、『ワタシハユキトアソビマシタ。タノシカッタ』と、わざわざ電話を掛けてきて雪で遊んだ事を報告してくれた。62年ぶりの珍事は1日7時間の停電や生活物資の不足など社会生活に不安を抱えたカトマンズの人々の心を、和ませるものとなった。

今日は運動会のためクリニックや往診を休みにしていたので、結果的に久しぶりの休日となった。寒かった事やガソリンが入手困難な事もあり、結局、家に篭り溜まっていた手紙の翻訳作業をして時間を過ごした。途中、停電などもあり、思ったほど作業は進まなかったが、ヒマラヤ小学校の事や自立支援活動そして医療活動について、ゆっくり考えることが出来、貴重な時間となった。

明日は天気になって欲しい。


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2007年02月13日

運動会前日

2月13日(火)

運動会準備運動会をいよいよ明日に控え、ヒマラヤ小学校で開催の最終準備が行なわれた。ライン引きなどの準備にも積極的に参加しているところからも、子ども達が運動会を心待ちにしている様子が分かる。



学校へ着くや否や、ある赤組の児童が寄ってきて、『昨日、赤組が勝ったよ!!』と僕に報告してきた。『よかったね。強いな。』などと言って、児童に向かって拍手をしていると、それを傍で見聞きしていた青組の児童が『一昨日は青が勝ったんだ!!』と、むきになって言ってきた。勝負に対する意識があると運動会も俄然、楽しくなってくる。

運動会1勝負も大事だが、子ども達にはチームメイトと協力することの大切さや、勝った時、相手に対する礼儀など、生きていく中で大切な事を沢山学んで欲しいと願っている。今回の運動会を通して、子ども達一人ひとりの成長が見られる事を楽しみにしている。




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2007年02月12日

水彩画に挑戦。

2月12日(月)

この度、ご支援を頂いている方のご好意により、ヒマラヤ小学校の子ども達の描いた絵が、北海道内の美術館で展示される事になった思いがけない大きなチャンスに教職員一同、歓喜の声を上げている。子ども達の描いた絵が日本国内で展示されるなど、これまで夢にも思わなかった。ぜひ美術館での展示を通して、ヒマラヤ小学校の子ども達の頑張りをひとりで多くの方に知って頂きたいと願っている。

貴重な機会を頂いたものの、子ども達はこれまで絵を学んだ事もなく、絵が大好きな子ども達とはいえ、水彩画となるとほとんど経験がないため当初、完成させるのは難しいのではないかとの不安があった。兎に角、まずはやってみよう、という事になり、3年生を中心に絵を描くことになった。

下絵の段階では、ネパールでよく見かける“小さな家が点在する村の風景”の絵が多かった。また、普段は紙切れに絵を描いている子ども達にとって、大きな画用紙で絵を描くことは少し難しいようだった。

今回は美術館での展示という、大きな機会を頂いた事もあり、子ども達に何か普段とは異なる絵に挑戦して欲しいとの願いもあっため、何度も別の絵や写真を見せるなどして、先生達が辛抱強く指導を行なった。そんな事もあり、子ども達は少しずつ何をどのように描けば良いか分かり始めたようだった。

ナビン君それでも一番の問題は、やはり色塗りだった。当初、絵の具の色をそのまま使い、どの子もベタ塗りのような状態が多かった。それでもモンゴル先生の次男で絵を描くことが大好きなビベック君が熱心に子ども達を指導してくれた事で、時間こそかかったものの、思いがけない名画も誕生することになった。



ナビン今回の活動では、2年生のナビン君の隠れた才能を発見することが出来た。特に色塗りでは色を混ぜることや水の使い方を覚え、とても初めてとは思えない素晴らしい絵を完成させた。キャンバスに向かうナビン君の真剣な表情を見られた事は、今回の大きな収穫だったように思う。やはり、いろいろな事に挑戦することで、子ども達それぞれの個性や才能を見つけることが出来るのだと実感した。

今後、子ども達の絵は日本へ送られ、展示されることになる。展示の詳しい日程が決まり次第、ブログの中でもお知らせしたい。ぜひ1人でも多くの方に足を運んで頂ければと思う。





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2007年02月09日

募金活動

2月9日(金)

昨年の秋からクラーク記念国際高校の各キャンパスでヒマラヤ小学校支援の募金活動が開催され、大勢の方々の暖かいご協力の下、予想を超える大きな支援が集まった。今回、クラーク記念国際高校全体としてはヒマラヤ小学校の開校以来、初めての募金活動だった。建設に関わった生徒さんや交流活動に参加した生徒さんは既に卒業しているため、果たしてどれだけ募金活動が盛り上がるのか一抹の不安もあった。それだけに今回の募金活動の大きな成果は本当に嬉しい。

4年前に開催された学校建設の募金活動では僕自身、クラーク生と共に街頭での募金活動に参加させていただく機会に恵まれ、支援して下った方の気持ちを直に感じることが出来た。今回は残念ながらネパールから応援するだけの形となってしまったが、何百人、何千人もの人達の思いを、僕として運営委員会はじめ教職員そして子ども達へしっかり伝えていきたいと思う。

今回の支援金から来年度予算の約4分の3を補うことが出来る。しかし運営面では未だ課題が多い。今回の大きな支援は本当にありがたいが、ネパール側として、来年、再来年も継続して貰えるだろうという甘い考えは決して持つべきでないと思う。特にネパールのようなのんびりした国では、何事も楽観視する人が多い。ネパールの良いところではあるが、学校運営は子ども達の未来に関わることだけに緊張感を持った活動が不可欠だ。2年後、3年後も無償教育を継続するために、ネパール側としてしっかりとした運営基盤を構築するため、ケナフ活動も含め、今まで以上に検討を重ねていきたい。


今回の募金活動にご参加いただいた皆様、また募金活動にご協力いただきましたクラーク記念国際高校の教職員の皆様、生徒有志の皆さんへ心から感謝申し上げます。

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2007年02月07日

運動会

2月7日(水)

運動会来週、ヒマラヤ小学校で運動会が予定されている。運動会の開催は開校以来の念願であったが、これまで他の活動に追われなかなか開催に漕ぎ着けるまでには至っていなかった。今回、昨年から国際交流・ボランティア活動に参加している大学生のTさんが運動会を企画。若さ溢れる行動力と情熱で、一気に運動会が実現する運びとなった。

今日は最終的な運動会の練習が行なわれたが、1ヶ月余りの練習で子ども達の纏まりもすっかり良くなっていた。今回の運動会では大学生の斬新なアイデアを最大限活かして貰おうと考え、僕自身、準備には一切参加していない。一体、どんな運動会になるのか本当に楽しみだ。

ロジナ子ども達が心から楽しめ、そして毎年の開催を心待ちにできるような夢のある運動会を期待している。企画・実行者のTさんに心からエールを送りたい。




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2007年02月05日

モチベーション

2月5日(月)

早朝からクリニックで治療。今日も大勢の患者さんで息をつく暇もないほど忙しかった。今日はかなり遠方の村からも患者さんが来ていた。クリニックの存在は無料診療ということもあり、開設以来、人伝に村々へ広がっているようだ。時には何時間もかけて歩いて治療にやってくるお年寄りもいるが、そんな時は何時も以上に“何とかしたい”という気持ちが強くなる。とかく同じ作業の繰り返しになりがちな治療活動だが、どれだけ自分の意識やモチベーションを上げ、維持できるかが、治療結果にも大きく反映されるような気がする。慌しい中でどれだけモチベーションを高められるか、今の自分にとって一番の課題かもしれない。

毎日の治療活動の中で最近、特に興味を持って取り組んでいるのが、糖尿病と高血圧の治療だ。元々、癌をはじめ痛みを持つ患者さんへの鎮痛治療が中心だったが、近年、糖尿病や高血圧に苦しむ患者さんも増えている。鍼治療には血糖値を下げたり、糖尿病性の神経疾患に対する効果が期待できる。また血圧を調整する作用もあるので、もっと勉強を重ねながら良い治療成果を上げていきたいと考えている。明日の治療も頑張りたい!!



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2007年02月04日

感謝

2月4日(日)

テレビ局のスタッフの皆さんを空港へ見送りに行った。実は今回、ネパールで続けている医療活動を取材いただいた。初めての事でスタッフの皆さんには迷惑ばかり掛けてしまったが、全てを受け入れていただき、安心して臨むことが出来た。スタッフの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいだ。

今回の撮影に関しては、当初いろんな不安もあり、お引き受けするまでには時間が掛かった。何よりも、全ての活動が未だ勉強途中である自分が取材を引き受けてよいのか、兎に角、不安が大きかった。それでも、ご依頼をいただいたプロデューサーのMさんの番組に掛ける熱意やネパールへの思いに心動かされ、僕のささやかな活動を通して、ネパールの医療の現状を少しでもお伝えできる機会になればと思った。

今回、取材を終えて振り返ってみると、本当にお引き受けしてよかったなぁと感じている。スタッフの皆さんが不便な撮影環境の中で重い機材を持ち、忍耐強く仕事に取り組む姿勢は、僕にとって大きな学びの収穫となった。そして何よりも、スタッフの皆さんにネパールの事を好きになって頂いた事が嬉しかった。

後日、全国で放映される予定なので、放送日などが正式に決まればブログの中でもお伝えしたいと思う。ぜひ1人でも多くの方に番組を観ていただき、ネパールへの理解が深まる切欠になればと願っている。

追:
今回の撮影には日本側はじめネパール側でも大勢の人々の協力を受けた。これまでの活動を通して知り合った人々の暖かい協力に心から感謝したい。



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2007年02月03日

念願の医療キャンプ。

2月3日(土)

ダヌワール村で念願の医療キャンプを開催した。生憎の悪天候の中、早朝から山の上の村を目指して歩いた。今回のキャンプはテレビ局の取材を頂くこととなり、スタッフの皆さんにも慣れない山道を同行していただいた。

ネパールの山は深い。直線では僅か数キロの道のりも、小高い山を何度も超えながら一歩ずつ進んで行かなければならない。時には道が切断されていたり、自然の障害物があったりと、所々で自然の厳しさを感じながらも、小高い山の山頂から眺めた一面に広がる菜の花畑には、自然と疲れも和らいだ。

1月25日に最終的な準備のためにこの村を訪ねたが、その道中の小さな村で肝臓の病気を患った独居老人に会った。その村にも医療機関がなく、一番近くの医療機関まで行くには山道を数時間歩かなければならず、病気の老人には大変困難だ。また仮に医療機関まで行けたとしても、貧しい老人には薬を買うだけの経済的な力があるとは思えなかった。今回の村の医療キャンプでは、この老人を籠で作った担架で運び、先生に診て頂こうと考えていた。

今日、その老人の家を訪ねたが、老人は既に亡くなっていた。もう少し医療キャンプを早く開催で来ていたら、もしかすると老人を助けることが出来ていたかもしれない。そう思うと、胸が詰ってしまった。今でもネパールの多くの村では、同じような現状を抱えている。僕達が出来ることは一体何なのか、改めて考えさせられる出来事だった。

キャンプ歩き始めて数時間、ようやく村に到着した。先鋒隊として既に到着していた医師団と合流し、医療キャンプが始まった。今日の医療キャンプには開催を心待ちにしていた村人をはじめ、他の村からも大勢の患者が集まった。医療を求める村の人々の姿にはいつも驚かされる。子ども達も大勢集まり、普段、受けることが出来ない診察と治療(投薬)を受けた。



診察結局、慌しいまま医療キャンプが終わったが、キャンプの後、村の人々から感謝の声を聞いたときは、とても嬉しかった。今回、1日だけの短い医療キャンプだったが、医師や医療関係者の協力の下、僻村でキャンプを開催できた意義は大きいと思う。僕にとっても5年越しの念願であったこの村での医療キャンプ。今回の実施を機に、少しでも村の医療に貢献できればと考えている。



ドコ
(籠の担架で運ばれて来たお年寄り。)




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