2005年02月

2005年02月28日

若い力

今日は環境問題に取り組んでいるサダナと会った。サダナは2000年に西宮市で開催された『アジア・太平洋こどもエコ会議』に、ネパール代表として参加した聡明な女の子だ。まだ17歳というのに一生懸命、環境保全活動を続けている。

サダナは単に聡明なだけでなく、何事も恐れない行動力を持ち合わせている。何時も前向きに頑張っている姿には、頭が下がる。自分がサダナと同じ17歳の頃、一体何をしていたのか?思い出すことも出来ないほど、無意味な時間を過ごしていたように思う。

きっとサダナのような学生が将来、ネパールの中心となって活躍するのだろう。ささやかながらも、サダナの活動を応援していきたいと思う。

今年は、ネパールでケナフフォーラムを開催したいと考えている。そのためにカトマンズ盆地内の数校でケナフを栽培し、子供達がケナフを観察する活動を考えている。フォーラムは、サダナのような若い人たちが中心となって開催することが大事だと思う。

夕方からは大臣官邸でヒマラヤ青少年育英会のミーティングに出席。順調にミーティングが終わり安心した。来年度の教師雇用についても話し合われたが、僕としてマナ・マヤ・グルンさんを推薦した。マナさんはスミさんと同じ孤児院で育った孤児。昨年6月から得意のダンスと歌をヒマラヤ小学校の子供達に教えている。

僕はマナさんの真面目で誠実な性格を高く評価している。マナさんには午後3時から午後4時の間でダンス教室をお願いしたが、彼女は毎回、昼前には学校へ来て、いろいろな手伝いをしてくれる。

もちろん今まで教員としての経験もなく、今後研修を受ける必要があるが、何よりもマナさんの誠実さと『子供達のために何かしたい』という情熱を評価したいと思う。

学校は先生方の情熱に掛かっていると思う。情熱ある先生がいなければ、学校は直ぐに駄目になると思う。理想を言えば切がないが、マナさんならきっと良い教師として活躍してくれると確信している。

今日も良い日となった。




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2005年02月27日

苦手な作業

昨夜、久しぶりにホームページを更新した。毎日、学校では様々なことが起こるので、頻繁に更新しなければならない。また一人でも多くの人にヒマラヤ小学校の子供達のことをお伝えするためにも、頻繁な更新が欠かせない。

時々、ホームページを見られた方から『毎日、楽しみに見てますよ』と、暖かい励ましのお便りをいただく事があるが、そんな時はとても嬉しく、やる気も沸いてくる。

元々、僕はコンピュータも、文章を書くことも苦手で、今でもコンピューターを十分に理解出来ていないのが実情。それでも苦手な2つの作業を続けているのは、子供達が素晴らしい事と、応援してくださる方々の暖かいご声援があるからだと思う。

本来、プロの方にお任せすれば、もっと分かりやすく素晴らしいホームページやニュースレターが出来るだろうし、組織が大きくなるにつれ、それぞれの専門知識を持った人材は必要だと思う。

時々、他の大きな団体のニュースレターなどを見ると、羨ましく思うこともある。文章も写真もコンピューターも全て苦手だが、少しでも上達するよう頑張りたい。

今日は『あすなろレストラン』を客として訪ねた。やはり客の立場で見ると、全体が良く見える。コロッケを食べながら改善点を纏めてみた。それにしてもコロッケは美味しかった。

夜の往診を終え帰宅し、直ぐに某新聞社で連載させて頂いているコーナーを執筆。文章を書くときはリズムがとても大事な気がする。自分の書いた拙稿がプロの編集を経て、見違えるような文書に生まれ変わることに何時も驚かされる。やはりプロは凄いと感心してします。

明日は早朝から往診、学校、ミーティングと多忙な一日となりそう。明日も全力で頑張りたい。

今日は良い日となりました。




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2005年02月26日

煉瓦を積み上げるような努力

今朝、往診を済ませた後、『あすなろ食堂』へ行き、焼き鳥のたれの仕込みを手伝った。スミさん達も昨日の経験で少し自信がついたようで、顔つきがすっかり変わっていた。

仕込みを終えた後、ヒマラヤ小学校へ直行した。何時もながら、子供達の歓迎が嬉しい。どの子供達も学びの喜びが顔中に溢れている。

ヤッギャ校長と『教師評価システム』の導入について話し合った。また僕自身、今まで以上に先生達との会話の必要性を感じていることから、月一回の『教育研究会』の開催を提案した。ヤッギャ校長からも同意を頂き、早速、両案共に準備を始めることが決まった。

ヤッギャ校長は『何とかなるさ』のネパールで、珍しいほど誠実で几帳面な性格だ。『村の教育のために全てを捧げたい』と、務めていた大企業を辞めて(給与も大幅減)、ヒマラヤ小学校の校長に就任した。

教育に対し情熱と素晴らしいビジョンも持ち、何事も誠実に、全力で取り組んでいる。これまでヒマラヤ小学校が予想以上に素晴らしい成果を収めたことも、ヤッギャ校長の努力が大きい。僕にとって心から尊敬できる方だ。

今まで時間のある限りヤッギャ校長と話をしてきたが、せっかくの素晴らしいアイデアを、他の先生とも共有し今後の学校発展のために役立てたいと思っている。

午後5時から、文化・観光・航空相に就任したバジュラチャルャ会長を訪ねた。全閣僚が暮らす大臣公邸内は厳重な警備が敷かれ、面会できるまでに長い時間が掛かった。

インドでの国際会議に参加し、夕方帰国されたばかりだったが、疲れた表情すら見せずに快く迎えていただいた。

会長がインド訪問中に纏まった、2階校舎増築について説明をした。そして27日に緊急理事会を開き、2階校舎増築の説明を行うことが決まった。超多忙の中でも、何時も子供達の教育のことを第一に考える会長の姿勢は、僕にとって大きな勉強になる。

大臣公邸を後にし、ヤッギャ校長と共に奨学生宅を訪問した。ヤッギャ校長にはヒマラヤ小学校だけでなく、里親教育基金などの分野でも、積極的に参加して頂きたいと考えている。まずは現状を見ていただくことが第一だ。

その後、あすなろ食堂を訪問。昨日に引き続く大盛況。スミさん達が活き活きと仕事をしている姿を見て、嬉しく思った。正に水を得た魚のよう。本当によかった。今日は日本人のお客さんも来てくれた。

どんな事も全ては努力の積み重ねだと思う。バジュラチャルャ会長やヤッギャ校長、そしてスミさんを見て、そのことを痛感した。

煉瓦を一個ずつ積み上げるような努力を続けていきたい。
慌しくも充実感のある一日だった。








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2005年02月25日

なんとか開店。

今日は朝からレストランの手伝いで大忙しだった。ヒマラヤ青少年育英会の女性自立支援を受けて2年、4人とも本当に良く頑張ってきたと思う。ようやく念願のレストランを開店することが出来た。

特に中心となって頑張っているスミさんは、自身の夢でもあったレストラン開店が実現し、涙を流していた。今まで社会から虐げられてきた彼女達にとって今日は、希望に満ちた新しい人生の始まりだ。ぜひ頑張って欲しい。

今日は予想を超えるお客さんが来てくれ、ゆっくり喜んでいる暇もないほど忙しかった。友人達も手伝いに来てくれて、何とか初日が終わった感じ。これから彼女達には本当の意味での自立を目指し、一歩ずつ頑張って欲しい。

僕自身、学生時代にレストランでアルバイトに従事していた経験があり、今日は一日、懐かしい気分にもなった。まだまだ修正点はあるが、彼女達が考え人々に喜ばれる、小さくても暖かいレストランを築いて欲しい。

その後は奨学支援をしている子供達の内、今年度のSLC(全国統一卒業認定試験)を受験する生徒を訪ねた。SLCまで残すところ1ヶ月あまり、今年は初めて奨学生がSLCを受験するので、とても緊張している。大げさかもしれないが受験生を持つ親の気持ちが少し分かった気がする。

ヒマラヤ青少年育英会の自慢は、支援をしている子供達がどの子も素晴らしいことだ。皆、支援への感謝の気持ちを忘れず一生懸命に頑張っている。勉強だけではない、シラミ退治や医療キャンプなどの活動にも、みな積極的に参加してくれる。

夢に向かい頑張る素晴らしい子供達がいるから、支援活動が出来るのだと思う。

今日は忙しいく大変疲れたが、良い一日となった。



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2005年02月24日

慌しい一日

朝6時半からネパール癌協会のクリニックで仕事。顔なじみの患者さんとの会話や新しい患者さんとの出会い、僕にとって人との関わりがネパールで一番の楽しみだ。

ネパール癌協会でペインクリニック科を開設させて頂き、5年が過ぎようとしている。今まで多くのがん患者さんとの出会いがあり、そして別れもあった。皆さん、僕のような若輩者の治療を信じてくださり、何時も暖かく励ましてくださっている。患者さんとの関わりがなければ、こんなに長い間ネパールで生活できなかったと思う。つくずく運が良かったと実感している。

2時にクリニックを終え、ヒマラヤ小学校へ直行。学校は休みだったが、2階校舎建設の件で施工業者との大事な打ち合わせがあった。なんとか予定通りに進んで欲しいと思う。

その後、ブンガマティ村の下の集落で開設している寺子屋を見に行った。子供達は薄暗い寺小屋の中で、瞳を輝かせながら一生懸命勉強していた。とても嬉しく思った。何とか一人でも多くの子供達を来年度からヒマラヤ小学校へ入学できるようにしたい。

寺子屋から大急ぎでパタンに戻り、レストランの準備を手伝った。何事も慌てないネパールの人たち、何時もぎりぎりだが、上手い具合に間に合ってしまう。

レストランも夜12時半まで準備に追われたが、なんとか開店の準備が出来た。今後の道のりは決して平坦ではないが、皆さんに喜んで貰えるレストランを目指したい。

いささか慌しく、肉体的・精神的に疲労した一日だった。





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2005年02月23日

歓声に沸く校舎。夢に向かう女性たち。

今日、ヤッギャ校長先生から子供達に2階校舎建設が伝えられた。みんな心待ちにしていただけに、大きな歓声が湧き上がった。

入学が決まった時の笑顔、先生に誉められた時の笑顔、動物園へ初めて行った時の笑顔、いつも子供達は笑顔で溢れているが、今日の笑顔も格別だった。

勉強はからっきしでも、何時も元気いっぱいの男の子4人組は『僕らが煉瓦を全部運びます。』と、可愛らしいことを言っていた。子供達の歓声が止まぬ間に、突然大雨となった。ネパールは日毎に春が近づいている。

ヒマラヤ青少年育英会の『女性自立支援』を通して、孤児院を出た4名の女子を支援しているが、この度、4人が協力してレストランを開店することとなった。

4人ともレストラン開店の夢に向かい、一生懸命頑張ってきたが、やはり開店が近づくにつれ少しずつ弱音を吐くようになった。年齢が20歳前後、ましてや孤児院で育ち、社会から今まで様々な虐げを受けていた女の子にとって、社会の一員となることはとても大きな冒険だと思う。

昨日は女性自立支援の母役をお願いしているニルマラさんが、彼女達とゆっくり話をしてくれた。

今日4人は、昨日とはまったく違う、希望に溢れた素晴らしい表情を見せてくれた。占星術師の指示により開店の日が24日と決まった。これから4人が協力して、全力で頑張ってくれることを確信している。このレストランが、同じような境遇で暮らす女子の、大きな希望となって欲しいと思う。

僕よりも若い人たちの成長を見ると、とても勇気付けられる。今日も良い日となった。


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2005年02月22日

念願の2階校舎建設。

昨年、クラーク記念国際高校はじめ、多くの方々の善意のご支援を頂き、カトマンズ郊外の緑に囲まれた小さな村(ブンガマティ村)に、ヒマラヤ小学校が開校した。

実は着工当時、当初予定していた募金額に届かず、結果的に1階部分、4教室での開校となった。しかし入学を希望する子供達は多く、初年度から全ての教室が埋まってしまった。

なんとか来年度(2005年4月)までに2階部分の増築実現を願っていたところ、この度、神奈川県内の方から暖かいご支援のお申し出をいただき、念願の2階校舎建設が実現する運びとなった。正式な建設許可も下り、いよいよ2階校舎の建設が始まる。

何時も子供達から『2階は何時出来ますか?』や、煉瓦を積んだトラックが学校の前を通るたびに、『私達の学校には、いつ煉瓦が運ばれてきますか?』など、不安げな質問を受けていたので、早く子供達にも増築のことを伝えたい。

明日、子供達に2階校舎の増築の事を伝えるが、今から子供達の喜ぶ姿が目に浮かんでくる。教育環境が整うと共に子供達の夢がどんどん育つよう頑張りたいと思う。

今日は嬉しい日となった。


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2005年02月21日

吉岡大祐 プロフィール

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吉岡 大祐(よしおか だいすけ)

ネパールがん協会フリークリニック 鍼灸師
ヒマラヤ小学校運営責任者





1976年3月生まれ。1998年、鍼灸師国家試験合格後、22歳の時にネパールへ渡る。トリブヴァン大学で学ぶ傍ら、近所の老人達へ無料鍼灸治療を始める。へき地の村で開催された医療キャンプに参加した際、衛生知識がないために多くの子ども達が感染症で亡くなる現状を目の当たりにした事から、友人、知人らと共に「ヒマラヤ青少年育英会」を立ち上げ、僅かな基金を元に貧しい子ども達の就学支援活動を始める。
2004年、プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎氏や日本の高校生の協力の元、3年間の募金活動を経て、現地の小さな村に「クラーク記念ヒマラヤ小学校」を開校。運営責任者として学校運営を行う他、子ども達と学校の自立を目指し、職業訓練に力を注いでいる。

受賞歴
2003年: 21世紀若者賞(社会貢献支援財団)
2006年:善行表彰・国際貢献表彰((社)日本善行会)
2009年: テレビ愛媛賞 ((株)テレビ愛媛)
2009年: 人間力大賞・準グランプリ 外務大臣奨励賞、参議院議長奨励賞受賞 ((社)日本青年会議所)

メディア
2007年3月4日 TBS「夢の扉 NEXT DOOR」 〜ネパールで貧困と戦う鍼灸師〜
2009年6月7日 NHK BS1 「地球アゴラ」 BS1 20周年特集 地球アゴラで世界1週  
2010年8月11日 NHK BS1「地球アゴラ」〜私の国のジャパニーズヒーロー〜
2014年12月27日   テレビ愛媛開局45周年特別番組「ネパールに咲く小さな花」

愛媛新聞「ぐるっと地球そのままクリック愛媛」
共同通信社「つながる」2012年2月配信
みんなの未来応援マガジンKey 「人生の鍵」
NO1 Shimbun 外国人記者クラブ


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