2007年01月

2007年01月17日

医療キャンプ

1月17日(水)

ダヌワール子供来月始めに某村で医療キャンプを開催することが決まった。この村はこのブログの中でも度々、紹介してきた貧困の村だ。数年前に初めてこの村を訪ねて以来、いつかこの村で医療キャンプを開催できればと願って来たが、ついにその念願が叶うこととなった。



今回のキャンプはヒマラヤ青少年育英会のヒマラヤ医療基金を元に、所属しているネパール癌協会の協力を得て開催する予定だ。一過性の大規模な医療キャンプではなく、次に繋がる意義あるキャンプにしたいと考えている。

開催の提案者として、現地での開催準備をはじめ、薬品の購入や参加する医師らとの打合せなどに毎日忙殺されているが、苦労よりも喜びの方が大きいのはこの村の人々への思い入れが強いからかもしれない。先週、準備のために村を訪ねたが、村人からは医療キャンプを心待ちにしている声が聞こえてきた。村の人々の期待に応えるためにも全力で頑張りたい。

肝炎2村を回りながら村人の健康状態を簡単に調査したが、村人の多くが何かしらの健康問題を抱えながらも、貧困のために放置している現状だった。特に子供達の衛生状況は悪く、傷口を消毒しないまま放置していたり、耳から膿が垂れ流れていたりするケースも見られた。また、どの子供達からもシラミが見つかったので、医療キャンプの日には子供達を洗って、シラミ退治も開催したいと思う。




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2007年01月16日

全力

1月16日(火)

早朝からネパール癌協会のクリニックで治療。朝から大勢の患者さんが集まり忙しかった。今日から新規に喉頭がん、骨肉腫、そして関節リュウマチの患者さんの治療が始まった。

ネパールで治療活動を始めて、もう直ぐ9年目を迎える。僕のような未熟な鍼灸師が言うのもおこがましいが、治療というのは施術者と患者さんの双方が、全力で病気に挑むことが出来れば、必然と良い結果が得られるのではないかと思う。双方が病気に対して全力でぶつかる事で、必ず運も味方してくれるものだと信じている。

時々、どんな事でも我慢するから兎に角、病気を治してくれ、と言ってくる患者さんがいる。そんな患者さんは、雨が降ろうが、何が起ころうが、まず予約した時間の通りにクリニックへ来てくれ、治療後の経過を事細かく報告してくれる事が多い。患者さんの“本気”は必ず施術者に伝わるものだ。本気で取り組んでくれる患者さんの治療には、何時も以上に力が入るのが施術者の本音だと思う。

これまでの治療活動の中で本当に数える程度だが、良くなった人がいる。お互いに全力で病気に挑んできたという実感があると、回復した時、共に喜びを強く分かち合えることができる。そんな時は鍼灸師になって良かったなぁと思える時でもある。

今日の新規患者さんの中にも上記のような“本気で挑む”患者さんがいた。こんな患者さんに会うと俄然、やる気も出てくる。未熟な知識と技術ではあるが、全力で取り組むことで患者さんへ”運”を導きたい。

ネパールがん協会会長のアドバイスを受け、夕方から写真家の門谷優さんや患者さんに手伝って貰い、クリニックの引越しを行なった。これまでベッド2台の狭い部屋で治療を行なってきたが、部屋を移った事でベッドが4台になり、患者さんの待ち時間を大分減らすことが出来そうだ。

引越しを手伝ってくれた患者さんが、重い荷物を担ぐ僕と優さんを見て、日本人は何でも自分達で遣るから偉い、と誉めてくれた。何でもないことだが、これも“自分のことは自分でする”という日本の教育のお陰だと思う。ふとした事から、日本の教育の良さを垣間見た気がした。



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2007年01月15日

クマリ、メヌカ姉妹

1月15日(月)

メヌカ先日、ヤッギャ校長とブンガマティ村の中を歩いていると、広場で遊んでいた幼稚園クラス(ナーサリー)のクマリとメヌカの姉妹に会った。人懐っこい笑顔で駆け寄って来た姉妹と話し込んでいると、姉妹の母親が現れ、話があるから家まで来て欲しいと、声を掛けてきた。突然の事で何の事だか分からないまま、ヤッギャ校長と姉妹の家を訪ねて見る事にした。

クマリとメヌカ姉妹は今年度から入学した新入生だ。2歳違いの姉妹は同じナーサリークラスで仲良く学んでいる。歓迎会等では姉妹が揃ってダンスを披露するなど、ヒマラヤ小学校の中でも人気者の姉妹だ。

昨年の11月頃、丁度ティハール(ディパワリ)祭りが開けた頃から、姉妹は突然、学校に姿を見せなくなった。心配になってヤッギャ校長らと共に何度か姉妹が住んでいた村の借家を訪ねてみたが、連絡がつかない状態が続いていた。

村の人の話によると、姉妹の両親が村で始めた自家製の酒を売る店が上手くいかず、借金をした父親が蒸発、母親が仕事を求め2人の幼い娘を連れて隣の村へ移住したそうだ。店が上手くいかなかった理由のひとつは、商売用の酒を酒好きの父親が飲んでしまい、まったく商売にならなかったとのこと。まさに落語の“花見酒”の世界。

隣の村でも結局、文盲の母親だけでは上手くいかなかったようで、昨年の暮れ頃、再びブンガマティ村に戻ってきた。本来ならば1ヶ月以上の無断不登校は退学処分になるが、姉妹がまだナーサリークラスであることなどを考慮して、運営委員会が再登校を認めることになった。何はともあれ、人気者の姉妹が戻ってきた事は、僕らも嬉しかった。

母親の呼びかけに応じて、ヤッギャ校長らと姉妹の家を訪ねてみると、母親が突然、貧しくて暮らしていけないから2人の子供達を貰ってくれと、言い出した。理解に苦しみながら母親の話を聞いていると、仕事もなく、また助けてくれるような親類もいない現状では、とても2人の娘を養っていけないから、娘を誰かに上げたいとのことだった。嘆くように窮状を訴える母親の傍で、無邪気に遊んでいる2人の姉妹が痛々しかった。

その後、母親の話をじっと聞いていたヤッギャ校長が『一生懸命働きなさい。仕事は必ず探すから、母親としての責任を果たしなさい。』と、強い口調で母親を叱責した。子供を簡単に手放そうとする母親の無責任さに、ヤッギャ校長なりに怒りを覚えたのだろう。文盲の母親が、抱える窮状に希望を失い、破れかぶれになる気持ちも分からない訳ではないが、同じような窮状を抱えながらも一生懸命生きている母親達が大勢いることを、ぜひ知ってほしい。

結局、母親はヤッギャ校長の友人が営むカーペット工場で仕事をする事になった。どんな窮状であれ、一生懸命頑張ることで周囲からの理解が得られ、道が開けてくるのではないだろうか。大変な現状だからこそ、ぜひ母親には頑張って欲しい。

貧しさの影響を受けるのは、常に弱い立場の子供達であることを改めて痛感した一日だった。


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2007年01月14日

自立への道

1月14日(日)

昨年の春から始めたヒマラヤ小学校のスポンサーシップ制度は、これまで大勢の方の暖かいご理解をいただき、既に40名を超える児童の支援が集まっている。また昨年の秋頃にクラーク記念国際高校の文化祭等で行なわれたヒマラヤ小学校の募金活動でも、予想を超える善意が集まったようだ。その他にも個人レベルで大勢の方から支援のお申し出をいただくなど、支援の輪は着実に広がっている。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

ヒマラヤ小学校の運営は2004年の開校当初から難航海が続いている。資金面で何度も疲弊した状態が続き、このままでは廃校になるのではと、希望を失いかけた事も何度かあった。それでも1人また1人と、少しずつご理解いただく方が増え、これまで何とか学校運営を継続してきた。まだまだ財政面は立て直しの最中だが、来年度はこれまでよりも少し早く、運営の見通しがつきそうな状況だ。

ただ現状として、日本をはじめとする海外からの支援なしでは運営できない状況にある事は変わらない。スポンサーシップ制度も現時点では最善策だと思うが、将来的な事を考えると弥縫策でしかない。やはり何としてでも自立運営の道を目指すことが、ヒマラヤ小学校の長期運営には欠かせないことだと思う。

自立運営は今日、明日に達成できるような簡単な話でない。これからも様々な困難を乗り越えて行かなくてはならないだろう。学校運営に関わる1人として、一歩でも自立運営の目標に近づけるよう全力で頑張っていきたいと思う。


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2007年01月04日

お詫びと御報せ

1月4日から10日間ほど留守に致しますので、メイルへの対応が出来ません。ご迷惑をおかけ致しますこと、お詫び申し上げます。

                     吉岡 大祐


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2007年01月02日

ヒマラヤ青少年育英会ホームページについて。

お詫び

数日前よりヒマラヤ青少年育英会ホームページ(www.ikueikai.org)にエラーが出ております。利用しています米国のサーバーの説明によりますと、台湾南部に発生したマグニチュード5〜6の地震が、太平洋/アジア海底ケーブルへ障害をもたらしたためネットワーク内で渋滞が継続しているとの事です。暫くの間、ご迷惑をおかけいたします事、お詫び申し上げます。復旧次第、更新いたします。



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2007年01月01日

謹賀新年

2007年1月1日(月)

謹んで新春のご祝詞を申し上げます。新年、おめでとうございます。
昨年中は格別のご厚情をいただき、心よりお礼申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。皆様にとりまして2007年が光輝あふれる年でありますことをお祈り申し上げます。


ヒマラヤ青少年育英会 吉岡 大祐



早朝、2件の往診を済ませた後、昨日ネパールへ到着したばかりの友人を訪ねた。久しぶりの再会だったが、元気そうで何よりだった。

チョコその後、村を訪ねる予定が延期となったため、ヒマラヤ小学校を訪ね、先日、支援者から頂いたチョコレートを子供達に配った。新年早々、子供達には嬉しいプレゼント。チョコレートを贈ってくださった方が子供達にとって馴染み深い方だった事もあり、子供達は余計嬉しかったようだ。支援者の方との時間を懐かしく思ったのか、チョコレートを食べながら踊り出す子も大勢いた。


試験も終わり、本来ならばヒマラヤ小学校は冬休みに入っている頃だが、今週の木曜日に試験の成績発表があることや、その他にも日曜日にゲストの方をお迎えするために、少し後にずらして、来週の月曜日から冬休みに入る予定だ。あまり休みが長いと親が子供を働かせてしまい、学校を辞めてしまう事が多々あるので、今回も冬休みは2週間だけになった。

ダンス特に授業を進める必要もないので、子供達は復習授業を受けたり、ダンスや音楽の勉強をしたり、また校庭でドッジボールをしたりして、楽しく過ごしている。今日はムナ先生によるダンスの授業が行なわれ、子供達6名が新しいダンスの練習に励んでいた。メンバーの中、1人はこれまでダンスとは無縁の子だったので、見ていてとても新鮮だった。子供達がいろんな事に挑戦する姿は本当に気持ちがいい。

慌しいまま迎えた新年だが、ぜひ一つでも多くの夢が実現できるよう、誠実に一生懸命頑張りたいと思う。





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