2006年06月

2006年06月21日

退学率

6月21日(水)

ヤシュマヤシュマ幼稚園でケナフの種蒔きを行った。幼稚園での種蒔きは今回が初めてだったが、子供達が嬉しそうに種蒔きをする姿に大きな手応えを感じる事が出来た。

先日から調子の悪かったバイクがついに壊れてしまい、修理へ出すことになった。もっと早く修理に出しておけば良かったものの、このところ方々を訪ねる雑用が多くて、バイクを重宝するあまり修理が遅れてしまった。バイク屋さんにも溜息をつかれてしまう程の状態で全治2日半とのこと。酷使の代償はあまりにも大きい。

先日から(ヒマラヤ小学校の)ある児童の姿を見かけなくなったのでヤッギャ校長に尋ねてみると、どうも学校を辞めてしまったようだ、との返事が返ってきた。昨年、貧困による窮状からか、母親が娘2人をおいたまま家を飛び出し、幼い姉妹達は村にある食堂で住み込み奉公をしながら学校へ通っていた。父親は一応いるが出稼ぎ労働者で、家にはほとんど帰ってこない状態だ。

幼い妹の話では、先日、母親が突然下宿先に現れ、姉を連れて何処かへ行ったそうだ。母親は食堂の主人に2〜3日したら帰ってくると告げたらしい。それから既に1週間以上が経過している。もう無理かもしれない。

ネパールでは退学率の高さが大きな問題となっている。貧困家庭の子供達には労働や人身売買など、様々な問題が降りかかってくる。それらの問題が起因となり小学校を退学する者が後を絶たない現状だ。しかし、必ずしも貧困だけがその原因ではないと思う。

貧しい子供達が通う公立学校では、子供達が学校を欠席しても、何にもしない、何も思わない教員を多く見かける。そんな教員の無責任、無自覚によって、子供達を学校へ繋ぎ止められなかったケースも多々あるのではないだろうか。異常な退学率の高さは、教員の努力不足も大いに関係していると思う。

ヒマラヤ小学校では子供達が3日以上無断で欠席した場合、担当教員が児童の家を訪ねる事にしている。退学の危機に直面した子供達を励まし、親を繰り返し説得する事で、これまで何人かの子供達を学校に繋ぎとめる事が出来た。もちろんその努力が報われない事だってある。しかし、そうした努力を積み重ねる事が、結果的に教育や学校に対する理解を深める事になるのだと思う。

時々、公立校の教師の意識を変える事は不可能だ、という声を耳にすることがあるが、今はそんな消極姿勢を一擲する事が大事な時期ではないかと思う。


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2006年06月20日

ケナフを使った情操教育

6月20日(火)

ピースケナフの栽培・観察活動を続けているピースガーデン学校から、子供達が観察ノートを使い切ってしまったので追加のノートが欲しいとの連絡があった。

観察は通常、週2回という事になっている。子供達に渡した観察ノートは、3ヶ月くらいは十分に使えるように作成してあるので、おかしいなぁと思いつつ、早く使い切ってしまった理由を尋ねて見ると、なんでも子供達はケナフの観察が面白くて週2回では我慢できず、毎日、観察記録をつけてしまったらしい。なんとも嬉しい話だ。観察に夢中になっている子供達の様子が頭に浮かんだ。

ヒマラヤケナフは天然資源として様々な物の原料になる事や、二酸化炭素を大量に吸収する環境植物としても知られている。しかし、それ以上に価値があるのは教育分野ではないだろうか。種蒔き〜栽培・観察〜収穫〜モノつくり、という体系的な体験学習を通して、子供達の情操が養われていく様子がひしひしと伝わってくる。

子供達の将来の自立を目指して続けているケナフ活動。貧困から抜け出すために経済的な自立は欠かせない。しかし自立ばかりを目指していると、とかく大事なことを見失ってしまいがちだ。活動も3年目に入り、そろそろ次のステップであるパルプ工場建設を目指す時期になってきた。パルプ工場の建設はケナフの有効活用のためには不可欠だが、やはり大事な教育分野での活用、とりわけ未来を担う子供達への情操教育をしっかりと根付かせていかなければならない。

ピースガーデン学校の子供達の熱意に、活動への気持ちを新たにした。







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2006年06月18日

学校自立の夢

6月18日(日)

ビョーマケナフの種を蒔きにチャパガウン村のムレパニ地区にあるビョーマ小学校を訪問した。ビョーマ小学校を訪ねたのは今回が2回目となる。人里はなれたタマン族の小さな集落にあるビョーマ小学校には、元気いっぱいの愛くるしい子供達が学んでいる。普段、集落以外の人々との接触がないためか、僕達の訪問をとても喜んでくれた。

学校ビョーマ小学校もヒマラヤ小学校と同じく海外からの支援で出来た学校だ。運営状況はヒマラヤ小学校と同じく、いやそれ以上に厳しいようだ。学校運営委会の理事に現状を尋ねてみると、現在4年生まで開校しているが、2名の教員で4クラスを教えているという。今日は偶然1人の教員が休んでいたため、若い男性教員が1人で4つのクラスを掛け持ちで教えていた。これではとても学校として成り立っているとは言い難い。教員への給与支払いも2ヶ月滞っているという。学校建設を支援したグループに運営面の支援をお願いしても、運営に対する支援は出来ないとの返事が返ってきたらしい。

ネパールでは様々な分野で支援活動が行われているが、残念ながら一部を除いて大きな成果を上げていないのが実情だと思う。これには様々な原因が考えられるが、地元の実情を理解しないまま支援する側の一方的な判断の元に、支援する側の価値観だけで支援を進めること等が原因だと言われている。

特に教育支援分野では学校校舎だけを造り、その後の運営の一切を地元に任せてしまう事が多く、せっかくの学校が廃校となるケースが後を絶たない。もちろん支援を受ける側のネパール側にも『やって貰えるだろう、やって貰って当たり前』という甘えも何処かにあるのだと思う。

ヒマラヤ小学校も引き続き厳しい運営状況を強いられている。それでもヤッギャ校長らが将来の学校の自立運営を目指して、日々、奔走しているところに大きな希望がある。今、ヒマラヤ小学校を支援していただいている人の多くは、学校建設に直接係わっていない人達だ。こうした人達が学校を応援して下さるのは、学校として自立に向けた努力を続けているからだと思う。今すぐの自立は難しくても、将来に向け成果を上げていくことが大事だ。

ケナフ活動も3年目を向かえ、少しずつその成果が上がりつつある。これからケナフを使った支援活動を軌道に乗せ、ヒマラヤ小学校に学校自立運営のモデルケースを創ることが僕達の大きな夢だ。モデルケースを構築できれば、今日訪ねたビョーマ小学校だって自立運営が可能になるかもしれない。子ども達、そして学校の自立の夢に向かって、ケナフ活動を強く推し進めたい。

ナヴァ今日はナヴァ・スロダヤ学校でも種まきを行いました。






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2006年06月16日

壁の建設はじまる。

6月16日(金)

壁工事今日からヒマラヤ小学校で念願の壁の建設工事が始まった。今回の壁の建設はラリットプール郡開発委員会の助成を受けて実現することになった。開校以来、資金不足で完成していなかった壁の建設を目指して、ヤッギャ校長が熱心に開発委員会へ働きかけ、奔走したことが壁建設の実現に繋がった。ヤッギャ校長の努力に感謝したい。

壁壁といっても学校西側の正面入り口の壁の一部分だけなので、まだ校門の建設や北側、東側の壁の建設が残っている。それでも学校の活動が政府から認められ、建設に漕ぎ着ける事が出来たことは本当に嬉しい。

今回、壁の建設に伴い、壁面を後退させることで学校前での車のすれ違いが可能にする。これまで、すれ違いのためにトラックが校庭まで入って来た事が何度もあったので、今後はその不安も解消されると思う。また学校までの道中でも数箇所、道幅の拡張が決まったので、子供達の登下校時の安全が確保できるようになると思う。これまで2度も夜盗被害にあったり、児童が飛び出してバイクに轢かれたりと事故も多発していたので、壁の建設の意義はとても大きい。

クマリ今日はファルシドール地区にあるバケル・クマリ小学校とチュリケルにあるスマルガ学校で種まきを行った両校ともに子供達の反応がよく、講義の間も様々な質問が飛び出してきた。こうして種蒔きのために各学校を訪ねて回ると、いろんな意味で公立校と私立校の格差を感じる。

スマルガ教員のモチベーション、教材の質、その他にも様々な面で公立校と私立校の間には格差が生じている。ネパールでは今でも、息子を私立校へ送るために娘を売る親がいる。教育への理解が深まると共に、教育の質を求める声が高まっているのだ。せっかく教育への理解が深まっても、公立校の教育の質が低いままでは元も子もない。早い段階での公立学校改革が望まれる。






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2006年06月15日

8校での種まきが終了。

6月15日(木)

バクタプールのエベレスト学校リトルワールド学校を訪ね、ケナフの種まきを行った。エベレスト学校は今回が2回目、リトルワールド学校は初めてのケナフ活動参加となった。

エベレストエベレスト学校は環境教育に力を入れている学校だけに、子供達のケナフへの好奇心も旺盛だ。今回は去年よりも若い6、7年生が観察活動を行うことになったが、みんな今日の種まきを心待ちにしていた様子だった。昨年、エベレスト学校を代表して素晴らしい発表をしてくれたスレシュ・タパ君に会ったが、彼はケナフにすっかり夢中のようで、植物図鑑などを使ってケナフについて勉強を続けているそうだ。素晴らしい。

リトルリトルワールド学校でも順調に種を蒔く事が出来た。これで8校での種まきが終わった事になる。8校というと、去年の参加校と同じ数。去年は初めてという事もあり、種蒔きだけでも本当に苦労が多かった。其の分、汗まみれ、埃まみれ、時には急な大雨にずぶ濡れになりながら活動した日々は、僕達の中で尽きせぬ思い出となっている。あの時は8校が本当に多く感じたのに、今年はあっとうい間に8校での種まきを終えることが出来た。活動も3年目に入り、少しずつ要領よく出来るようになったのかもしれない。

ネパールの人々は思いつきで行動することが多く、結果オーライで仕事が行われる場合が多い。暢気なネパール人らしいと言えばそれまでだが、ネパールの人々の突発的、恣意的な行動にはヒヤヒヤする事も多く、仕事が遣りにくく感じる事も時々ある。

そんなネパールにありながら、ケナフ活動は皆で相談をしながら計画に沿って活動している事もあり、本当に仕事が遣り易いと感じる。

今週と来週が種蒔きの山場となるが、へたらぬように頑張りたい。





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2006年06月14日

クリニック再開

6月14日(水)

1年ほど前まで顔面神経麻痺の治療を続けていた患者さんから麻痺が再発したとの連絡を受け、急遽クリニックを再開することになった。これまでヒマラヤ小学校やケナフ活動などの多忙を理由にクリニックを再開できていなかったが、治療を求める患者さんの声を受けクリニック再開の踏ん切りがついた。

今日の患者さんは10年近く顔面神経麻痺を患っている若い方。鍼治療で症状の改善が見られ、これまで1年近く症状が安定していたものの、数日前に突然、麻痺が再発したとの事だった。

顔面神経麻痺は障害部位によって症状も異なってくる。一側だけの麻痺で、額のしわ寄せが出来ないものは『ベル麻痺』とよばれ、強風に当たっただけでも発生することがある。ベル麻痺は鍼治療でも一定の効果が期待できる。今日は患者さんに不安を与えないように説明をしながら、ゆっくり1時間半ちかく掛けて治療を行った。1人の患者にこれだけ時間を掛けると、流石に満足のいく治療が出来たように思う。

それにしても僕のような技術も知識もない一介の鍼灸師を頼って来てくれる事は、本当にありがたい事だと思う。期待に応えられるよう誠意をもって出来る限りの治療を施したい。

ネコクリニックの後、ヒマラヤ小学校を訪ねた。丁度、ネコ・アヒルゲームが行われていて、校庭は子供達の笑い声で賑やかだった。子供達の底抜けに明るい笑顔を見ていると本当に心が洗われる。最上級の3年生はビナを中心にしっかりして来たし、1、2年のクラスも以前に比べて纏まりが出てきたように思う。

4月から始まったスポンサーシップ制度も既に13名の児童の支援が決まった。こうして大勢の方々の暖かいご協力をいただき、子供達の夢を応援できる事は本当にありがく感謝の気持ちでいっぱいだ。何とか50人のスポンサーを目指して、一生懸命頑張っていきたい。

今日は子供達が元気に頑張っている姿を見て、明日への活力を蓄える事が出来た。


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2006年06月12日

若い力の結集

6月12日(月)

ディポック先日、若い日本の学生さんからヒマラヤ小学校スポンサーシップへの申し込みを頂いた。早速、ヤッギャ校長へ報告したところ、『そんなに若い人までが、支援を申し出てくれたのですか?』と驚き、すっかり感心した様子だった。

日頃から、ぜひ若い人たちにもヒマラヤ小学校の様々な活動に係わって欲しいと考えている。若い人達がどんどん係わってくれることで、きっと今まで以上に楽しい学校を築いていけるのではないかと思う。歴史や伝統などがない分、自由に何でも取り組めるのがヒマラヤ小学校の長所だ。その長所を生かすためにも、ぜひ若い人達の力を結集させたい。そこに社会経験の豊かな人たちの知識や経験が加わる事で、更に大きな力を発揮するのではないだろうか。

ロシャナ若い人達が活動に参加することは、決して子供達に与えるだけではないと思う。ヒマラヤ小学校にある凝縮された現実社会。夢や希望といった前向きなものもあれば、貧困、差別といった目を覆いたくなるような現実もある。厳しい現実を乗り越えようとする努力、子供達の持つ無限の可能性がヒマラヤ小学校の大きな活力だ。そんな現実を知る事は、若い人達にとって大きな学びの収穫になると思う

今年の夏は中学生がボランティア・交流活動への参加を予定している。これからも若い人達がどんどん活動に参加できるよう、良い環境を作っていきたい。





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2006年06月11日

職業訓練所

6月11日(日)

今日はヒマラヤ小学校でケナフの種まきを行った今回が子供達にとって3回目の種蒔き。毎回、子供達はケナフ活動(栽培・観察活動)を通して様々な発見をしている。子供達が何かを発見したときの喜びや感動を間近で見られることは、教職員の楽しみでもある。今回もどんな発見があるのだろう。今からとても楽しみだ。

土起こしヒマラヤ小学校では将来、学校内に職業訓練所を設け、卒業生の経済的な自立を応援したいと考えている。もちろん卒業した後、勉強を続けたいという子に対しては何らかの支援をしたいと考えているが、ヒマラヤ小学校の子供達の年齢や家庭環境などを考えると、多くの子供達は進学が難しいと思う。進学することよりも小学校で身につけた知識を活かし、職業訓練を通して技術を持つことで、経済的に自立することが大事だと考えている。

休憩ヒマラヤ小学校の子供達の中には勉強は苦手だが、先生達の作業をよく手伝う働き者の男子児童が何名かいる。今日はケナフの種を蒔くため雨で硬くなった土を起こす作業を行ったが、スコップや鍬が倉庫から出された途端に教室を飛び出して、『僕も手伝いたい』と集まってきた。

ニロージュ額に汗を流しながら、夢中になって土起こしを手伝っている子供達を見ていると、彼らに何らかの技術を身に付けさせる事が最善の道であることを実感する。彼らならきっと身につけた技術を生かして一生懸命頑張ってくれるはずだ。

子供達の自立を目指したケナフ活動も3年目。子供達の自立意識の高揚を図りながら、職業訓練所開設に向けて進めていきたい。

追:御支援を頂いた方の中で連絡先が不明の方がいらっしゃいます。お心当たりの方は、ぜひご連絡ください。よろしくお願いします




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2006年06月09日

写真撮影

6月9日(金)

撮影今日は先日延期になった写真撮影を行った。生憎の曇り空だったが、先日より出席率が良かったため撮影を決行した。正式な写真撮影は優さんにお願いし、僕自身は記録用に写真を撮影した。今回が3回目という事もあり先生達が手際よく子供達を並べてくれたお陰で、予定よりも早く撮影が終わった。今年も無事、全ての写真撮影が終わって一安心。来年は更に子供達の数が増えるので大変になるだろうと思う。

午後2時半から里親教育基金の奨学生3人を連れ、モンゴルバザールへ出かけた。この3人は4年生の時に貧困で学校を辞めてしまい、その後、村の寺子屋へ通っていたが、どうしても小学校を卒業したいとの思いが強かったため、1年前から里親奨学基金を通して就学支援をする事になった。この1年、一生懸命積み重ねてきた努力が実を結び、今年、見事に3人揃って小学校を卒業することが出来た。

小学校卒業試験に合格したらバックをプレゼントすると約束していたので、今日はお祝いのバックを買いに行くことになった。3人とも待ちに待った買い物に大喜びの様子だった。

『アジアの雑踏』モンゴルバザールは、相変わらず人で溢れていた。ここへ来ると何時も人間の持つエネルギーとその凄まじさに圧倒されてしまう。ネパールで暮らし始めた頃、毎日のようにここへ来て、人間観察をして過ごしていた事を、ふと思いだした。あの頃から8年が過ぎても、町のエネルギーはまったく変わっていない。

数件のかばん屋を訪ねたあと、3人とも気に入ったバックが見付かった。バックを手にして喜んでいる子供達を見ると、3人とも今まで以上に頑張ってくれる事を確信した。

寺子屋その後、隻手薬師寺子屋を訪問した。久しぶりの訪問だったが、寺子屋は子供達の猛烈な熱気で満たされていた。寺子屋に来ると何時も教育の原点というべき、学びの意欲や情熱のようなものを感じる。万言にはとても尽くせない凄さがある。今日も寺子屋の子供達から『大きな元気』を貰った。





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2006年06月08日

先生達の努力

6月8日(木)

朝、中央郵便局へ行き、雑用を済ませた。ここ数日、集中して雑用を片付けた甲斐もあって、少しずつ落ち着きつつある。

昼過ぎからヒマラヤ小学校を訪問した。最近、ビディヤ先生とモンゴル先生が特に頑張っている。授業に様々な工夫を凝らしていて、子供達の生き生きとした表情からも、其の成果が伝わってくる。今日はモンゴル先生の幼稚園年長組の授業を参観したが、モンゴル先生が子供達の事を本当に良く考えて授業を進めている様子がよく伝わってきた。決してステレオタイプでない、熱心な取り組みに頭が下がる思いだ。こうした諸先輩達を見習いながら、ぜひ若い先生達にも頑張って欲しいと思う。

前回、一時帰国した折に東京都目黒区内の小学校の先生から、交流のお申し出を頂いた。これまでいろんな交流を試みたが、あまり好ましい結果が出ていない。さまざまな理由が考えられるが、未だ学校としての基礎が出来ていない間は、背伸びをした交流は難しいと思う。今回、小学校2年生との交流という事もあり、先生達を交えながら有意義な交流が出来るのではないかと期待している。肩肘を張らない、継続的な交流に発展させたいと思う。

さるすべり今日は学校で嬉しい発見があった。開校当時に植えた百日紅(さるすべり)が可愛らしいピンクの花を咲かせた。先日のジャカランダに続いての開花は、まるで花が開校2周年をお祝いしている様で嬉しい。植えた時のことを振り返ると、本当に感慨深いものがある。これからも大切に育てて行きたい。

夕方、バイク運転中に大雨が降り、全身ずぶ濡れになってしまった。鞄の中の書類も全て水浸しになってしまい、流石に参ってしまった。雨季のカトマンズでは良くあることだが、こればかりはなかなか慣れない。



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2006年06月07日

環境の日

6月7日(水)

環境の日今日はサダナに誘われて、先日から開催されている『世界環境の日』のイベントに参加した。今日が最終日だった事もあり、会場には大勢の学生が詰め掛けていた。教育の普及と共に、若い人達を中心に環境への関心も高まっているようだ。

会場では環境省の推薦するNGOがブースを設け、それぞれの活動について工夫を凝らした展示を行い、人々へ理解を求めていた。水質保全活動を行うNGO、植林をしているNGO、電気自動車の普及に取り組むNGOなど、多くの団体が日々、環境保全活動について努力している様子が伝わる良い内容だった。サダナは女性環境保全委員のブースで学生たちへの活動説明を行っていたが、一人ひとりの子供達の質問に丁寧に対応しながら、若い人達の参加を必死に呼びかけていた。来年はぜひケナフでもブースを開設して、人々にケナフの有用性を訴えていきたいと思う。

其の後、ヤッギャ校長が合流し、会議の打ち合わせを行った。会議まであと2ヶ月に迫っている現状を考えると、一刻も早く各校での種まきを終えなければならない。現在、7校での種まきが終わっているが、来週、再来週までには20校全部で種蒔きを終わらせたいと考えている。

交通の便の悪いネパールでは移動だけでも相当の時間が掛かってしまう。バイクでは大きな荷物を運ぶことが出来ない事や、雨季に入ったカトマンズではしばしば足止めされてしまうこと等、問題が多い。現状では正直、20校での種まきが精一杯の状態だ。それでもケナフを求める子供達の声に応えるため、一生懸命頑張りたい。

打ち合わせの後、ケナフ事務局の予定地を訪ねた。事務局の必要性をご理解いただき、近い将来、ネパールで念願の事務局立ち上げが実現する運びとなった。本当に嬉しい。これで子供達の素朴な質問にも答える事が出来、また紙漉きなども希望者に教える事が出来るようになる。活動が広がるに連れ、事務局の必要性が増している現状を考えると、一日も早く事務局を立ち上げたいと思う。





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2006年06月06日

ラクシミからの手紙

6月6日(火)

朝、日本ケナフ開発機構のニュースレター用の原稿と写真を纏めた。子供達が中心となって大きな盛り上がりを見せているケナフ活動。子供達の感動や感激を如何に文章にして伝えれば良いのか、なかなか難しい。

手紙先日、3年生のラクシミから手紙を貰った。手紙には日頃の感謝の気持ちやジョークなどが綴られていたが、其の中に『ダイスケさんは何故、私達の写真を撮って日本へ送っているのですか?』とラクシミの素朴な質問が書かれていた。

ラチミラクシミにしてみれば、日本の皆さんに写真で自分達の様子を見て貰うより、実際にヒマラヤ小学校へ会いに来て欲しいとの思いがあるようだ。日本の皆さんが来ないのは、もしかすると毎日、自分達の写真を見ているからではないか、とのラクシミなりの推測だ。

ラクシミの手紙には『答えを待っています。』と返答要請まで丁寧に書かれてあったので、僕なりの言葉でラクシミに手紙を書くことにした。いざ筆を取ってみると、これがなかなか難しい作業だった。単に答えを書くだけでなく、手紙を通してラクシミを励ましたり、勇気付けたりする事が大事ではないかと思い、一つひとつの言葉に気を使いながら手紙を書いた。

時間は掛かってしまったが、『日本の皆さんは、ラクシミやヒマラヤ小学校のお友達が元気に頑張っている姿を見ることを楽しみにしていますよ。先生の言うことをきちんと聞いているか、友達と仲良くしているか、勉強を頑張っているか、毎日、ラクシミ達の事を見ていますよ。ヒマラヤ小学校の皆が一生懸命頑張っているから、鉛筆やノートを配ってくれたり、学校までラクシミ達に会いに来てくれたりするのですよ。』というような内容の手紙を書いた。子供達の素朴な質問にきちんと答える事は、とても大事なことだと思う。しかし、実際にこういう作業を遣ってみると、学校の先生達の日頃の苦労を改めて感じた。

スニール夕方、ブンガマティ村にある障害児施設のスニールを訪ね(6/1,2,3付け記事)、スニールの治療を支援した方から預かっていたチョコレートを届けた。先日も元気にケナフの種蒔きに参加したスニール。今日も相変わらず、大好きな歌を歌いながら、一生懸命、点字を勉強していた。何とかスニールをはじめ障害児達が活躍できる場を作りたいと考えている。

昨年の『第1回こども環境ケナフ会議』では、彼らが楽器を演奏して会場を盛り上げてくれた。その事が切欠となり、FMラジオへの出演も果たした。兎に角、彼らの存在を知ってもらう事が何より大切だと思う。スニール達は今回の第2回会議にも参加を予定しているが、ぜひ大勢の人たちにスニール達の存在を知って欲しいと思う。

サンギャ誕生日その後、ヤッギャ校長宅を訪ね、サンギャちゃんの誕生会に参加した。サンギャちゃんも、もう18歳。学校長になりたいという夢に向かい、しっかり頑張っている。家族や友達に祝福を受け、恥かしそうにしているサンギャちゃんが印象的だった。



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2006年06月05日

サダナの夢

6月5日(月)

今日はお祭りで学校が休校となった。先日終わった雨乞いの祭り『マチェンドラナート』の祭神が無事ブンガマティ村に帰ったかどうか、人々が確認のために参拝をするお祭り。この日ばかりはブンガマティ村も参拝客で賑やかになる。

早朝から手紙を十数枚書いた。お世話になりながら、ついつい手紙を書くのが遅れてしまう今日この頃。書けば書くほど、感謝の気持ちを伝えることの難しさを実感するが、結局、感謝の気持ちは万言に尽くす事が出来ないのだと思う。そんな事をいろいろ思いながらも、何とか手紙を書き終える事が出来た。

昼からヤッギャ校長、優さんと会ってケナフ会議の打ち合わせを行った。先日からケナフ活動の現地カウンターパートKenaf Development Nepalの登録申請を行っているが、ここにきて役員の選出が難航している。僕としては中心メンバーのサダナさんが活動しやすいよう、若い人達を中心とした役員の選出が望ましいと考えている。しかし人それぞれの立場や人間関係があるので、其の辺りも上手く考慮しなければいけない。ネパールのような小さな社会では、そこが一番大事なのかもしれない。何とか最善を尽くして役員を纏めたい。これからが正念場だと思う。

昼過ぎから郵便局へ行き、手紙を投函。その後、明日、誕生日を迎えるヤッギャ校長の愛娘サンギャちゃんのプレゼントを買いに、カトマンズ中心のショッピングセンターへ出かけた。ぐるぐる店中を周ったものの、結局プレゼントを決める事は出来なかった。

夕方からサダナを訪ね、ケナフ会議の小冊子作成の打ち合わせを行った。それにしてもサダナの目から鼻へ抜けたような素早い動きには何時も感心してしまう。サダナも12学年の卒業認定試験が終わり、いよいよ医学部受験の準備が始まる。

『医師として環境問題に取り組みたい』というサダナの夢には、環境問題と医療問題は切り離す事が出来ないという考えと共に、これまで一生懸命やってきた活動が『女だから』や『女のくせに』という事で何度も社会から阻害された苦い経験から来ているようだ。医師としてしっかりとした社会的な地位を確保する事で、活動や言動に説得力を持たせることが自身の活動から最大限の成果を上げるためには不可欠であるとの、サダナなりのしっかりとした考えだ。医学部進学には経済的な問題もあるが、なんとか頑張って欲しい。


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2006年06月04日

子供達の自立

6月4日(日)

KG写真雑用を済ませた後、昼過ぎにヒマラヤ小学校を訪問した。今日はクラス写真を撮影する予定だった。1人でも多くの子ども達が出席している事を願いながら出席簿を開けて見たが、残念ながら今日は非常に出席率が悪かった。田植えのシーズンを迎え、子ども達も手伝いで忙しい時期なので無理もない。仕方なく比較的出席率の良かった幼稚園年長クラスの写真撮影だけを行った。

毎年、恒例となっている写真撮影も今回が3回目。過去の写真を見るだけでも子供達の大きな成長を見ることが出来、なかなか楽しい。結局、写真撮影は金曜日に改めて行う事になったが、ヒマラヤ小学校の歴史をしっかり記録していきたいと思う。

夕方から日本ケナフ開発機構のニュースレターの原稿を纏めた。子供たちの自立を夢と目標に続けてきたケナフ活動も2年が経過し、これまでの活動内容を纏めるのも大変になってきた。ネパールでのケナフ活動は各方面の方々の協力を頂き、もちろん幸運にも助けられながら望外の発展を見せている。今日はこれまでの活動の一つひとつを纏めながら、活動への気持ちを新にする事が出来た。将来、ケナフ活動を通して子供達の自立の夢を実現できるよう、全力を集注したい。




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2006年06月03日

猛省

6月3日(土)

今日はカトマンズ郊外で医療キャンプが予定されていたが、結局、参加せずに雑用を片付けることにした。溜まっている雑用が気になってしまい少なからず他の活動にも影響が出ているので、今日は早朝から机に向い集中して雑用を片付けた。

午後4時頃まで掛かってようやく一段落したところ、ボーダナートに暮らす患者さんから電話が掛り、膝の痛みが酷いので、一寸診て欲しいとの要請を受けた。チベット人のその患者さんとは7年来の付き合いがあるが、毎日欠かさずボーダー寺院へお参りしている熱心な仏教徒だ。長年、両側性の変形性膝関節症を患っているが、加齢や体重に加え、お参りの時につくばう姿勢を取る事が多いこと等も、膝の状態を悪化させている原因ではないかと考えている。

今日はよほど膝の痛みが強かったのか、治療の後、何時も以上に患者さんに喜んで貰った。こうして患者さんの喜ぶ姿や感謝の声を聞くと、治療活動をやっていて良かったなぁと思う。ここのところ忙しさに取り紛れ、治療活動が相当疎かになっている。もう一度、しっかりと原点に立ち戻るよう、自分自身に猛省を促したい。



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2006年06月02日

理解を頂くために

6月2日(金)

今日はマチェンドラナート祭りの最終日、『ボト・ジャトラ』という事で、学校は休校となった。雨季を迎える山車祭り『(ラト)マチェンドラナート』が終われば、村々では田植えが始まる。子供たちも田植えの手伝い等で忙しくなる時期だ。

今日は久しぶりの休日だったが結局、山積している雑用に追われた。それでも時々、静かにヒマラヤ小学校の将来について考えることが出来、なかなか充実した一日だった。

これまで大勢の方々の暖かいご協力をいただき、ヒマラヤ小学校の運営面は少しずつだが明るい兆しが見え始めている。まだ楽観視するほどの状況ではないが、学校への理解者や協力者も少しずつ増え、何となく良い方向へ向っているように思える。

ヤッギャ校長や学校運営委員会でも何時も話し合っている事だが、支援は一つに頼りきってしまうのではなく、なるべく分散させておく必要があると思う。それも出来るだけ大勢の方にご参加いただく事で、個人の負担を少しでも減らす方法が最善だと思う。ようやく学校への理解が深まりつつある中、僕達、ネパール側としても皆さんの善意に応えられる様、子供たちのために良い学校づくりを進めていかなければならない。

学校の運営には子供1人あたり約1万円の費用が掛かる。もちろん特別活動を含めると、それ以上の経費が掛かってしまうのだが、まずは学校が何とか継続運営できるだけの力を付けたいと思う。其の上で、もし余剰金が出た場合には、各先生達が『遣ってみたい』という自発的な活動を出来る限り応援したいと思うし、またそうした余剰金を『基金化』して運営に充てるなど、将来を見据えた活動に取り組んで行かなければならない。

今年は本格的なケナフカレンダーの販売を予定している(10月〜11月頃)。学校が自立できるまでには長い月日が掛かると思うが、一歩ずつの積み重ねを大切に大きな目標に向って頑張っていきたい。

新入生まずは今まで以上にヒマラヤ小学校、そして子供たちを知って頂く活動に力を注ぎ、学校への理解を深めて頂けるように頑張りたい。特に30名の新入生について、何らかの形で紹介をしていきたいと考えている。皆で力を合わせれば、きっと良い案が見付かると思う。ぜひ頑張りたい。


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2006年06月01日

不思議な存在

6月1日(木)

子供たち3朝から雑用に追われた。ネパールに戻ってから約1週間、慌しい毎日が続き、荷物の整理も出来ていない状況が続いている。第2回こども環境会議の打ち合わせ、学校運営、其の他にも遣るべき事が山積していて、なかなか落ち着かない状況だ。それでも何とか頑張れるのは、毎日ヒマラヤ小学校や寺子屋、そして里親教育基金の子ども達の一生懸命頑張っている姿に接しているからだと思う。子供たちと接していると不思議と元気が沸いてくる。

雑用を後回しにして、昼過ぎからヒマラヤ小学校を訪ねた。職員室で雑談をしていると子供達がぞろぞろと集まってきて、話しかけてきたり、手を引っ張ったり、花をくれたり、好き放題、僕の周りで思い思いの事を遣り始めた。きっと面白いから集まってくるのだと思うが、子供達にとって僕は不思議な存在なのかもしれない。毎日のように学校に顔出すのに授業をする訳でもなく、写真を撮ったり、授業を覗いたり、たまには先生達と真剣な顔で話をしていたり、子供達にとっては相当不思議な存在として映っているのかもしれない。しかし、こうして子供達の人懐っこい笑顔に囲まれていると、疲れも一気に吹っ飛んでしまう。

花今日は子供達がナデシコや金盞花などの花の種を蒔いたケナフ活動の成果か、『種を蒔くよ』と呼びかけると大勢の子供達が集まってきた。子供たちが植物に興味を持つ事はとても良い事だと思う。先日のジャカランダも含め、これから学校内を花や植物で一杯にしたい。

夕方から里親教育基金の奨学生姉妹の家を訪問した。明日からお姉さんの方の11学年の卒業認定試験が始まる。真剣な表情で明日の試験科目である『英語』のノートに目を通している奨学生を見ると、何とかこの努力が報われて欲しいと願わずにはいられない。皆、頑張って欲しい。

夜、往診を一件済ませた後、帰宅。体調の事を考えて早めに就寝した。



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